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 結界魔法に閉じこめられた……。


《テッド》

『なんだ?』

《……いや、なんでもない》


 テッドが反応していないということは結界の範囲はテッドの感知範囲半径十五メートルを余裕で覆えるほどのものなのだろう。

 魔力に聡いノエルとシフォンだけが声を上げ反応したことからも、その結界の大きさと強度は推して知るべしといったところか……。

 まぁとにかく、ノエルがわざわざ伝えてくるくらいだ。ただごとではないことだけは確か。

 早く状況を把握しないと、手遅れになるかもしれない。


 さて、状況を確認するために訊くべき相手は……。


「シフォン! 結界についてわかることをすべて教えてくれ!」


 やはり、シフォンだろうな。

 もしかしたらフィナンシェやテトラたちも結界が張られたことには気づいていてその上で声を上げることはしなかったのかもしれないが、ここは確実にわかっていそうな感じのシフォンに訊いた方がいい。

 ノエルは大規模魔術の準備で忙しいだろうし、もしシフォンの説明に不足があるようならあとでノエルが補足してくれるだろう。


「は、はいっ。ノエルさんから聞いた通り、私たちは結界内部、にっ! 閉じ込め、られ! ました!」


 一拍おいて、聞こえてくるシフォンの声。

 魔物と戦闘中だからかところどころ途切れ途切れになりながらも、シフォンが状況を説明してくれる。


「結界の大きさはラール半個分ほど! 私たちごとラシュナのダンジョンを囲んでいます!」


 途切れ途切れの声を聞いて戦闘をしながらの説明は大変そうだと思い、説明をノエルに代わってもらおうと考えていると突然シフォンの口調が安定しだす。

 おそらくはテトラや他の護衛騎士たちが頑張ってシフォンのもとに向かう魔物を減らしているのだろう。

 ほんの数秒前までよりも格段に聞き取りやすい。


 ……だが、少し頑張った程度でシフォンのもとまで辿り着く魔物を減らせるのなら、もっと早くからそうしていたはず。

 シフォンの身を守ることを第一としているテトラたちがこれまでそうしていなかったということは――


「シフォン様、申し訳ありません……」


 案の定、無理をしたせいかすぐに回復魔法を使用しなければいけないほどの傷を負わされる者が出始め、シフォンがそれを治療しているらしい音が聞こえてくる。


 当然といえば、当然だろう……。


 視界が悪い中、絶え間なく正面から襲い来る魔物たち。

 しかもラシュナのダンジョンの魔物は硬く、攻撃の通りにくい魔物も多い。

 そんな魔物を相手にフィナンシェや護衛騎士たちはこれまでも常に三~七体を相手に戦い続けていたはずなのに、その状態からさらにシフォンに向かう魔物までなくそうと無理をすれば当然怪我を負って然るべき。


「くっ……」


 そしてさらに聞こえてくる苦悶の声、荒くなる呼吸音。

 傷を負った護衛騎士もシフォンに回復してもらいながら戦闘を継続しているみたいだが、シフォンに回復魔法を頼むくらいだ。やはり能率は落ちているのだろう。


 傷を追い、動きを制限され、一度に対処できる魔物の数も減った仲間の穴を埋めるようにしてさらに無理を重ねる護衛騎士たち。

 その無理はやがて全体へと波及していき誰か一人が崩れた瞬間そこから一気に戦線が突き崩される。


 ――そんな未来がありありと目に浮かぶ。


 ……というより、もうすでに一度に俺の前までくる魔物の数も一体から二体に増え始めているし、時間が経てば経つほどに状況が悪くなっていくのは確実。

 一体ずつを相手にすることと、同時に二体以上を相手にし続けることでは体力の消耗も段違い。

 はっきり言ってもうきつくなってきている。説明を聞いていられる余裕もない。

 戦線が崩壊するまえにノエルの魔術が発動するという保証もないし、戦況を考えても、俺の体力を考えても、このままではまずいだろう。


「シフォン、説明はもういい! ノエル、続きを頼む! 無理ならいい!」

「言われなくてもわかってるわよ! 一度しか言わないからよく聞きなさい! まず結界の種類は――」


 これ以上シフォンに説明を続けさせるのはまずいと思いノエルに説明の続きを託すと、ノエルもそのつもりだったのかすぐに説明を引き継ぎ詳細な情報を語り始めてくれる。

 大規模魔術の発動に集中するため説明が難しいようなら無理に説明しなくてもよいとも伝えたにもかかわらずノエルは丁寧に状況を悦明してくれ、そして――

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