War
決してあきらめたくない。
諦めれば、それは敗北だ。自分だけが死ぬわけではない。自分以外の同胞が、自分たちの先祖の教えが、土地が、文化が、そして何よりも誇りが死ぬ。それだけは例え何を犠牲にしても絶対に起こってはならないことだ。
ワタシの黒羽が戦場に散り、眼前の侵略者共の容赦のない戦斧や太刀が体に振り下ろされていく。ワタシは声にならない悲鳴、すでに喉も潰れて悲鳴を上げる。それを見て楽しむかのように眼前の侵略者共は下卑た笑みを浮かべていた。このワタシをかつては尊重していた存在、それがワタシに牙をむくというのは決して許せるものではない。
ワタシは激しく自らの爪で、黒翼で、反撃をする。吹き荒れた暴風は侵略者共を吹き飛ばし、大地に巨大な窪地を作った。しかし、それでも並み居る侵略者はワタシに攻めかかる。
もとより多勢に無勢のこの戦場。ワタシの翼はさっき戦斧や太刀で削り取られてもうボロボロだ。暴風ならいくらでも起こせるが、飛ぶことはままならない。
腹には鋼で作られた鏃が何百と突き刺さり、絶えず黒い血を流している。足の筋肉は弱々しく、もはやこの巨体を支えることもできないようだ。ここが散り際、と考えるべきなのだろうか?
いや、まだだ。
すでにワタシの同類はほとんどいないが、ワタシがここで踏ん張ることに意味はあるはずだ。
怪異として史に名を刻もうと、誰かが正しくワタシや、ワタシの同胞を認識してくれるはずだ。
ワタシたち、『八咫烏』の武勇をいつか。誰かが、どこかで、どのような形であれ、どんな理由であれ、残すはずだ。
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