死別と身体拘束
「このスマイルはうちの父が創ったものです」
とあやは打った
「びっくりしました、すごいです」
と相正悟
「私の夢は、両親のように、立派に仕事をして、家庭を持つことです」
とあやは打った
「ご両親のお仕事は何ですか」
と相正悟
「父はIT企業、母はモデルです」
とあや
「だからお美しいんですね」
と相正悟
「誰にでもいいねしてますね」
とあや
「フェイスブックではそういうもんです、僕は口は軽いですが、行動は軽くないです」
と相正悟
「そうですね、楽しくやりましょう」
とあや
「ライブチャットとかはやらないんですか」
とあやは言った
「やったことないです、怖いです」
と相正悟
「お気に入りの相手は見つかりましたか」
とあや
「僕は選べないでいます、あまりにもたくさんの方がいらっしゃって、中にはすべて面倒を見てくれる
と言って下さる外国人の美女もいます、金銭面も含めてのことだというのです」
あやはびっくりした
そんなことってあるのだろうか
いやアリなんだろうか
「私も彼氏が欲しいです」
とあやは打った
「いらっしゃらないのですか、お美しいため、いると思ってました」
と相正悟
「僕はどうしていいか分からないでいます、死別しているためです、人間の命は平等だって
言うじゃないですか」
「僕は強引に誘われたら欲望に負けます、その、強引に誘う女性が現れたとき
僕はどうすべきなのか悩んでいます」
「断っていいと思います」
とあやは打った
「現実に僕は誘われてます」
「もちろん、僕は一人では寂しいのです」
「前の奥さんとの間に、お子さんとかいらっしゃらないんですか」
とあやは打った
「いません、あと彼女です、付き合いは9年半です」
「でも今は苦しくなく、吹っ切れた感じです、精神科で身体拘束されてこうなりました」
と相正悟
そんなことってあるのか
あやはびっくりした
「病気の方は大丈夫ですか」
とあやは打った
「調子いいです」
と相正悟
あやがどう打とうか考えていると
「ごはんよ-」
というライアンの声がした
「は-い」
あやはスマホの電源を切り
部屋を出た
あやが居間に行くと
すでにライアンと父が待っていた
テ-ブルの上に並べられているのは
焼きそばだった
「おいしそう」
とあやは言い、席に着いた
3人はいただきますを言って食べ始めた
「おいしい」
と父の健二は言った
「ありがとう」
とライアン
「おいしい」
とあやも言った
ライアンは
あやのことを少しうかがっているようだったが
何も言わなかった
あやは相正悟についてここで話すのは
はずかしい気がした
その日、あやはそれ以上スマホを見ることはなかった
代わりに歴史の教科書を読んだ
だが、勉強は手につかなかった
死別と身体拘束
彼女はいままで身近に考えたことがなかった
明日は月曜日である
相正悟は暇であろうか
明日は朝からスマイルをやってみたかった