前奏9
ゴクン、とつばを飲み込み慌てて問いただす。
「ど、どんな舞いを舞うのですか?」
「別に。型なんてないよ」
「っえ!じゃあ、楽器に合わせて舞うのですか?」
くるりと振り返って不機嫌そうにルルカは言い放つ。
「大切なのは、舞心。
あたいはただ心のままに舞うだけ。
それ以外に何があるっていうのさ!」
その時、突然ルルカにドシーンとぶつかってきた小さな固まりがあった。
よく見ると、幼子がぎゅうぎゅう腰に抱きついていた。
「ルルねえたん、まっちぇまっちぇえ~♡」
「???」
「舞の催促だよ」
そう言うと、抱きついてきた幼子の手をそっとはずししゃがんで目の高さを合わせる。
ふっと微笑むと、優しく話しかけた。
「シア、母さんが心配してるよ。
今から舞うから、母さんと一緒に広場においで」
「ん、やくしょくね」
そう言ってパタパタ駈けていく姿を見送って、すっと立ち上がる。
「おねいさんがた、悪いけど依頼が入ったんで行くね。
なあに、長はすぐ先の「風花亭」にいるよ」
言い終わると、ルルカは別方向に駈けだしていった。
二人はお互い向かい合うと目をきらーんとかがやかせうん、とうなずくとルルカを追って走り出した。




