前奏18
朝の光が窓から差し込み、小鳥のさえずりが眠りから目覚めへといざなう。
寝心地のよい寝台は、もう一度眠りたい誘惑で起きようとする決意を揺るがせる。
「ルルカさん、朝ですよ。
朝餉のしたくが整いました。
起きて下さいませ」
耳元で慣れ親しんだ先輩巫女の声がする。
掛布からもぞもぞと顔を出し、寝ぼけ眼ではなしかける。
「ミレナねえさま?もう、朝ですの?」
「うぎゃあああ、リ、リリアが分裂したあー!!!」
意味不明の言葉を叫びながら、脱兎のごとく駈け去っていく後ろ姿をぼーっと見送って・・・
「それで、これはいったいどういうことですか?
分かるように説明なさい!
リリア、ルルカさん」
二人揃って巫女長様に呼び出され、説教タイムの始まりである。
「あ、あの、私…ルルカさんと語らいたくてお部屋にお邪魔したら
寝台で目が覚めました。
寝心地がよくて、朝のお勤めを忘れてしまい申し訳ございません」
しゅうんとうなだれる姿は痛々しく、つい怒る気も失せてしまう程だった。
「足をくじいて無理がきかないのですから、お勤めはしばらくおやすみなさい。
それよりも、ルルカさん。
夕べはどこでお休みになりましたの?」
「薬草園の裏の大木の上で」
「「えっ?!」」
「寝台なんて寝つけないさ、あたいには。
あの大木は、寝心地最高だったよ。
ついでに、朝のうちに朝露草も回収しといたから」
朝露草とは痛み止めとなる薬草で、日の出前にしか葉を開かない薬草である。
ギュルウウウ~
大きな腹の虫が聞こえ、一言。
「朝餉、まだ?」
ガックン。
(リリアを刺客とまちがえて気絶させたことや、門番が夜いなくては物騒だと思ったから
きのうえで一応見張っていたことは黙っておこう)
そう心に決めたルルカであった。




