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持ち物確認

 本日2話目。

 1日1話の予定でしたがアクセス解析を見たら2話目の投稿を待ってくれている方がいそうな気がして嬉しくなっちゃったので2話目とついでに3話目も投稿!

 前言撤回。

 テッドが一緒ならなんとかなるかもしれないなんてことはなかった。


「なあテッド」

『なんだ?』

「ここ、どこだ?」

『知らん』

「知らんって。まぁ、この世界に来たばっかだし知らないところばかりなのは当然なんだが」


 そう言いながら周囲を見回すも壁、壁、壁。壁と天井しかない。ちなみに光源はズボンのポケットに入れてあった魔光石という魔力に反応して光る石だ。結構明るい。


「ここは洞窟か?」

『だろうな』

 だろうな、じゃないんだが。


「あのなぁ、お前が足元に注意しないからこんなことになったんだろ」

『我は生物的に下方への注意がしにくいのだ』

「それは……そうかもしれないけどさぁ」


 スライムは視力がない。というよりまず目がない。代わりに常に微弱な魔力を放出しておりその魔力が物に当たって跳ね返ってくることで初めてそこに物があると認識するのだとか。かつて地球界から来た者はセンサーやソナーのようなものと例えたらしい。


 テッドは自身を中心に半径十五メートル程の位置にあるものなら正確に把握できるらしいが、自身を起点としているため身長の低い魔物であるテッドの魔力はあまり遠くの地面までは届かず、さらにそうして地面に送られた魔力はテッドに向かって反射しにくいんだとか。


 孤児院育ちのためまともに勉強したことのない俺にはよくわからないが、とにかくスライムという魔物は地面を認識し辛いらしい。以前テッドに訊いてみたところ、何か物の上にでも登らない限り地面に関しては自分のほぼ真下しか認識できないと返答された。

 だから普段は俺の肩や頭の上に乗ったり俺が抱えたりして移動していたのだが、この世界に来て少しびびってしまっていた俺に呆れて自分一匹で移動していたら穴に落ち、焦ってそれを追いかけた俺もここに落ちてしまったというのが事の顛末である。草原の草に隠れるような位置にあったせいで俺も穴の発見が遅れてしまった。


「ていうかここホントに洞窟か? 俺たちが落ちてきた穴が見つからないんだが」

『もしかしたらそういう生き物かもな。ここは胃袋かもしれん』

「怖いこと言うなよ」


 俺たちが元いた人魔界では聞いたことないがこの世界にはそういう生物がいてもおかしくない。

 慌てて再び周囲を見回す。

 やっぱり壁しかない。

 四方は壁に囲まれ、天井を見ても俺たちが落ちてきたはずの穴は見つからない。この洞窟が実は生物なのだとしたらあの穴は口か。もしかしたら穴が開いていたのではなく、テッドが近づいた瞬間に急に穴が開いたのかもしれない。


「まずいな」


 この洞窟が生物かどうかは置いておくとしても出口が見当たらない。このままではいずれ死んでしまう。


「とりあえず一度持ち物を確認しておくか」


 背負っていたかばんを下ろし、地面の上に座り込み持ち物を確認する。


 まずは「人間の頭が四つは入る」という不穏な触れ込みで売られていたブラウンブルという牛型の魔物の革で作られた背負いかばんが一つ。「牛」というのは地球界の獣の一種らしい。牛型という括りの他に鳥型や虫型等いろんなバリエーションがあり、ブル種やミノタウロスのように名称は異なるが特徴が似ている魔物をまとめて表現できて便利という理由で使用され始めたと聞いている。

 ブラッドブルの背負いかばんは触れ込み通りテッド五匹分(人間の頭四つ)くらいは入る容量をしていて、かばんの口を開閉するための機構には地球界から持ち込まれた金具ベルトというものが使用されている。

 他にはかばんに入れていたナイフ、懐中時計、鉄杭、木槌、縄、布、着替え、干し肉、木の実、薬草、水入りの皮袋。

 それと腰に提げていた短剣、銅貨袋とその中に入っていた銅貨。

 ズボンのポケットに入れていた明度の異なる魔光石が五つ。

 現在の装備は麻でつくられた服に皮でできたブーツ、ブラッドブルの革をなめした胴体、腕、脚を守るための革鎧と手袋。 

 あとは右手薬指にはめてあった指輪。この指輪は孤児院にいた頃にすっごく偉いというおっちゃんからもらったものだ。四年まえ孤児院に来た筋骨隆々のでかいおっちゃんに「いろんな世界の人と仲良くなりたい」と語ったら「じゃあこれが必要だな」という言葉とともにおっちゃんがくれた。どんな意味があるのかはわからないがせっかくもらったのでとりあえず身につけている。おっちゃんはこの指輪をしていると自動で通訳がどーたらこーたらと説明してくれたが通訳というのがなんなのかは結局わからずじまいだ。


 それでだ。確認したところ、“世界渡り”の時に身に着けていた物はすべてこちらの世界に来ているようだった。

 武器や防具に最低限の道具があるのは良かったが、それにしても食料が少ない。


「持って七日くらいだろうか」

『まともに動けるのは三日くらいだろうな』


 たしかに、いままでの経験からするとこの食料の量からして四日も経つときつくなりそうだ。

 もともと実入りが少なく普段からしっかりとした食事をいただけていない上にそもそも今日は日帰りでちょっと森に行くだけの予定だったからあまり食料を持ってきていない。町で用意した干し肉と森で採取した木の実が少しだけ。

 飲み水は魔法で出せるといっても魔法をつかうにも体力は必要だ。


 森行き用の装備だったのもいけなかった。唯一持っている頭用装備の頭から首までをすっぽり覆えるヘルムは視界確保のために孤児院にいる院長に預けてきてしまった。武器も取り回しやすい短剣以外は置いてきている。ナイフは武器として使えるかもしれないが長さ的には短剣とそう変わらないし短剣の方が丈夫で武器としての性能も高い。


 今の装備では首から上の防御力に不安が残る上に超近距離戦しかできない。俺の近接戦闘の技術はそんなに高くないし、短剣も皮の分厚い魔物相手じゃ役に立たない。精々かすり傷を与えられる程度だろうか。かすり傷でも与え続ければなんとか倒せるかもしれないが十中八九そうなる前に敵の攻撃が俺に当たる。もしそういった魔物に襲われたらひとたまりもない。


 まぁ、まだこの世界に魔物のような危険な生物がいるかわからないしそもそもここから出られなきゃ防具や武器の有無に関係なく死ぬことになるんだが。


「とりあえず鉄杭で壁を削ってみるか。この洞窟がもし生き物だってんなら何か反応があるかもしれない」

『うむ。では我はもう少しこの空間を探ってみる』

「頼む」


 スライムは最弱と言われるほど非力な魔物のため力を必要とする作業には向いてない。

 その点、探索は力を必要としない。それに、スライムが視界として利用している魔力は物体をある程度透過する。テッドが調べれば何か見つかるかもしれない。

 アクセス解析をどの程度信用していいのかはわかりませんが「読んでくれてる人がいるかも」という気持ちは執筆する際の高いモチベーションに繋がりますね。

 読んでくださった方、ありがとうございます。

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