10月21日――廃海領域③
・レベル4
・コストアイコン4
・――1)城化(4)、手札(4)を捨ててもよい。その場合、あなたの手札から一枚を公開して、そのユニットのレベルを次のあなたのターンの初めまで+4。
――2)コイン(1)、このユニットの上にコインを置いてもよい。その場合、あなたと相手のブラックユニットの枚数山札の上からカードを引いてもよい。その後、引いたカードの枚数、あなたはブラックユニットを退却させる。
・目覚めし勇者 クロード 『星海騎士団』、アークヒューマン
プラチナブロンドの長髪をなびかせ、精悍な顔つきの戦士がその姿を現す。手には青白い輝きを放つ聖剣を握り、黄金の鎧を着ている。鎧越しでもわかる強靭な筋肉は見るものを威圧させる。正義を遂行し、悪を挫くことを旨としたクロードはその手に握る聖剣を高らかに掲げ、その頭上から天の光とばかりに太陽の輝きが剣を光らせた。
「さらに招集。帳簿人 マリクス!」
マリクスの登場時能力で手札を四枚引き、柊真の手札はみるみるうちに回復した。手札が増えたことで柊真はようやく次の手に移ることができるようになった。
「クロードの城化。手札の弾道を予測せしものをレベル7に」
見せたのはさっきと同じ『弾道を予測せしもの』というユニットだ。レベルは7。大抵の攻撃なら防ぐことができるレベル差だ。
「さらにコインコール。相手と自分のブラックユニットの数、俺はドローできる。六体いるので、六枚ドロー。その後、自分のユニットを引いた枚数分退却」
二体のマリクスが退却させられたが、柊真は特に思うところはないようで新たに方に増えた手札へと視線を移す。彼の今の手札は九枚。しかもそのうちの一枚は絶対防御と言っても過言ではない防御性能を誇っているユニットだ。
「クロードでアタック」
「ガード」
手札からレベル3とレベル2のカードを切って、綾音は即座にガードする。彼女のコインが残り二枚ということを考えればガードするのは当然のことだといえた。
「ターンエンド」
「ふー。死ぬなー」
柊真のターンエンド宣言と同時に綾音はそうこぼした。彼女は今の自分の手札を見て、少しだけ悩んでいた。手札は六枚もあるし、詠唱を使っても問題は特にはない。しかし、相手の防御のための手札が多すぎた。
彼女の今バトルゾーンにあるユニットで攻撃が可能なのは三体だけ。テヘラン、フギン、そしてリディーの三体だけ。それもテヘラン以外はレベルを向上させて殴るタイプだ。
それに、例えこの三体で一斉攻撃をしても、簡単に防御されてしまう。手札九枚とはそういうことだ。五枚もカードを切ればガードされるだろう。
「手札はあるんだけどねー。うーん……あ。そうだ!」
初回ドローと起床をさせ、進化をせずに彩音はセーブゾーンのコインをテヘランの上に乗せる。
「コインコール。テヘランのコインアビリティーを発動。山札の上から十枚を表向きにして、それぞれお三枚ずつ、手札、ドロップゾーン、バトルゾーンに振り分ける!」
「「「はぁ!?」」」
三人の声がはもって、変な反響を生み出した。
「お!いい反応、いいはんのー。そうだよー。このテヘランのコインアビリティーはね、詠唱をさらに強力無比にしたものなんだよ。ふふふ、キミらの弱小コインアビリティーとは雲泥の差なのだよ」
つまり、十枚めくって好きなカードを場に出せて、尚且つ手札に集められて、ドロップゾーンも肥やせるということか、と湯人は認識した。
「破格過ぎません?」
「だよな、ぶっ飛びすぎてる能力だと俺も思う。でもさ、湯人君。そういうカードなんだからしょうがないじゃん」
思考停止がすぎる答えだったが、湯人は追求せずに綾音の行動に視線を移した。
「バトルゾーンに出せるブラックユニットは四枚までって制限されてるから……この二枚でいいかな?幻魔術師 カシュー、一等学生 マイゼリアをそれぞれ招集。シュライクとフギンは退却っと」
・レベル4
・――1)詠唱(2)、手札(2)を捨ててもよい。その場合、山札の上から四枚を見て、一枚を手札、一枚をドロップゾーンに置く。残りのカードは山札の下に好きな順番で置く。
――2)アタック時、ヒューマンのユニットがこのカード以外にバトルゾーンにいれば、アタックしている間、このユニットのレベル+1。
・幻魔術師 カシュー 『夢幻魔術学院』、アークヒューマン
・レベル2
・――あなたの手札六枚につき、バトルゾーンのすべてのユニットのレベル+1
・一等学生 マイゼリア 『夢幻魔術学院』、ヒューマン
カシューは豊満な胸をぶら下げた褐色肌の女性だ。白銀の長髪も相まって、どこか黒魔術師の様なイメージがある。マイゼリアはトリス同様にとんがり帽子をかぶり、印象の薄い顔つきをしている。能力もトリスと同じだ。ただ、コストとレベルが少し違う。
「残りは山札のしたーに行きましてー。ささーっと。決めちゃいましょうか。まず、カシューでアタック。アタック時にこのユニット以外にヒューマンのユニットがいるので、レベル+1。さらに、トリスとマイゼリアの能力でさらに+3。合計値レベル8!防げるものなら防いでみろー!」
「弾道を予測せしものでガード。そして、弾道を予測せしもののガード時能力を発動させてもらう。
・レベル3
・――ガード時、あなたのシルバーユニットユニットがレベル4以上なら、このユニットのレベル+3してもよい。
・弾道を予測せしもの 『星海騎士団』、ヒューマン
能力に寄って弾道を予測せしもののレベルは7から10に上昇。カシューの攻撃を安々と防いだ。
綾音は悔しげに舌打ちをすると、今度はリディーで攻撃した。リディーにはアタック時の能力はないが、それでもトリスとマイゼリアの能力でレベルが+3されている。次のテヘランの攻撃も考えればここは通す以外に道なかった。
柊真のコインは残り一枚となり、綾音はとどめとばかりにテヘランを突撃させる。テヘランの手のひらに出現した黒いオーラが容赦なく、クロードへと浴びせかけられた。
「ガード。獣王の盾を持つもので攻撃遮断」
・レベル2
・――無敵、ガード時あなたの手札(2)捨ててもよい。その場合、相手はこのアタックの間、攻撃をヒットすることはできない。(無敵を持つユニットはデッキの中に四枚までしか入れられない)
・獣王の盾を持つもの 『星海騎士団』、ヒューマン
結局、また綾音が与えられたダメージはコイン一枚分だけだった。しかも、予想以上に相手の手札を捨てさせられなかった。まだ六枚も手札があると思うと、かなり憂鬱な状況だ。
苦虫を噛み潰そうような声で綾音はターンエンドと宣言する。
続くターン。柊真はさらに防御を固めるために進化せずに金剛石の騎士 ドレイク=ジャン、琴の騎士 ハリウスというカードを招集して手札を三枚獲得した。
・レベル2
・――登場時、あなたのセーブゾーンのコインの枚数、山札の上からカードを手札に加えてもよい。
・琴の騎士 ハリウス 『星海騎士団』、アークヒューマン
その後はいつもどおりのらりくらりと攻撃する。手札を二枚消費して、その攻撃を綾音は防いだ。
今、彩音の手札は八枚。対して柊真は十一枚だ。手札の差もあるが、何よりもその鉄壁の防御能力が怖い。獣王の盾を持つもの、などといった完全防御のカードや、弾道を予測せしもの、のようなレベルを底上げしてくるようなユニットがあと何体いるかわかったものではないからだ。
最初は楽に倒せる、と思ったが、ここに来てちょっとだけ綾音は面倒な相手だな、と思い始めた。防御に特化した『星海騎士団』をうまく使いこなしている。
「うー。これは予想外。どうしよう、どうしよう?」
本気で悩んでいるかのように彩音はブンブン首を振る。
「よし、こうしよう。ドロー、起床」
そして、
「リディー・マーレを撤退させて、招集。夢幻算術博士 ナハト・グラガナッツォ」
・レベル4
・――1)登場時、手札(6)を捨ててもよい。その場合、相手の手札を自分のドロップゾーンのカードの枚数、捨てさせてもよい。
――2)詠唱(3)、手札(3)を捨ててもよい。その場合、山札の上から四枚を見て、一枚を手札に、一枚をドロップゾーンに、一枚をバトルゾーンに置いてもよい。その後、残ったカードを山札の下に好きな順序で置く。
・夢幻算術博士 ナハト=グラガナッツォ 『夢幻魔術学院』、ディースドレイク
リディーを糧にして現れたのは目のない骸骨の顔が無数の大根の根に張り付いたかのような謎の生命体。歯茎をむき出しにして、ピエロの様な野蛮な笑みを浮かべている。およそ生物とも思えない見た目をしているその生物には腕はなく、また足もない。空中に浮遊し、瞳のない顔を見せつけるかのようにクロードたちへと向けているだけだった。




