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後奏38
ペロペロペロペロ。
頬を何かが優しく舐めている。
「ふふふ、くすぐったいわ」
目を開けると、目の前にあの白わんこが顔を覗き込んでいた。
ーやだなあ!僕たち夢魔しか噛まないんだよ!
月の精霊の眷属が主さまのお身内を
噛むわけないじゃん。
化けると主さまって、性格ちょー悪!!
「 わんこが喋った!!」
リリアが目を白黒させていると 、 頭の中に また声が響いてきた。
ー 君の中の もうひとりの君に 話しかけているんだよ。
その時 不意に ハルフォードが声をかけた。
「 リリア殿、 何一人芝居でしてるんです?」
「え? だって、 そこにワンコがいるでしょう?」
「俺には何も見えませんけど…」
二人のちぐはぐな会話に ため息をつきつつ、おばばが解説を加えた。
「その犬は、月の精霊の眷属で“ 銀狼 ”なのさ。
精霊の力を持ったものには見えるけれど
ヘタレ坊主には見えないだろうさ、 残念ながらね」




