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後奏40
おばばが入り口と反対側の掛布をめくると、そこには見たことのない森が広がっていた。
「さあおゆき! このカゴいっぱいに月光樹の実を取っておいで」
リリアとハルフォードは、 顔を見合わせ一つ頷き会うと
おばばから手渡された籠をハルフォードがもち、 森の中へとあゆみ出して行った。
森の中は静寂で満たされ、 とても不思議な空間であった。
二人は連れ立って歩きながら、 辺りをキョロキョロと眺め回した。
「なんだかとても懐かしい感じがする森ですね!」
「俺には何の感慨もないけどな」
元々あまり喜怒哀楽の乏しい残念おこちゃまであるハルフォードと違って
リリアは感受性の深い感激屋であった。
「それはそうと、 例のわんころはついてきてるのか?」
ハルフォードが疑問をぶつけると、 リリアは嬉しそうに答えた。
「はい、 ちゃんといますよ!
私たちの前をしっぽをふりふり歩いています。
多分、 月光樹までの道案内をしてくれているんでしょう」
「それはありがたいこって」
わんこに道案内をしてもらえば迷うことはないと安心していた束の間、
それは突然襲ってきたのだった。




