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依頼達成と攫い屋報告

 森林調査後しばらく捜索してみても結局攫い屋の二人が見つかることはなく。


「これでおしまいね! さすがはアタシ、完璧な仕事だわ!」

「ノエルちゃんおつかれさま!! はいこれ、しぼりたてジュース!」


 中規模以上の魔物の巣は確認できなかったもののそもそもナラナフ森林自体が樹木型魔物たちの巣のようなものだということで始めた、ナラナフ森林を見渡せる山の山頂への時限式映像記録装置の設置作業も完了し――


「見えてきたわね」

「うん! まえ来たときとはちがって列ができたりはしてないね!」


 依頼を受け出発した日からおよそ三十日。

 やっと帰ってくることのできた、久方ぶりのリカルドの街。


 以前見たときとは違い街に向かって馬車なんかの行列ができていないところを見るに、表面的な時計騒動はある程度収束したということだろうか?

 しっかりと状況を確認するまで安心はできないがたしか表面的でない問題の方はそういった問題を専門としている者が対処するということであったし、この様子ならこのあいだみたいに街に入ってすぐまた出ていくなんてことにはならなそうだな。


『着いたのか?』

《いや、まだ見えてきただけだ。街に入るには最短でもあと三分はかかるな》

『そうか』


 以前戻ってきたときはゆっくりと食べ歩く時間すらなかったせいかテッドもリカルドの街での食事を楽しみにしているようだし、とりあえずテッドが満足いくくらい食べられるまでは街に滞在できるといいんだが……。






「よくやってくれた。お前達のおかげで大分有利に事が進められたと交渉官も喜んでいたぞ。ギルドとしても面目を保つことができたし、今はお前達じゃないと対処できないような依頼もないからな。しばらくは自由に骨を休めてくれ」


 街に入り、屋台で売られていた料理をいくつか簡単に見繕いテッドのいるかばんに放り込んでからきた数十日ぶりのギルド長室。

 冒険者ギルドがどこまで街に協力していてどの程度情報を伝えられているのかは知らないが、いまのギルド長の発言を聞いた感じだと俺が発端となってしまった時計騒動はこの街にとって良い方向へと進んでいるのだろう。

 これならドルブのおっちゃんの工房まわりもかなり落ち着いてきているだろうから安心だし、テッドにも腹いっぱい食わせてやることができそうだな。


 とはいっても……。


《よかったな、テッド。しばらくは食巡りの日々を送れるぞ》

『そうか。では早速今日から巡るぞ。明日以降は朝から晩まで……』

《戦闘訓練もあるから一日中ずっとというのは無理だな》


 当然、限度というものはある。


 珍しくテッドもはしゃいでいるようだし多少無理する程度で済むなら付き合うが、さすがに訓練時間を削るような真似はできないし、金銭的な制限はなくとも時間的・体力的な制限はある。

 俺が分身できたりテッドが俺やフィナンシェたちの協力がなくても自由に買い食いできたりというのであれば話は別かもしれないが、そんなことはできないのだからそこは諦めてもらうしかない。


 というかそんなことよりも、以前説明されたような気もするがすっかり忘れてしまったのか……俺たちが行動したことがどうして交渉を有利に進めることに繋がったのか、そこがよくわからない。

 フィナンシェやノエルの力と存在を他国に示すことが有利につながったのかそれとも時限式映像記録装置にそれだけの力や価値があったのか……とにかく……。


「それで? お前達が遭った攫い屋二人ってのはどんな奴らなんだ?」

「名前と能力、それとその二人組の隠れ家や人攫いの方法なんかはすべてこの紙にまとめてあるわ」

「女の子の方の魔法が強力で気がついたらいつのまにかいなくなってて……」

「この血統魔法《隠形極致》とかいうやつか。確かに厄介そうだな」


 ……とも思ったが、交渉と依頼の関係性についてはまた後で考えればいいか。

 偉い人たちの考えることなんて元々わかりはしないし俺たちのおかげで交渉が有利に運んだというのなら交渉が有利に進むような何かが三ヶ所での魔物の巣確認と時限式映像記録装置の設置という依頼には秘められていたのだろう。


 ――と、とりあえず今はそういうことで納得しておくとして、俺も攫い屋二人の情報をギルド長に伝える会話に参加した方がよさそうだな。

 なんといってもあの二人、また俺たちを襲ってくる可能性があるし、あんな厄介な魔法をつかってくるヤツらなんてもう相手にしたくないからな。

 ギルドや街の方で捕まえてくれるというのなら、それにこしたことはない。

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