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一ヶ所目:ロックブロックの岩場

 浮遊魔術で宙へ浮かび、馬に引っ張られる空の旅。


 ギルド長室を出てすぐ、


「まずはじめに、ロックブロックの岩場に行った方がいいわね。そのあとガラガ湖、ナラナフ森林の順に回るのが一番効率がいいと思うわ」

「うん、私もノエルちゃんの意見に賛成! じゃあ、ロックブロックの岩場に向かってレッツ、ゴー!!」


 と行先が決定し食料を補充してから出発したリカルドの街はすでに遥か彼方。


 街に帰還し即日出発。

 結局、リカルドの街にいたのは一~二時間ほどだろうか?

 久しぶりに筋肉ダルマやクライヴの顔を見たりオコノミヤキやチャーハンなんかの再現料理を食べたりしたかったんだが、ゆっくりする暇もなかったな。

 ギルド長は「戻ってきたばかりで悪いが二日以内にはまた街を発ってくれ」と言っていたのだから今日くらいは街に滞在して明日の朝早くに出発するという選択肢もあっただろうに……。


 ……とはいえ「急ぎの仕事なんだから早く出発した方がいいに決まってるじゃない!」というノエルの言い分もわからなくはないし、街でゆっくりできなかったのは残念だったがまぁ仕方ない。

 ギルド長室を出た時点で防具や武器、旅に必要な道具の損耗もほとんどなし。あとは食糧さえ補充すればすぐにでも出発できるという状況だったのだからノエルやフィナンシェが今すぐ出発しようという結論に至ったのも当然の帰結だったのだろう。

 実際、食料を買い集めてすぐに出発できているわけだしな……。

 リカルドの街でゆっくりするのはまた次の機会の楽しみということにしておこう。


 ――などと考えた日から三日。

 二つの町と道中の山腹に発見した一つの洞窟の中で三つの夜を越し、二か所の危険地帯をフィナンシェとノエルの剣技や魔術でごり押し又はノエルの浮遊魔術で強引に飛び越え辿り着いたのはロックブロックの岩場と呼ばれるなだらかな斜面に大量の岩が散乱あるいは山積している広大な岩石地帯。


 ギルド長の予想ではこの岩場のどこかに大きな魔物の巣ができているのではないかということだったが……。


「あっ! あった!! あれがそうじゃないかな!」


 浮遊魔術で上空から魔物の巣を探している最中、パーティ内で一番視力の良いフィナンシェが魔物の巣らしきものを見つけたと大きな声で告げてくる。


「どこだ?」

「ほら、あそこ! あの岩がぐるっと積み重なって円みたいになってるところ! もっと近づいてみないとわからないけど、たぶんあそこが魔物の巣になってるんじゃないかな!」


 フィナンシェに正確な位置を訊ね、返ってきた声とフィナンシェの指差す方に視線をやればたしかに周囲よりも一段か二段分盛り上がった岩山らしきものが見える……ような気がする。

 しかし、あれは本当に岩山なのだろうか?


「ここからだと、少し大きいだけの普通の岩のようも感じられるな……」


 見渡す限り岩ばかりのせいか遠近感が狂って正確な距離と大きさが掴めない。

 この位置からだと岩山らしきものの高さは眼前にもってきた親指一本分の長さと同じくらいに見えるが、これはかなり距離があるから小さく見えているだけなのか、それとも実際にそこまで大きくない岩なのか……。

 フィナンシェが無警戒に声を上げるくらいだからある程度の距離は離れていて大きさもそこそこ以上なのだろうとは思うし『ぐるっと積み重なって円みたいになってる』という言い方をしていたのも気になりはするが、とにかく、近づいてみないことには何もわからない。


 ギルド長の話では数十日前に各国の代表が集まって開催された会議の結果差し迫った危険がないかを調べるために普段人が立ち入らないような場所に調査員を派遣してみたら幾つかの場所で中規模以上の魔物の巣が発見されたからまだ調査が行われていない三ヶ所を俺たちに調査してきてほしい、そしてもし魔物の巣があるようなら調査の一環としてこの新型科学魔法道具『時限式映像記録装置』を設置してきてほしいということだったが、本当にこの場所に魔物の巣があるのかどうか。


 おそらくはラシュナへ向かう途中で俺たちが発見したゴブリンの集落もギルド長が言っていた人が立ち入らない場所に形成された中規模以上の魔物の巣というやつだったのだろうし、あの集落のあった場所とこの場所の類似点を探ってみれば、このロックブロックの岩場に中規模以上の魔物の巣がある可能性はかなり高いような気はするな……。

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