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謎の物体とお届け依頼?

「へぇ、トールと嬢ちゃんたちがそんな活躍をなぁ」

「いやー、俺も驚いたぜ。トールのやつは初めてギルドに来た時からギルド内にいたヤツら全員をビビらせちまうようなやつだったが、その後もスタンピードの活躍に二回のヒュドラ討伐、他にもそれと並ぶくらいデカい仕事を二つこなした上でさらにはついこの間の魔湧きの活躍ときたもんだ。魔湧きの防衛に参加しに行ったはずのこいつらが魔湧きの発生源ごと魔湧きをぶっ潰したって聞いたときは何の冗談かと思ったぜ」

「ダンジョンをぶっ潰した? ってのは、どういうことだ?」

「ああ。なんでもダンジョンが巨大魔物に変化して、それをこいつらが消滅させちまったって話だったが……その話は事実なんだよな?」

「ええ、大体合ってるわね」

「な? すげぇんだよ、こいつらは」


 ドルブのおっちゃんに俺やテッドがこの世界に来て以降の活躍を楽しそうに説明していくギルド長。

 まるでもう話は終わったとでもいうように各国が俺たちにちょっかいをかけられない理由について軽く流されてしまったが、これはギルド長たちの中では俺が危険人物扱いされているのは当然ということなのだろうな。

 いまギルド長たちが語り合っている内容も俺たちが危険人物扱いされるようになった経緯ではあるからまったく無関係な話というわけでもないが、完全に盛り上がるための話のタネにされているだけだし。


《テッドは気づいていたか? 俺たちが国も手を出し辛いと思うほどの重要人物だと周知されていたことに》

『当然だ』

《……まぁ、そうだよな》


 予想外の周囲からの認識に愕然としてしまったが、周りを見ればフィナンシェもノエルも驚いていない。テッドも俺たちがそう見られていることには気づいていたらしい。

 つまり、俺やテッドの本当の実力はどうであれ周囲からの認識は完全にそういうものになってしまっているということなのだろう……。


 というか、そんなことを聞かされるためにわざわざ戻ってきたわけではないんだが。

 結局俺たちが急ぎ呼び戻された理由に関しては未だに全然説明されていないし、おっさん二人の仲が良いことはわかったからいつまでも二人だけで盛り上がってないでそろそろ詳細な説明をしてほしい。

 時計に関しては緊急事態と呼べるほどの内容だったとはいえ、これまでの話に俺たちを早急に呼び戻すほどの緊急性があったとはとても思えないんだが……。


「ギルド長、おっちゃん。俺たちは『緊急事態。至急戻ってこい』という伝言を受け取って急いで戻ってきたんだが、こんなにのんびりしていていいのか?」

「おお、そうだったな。忘れてたぜ。まだ用件を伝えてなかったな」


 やっぱり忘れてたか。

 というかそれ以前に、どうしてこんなダメなおっさんがギルド長を任されているのだろうか?

 他にも適任者はいそうなものなのに……。


「すまんすまん。だが、一応言っとくぞ。今のはお前達がこの街に戻ってきたばかりで疲れてるだろうから少し和ませてやろうと思ってだな……」


 今日ダメな姿を見るまでは頼りないところもあるもののもう少し威厳のあるちゃんとしたおっさんだと思ってたんだがこの姿を見てしまうともう、そうは思えないな。

 とりあえず、さっさと用件を聞いてしまうか。


「結局、俺たちは何をすればいいんだ? おっちゃんの護衛か?」

「いや、そっちは間に合ってる。カラク工房やその関係者にはすでに護衛を配備済みだ」

「なら、裏で動いているヤツらの妨害か?」

「それももう専門の者が動いているから心配ない」

「そうなのか……?」


 護衛は充分。妨害もしなくていい。

 それなら、俺たちへの要件というのはなんなんだ?

 おっちゃんがここに呼ばれたことから考えて、時計以外にも便利な物を知らないか訊きたいとかか?

 ……いや、時計だけでも問題になって忙しいこの時期にさすがにそれはないか。


 ――と、そこまで思考を巡らせたところで満を持してギルド長が口を開き、それと同時にギルド長とおっちゃんが何かを取り出し机の上に広げ始める。


「簡潔に言うぞ。お前達には、これを持ってここに行ってもらいたい」


 見せられたのは、四角い箱に丸いツマミのようなものが取り付けられた片手でも持てそうな大きさの物体が三つと三枚の地図。


「俺たちが……これを、ここに……?」


 ……よくわからないが、この箱三つを地図上の三ヶ所の地点に届けろということだろうか?

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