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僕をさりげなく弱らせる方法  作者: 降井田むさし
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ガソリンと僕

ガソリンスタンドにあまり行かない。ガソリンスタンドに人並みには行かない。車は普通に乗っている。車は人並みに乗っている。ガソリンスタンドに行くのは好きではない。ガソリンスタンドに行くのが嫌いでもない。人波に揉まれることより嫌いなことはない。


会社の人に二ヶ月から三ヶ月ガソリンスタンドに行かなくてもガソリンが無くならないと言ったら驚かれた。ガソリンが減らない。そっと発進して、そっとそっと停止する。意識しなくてもそうなってしまう。慎重すぎるのが良いのか悪いのかは分からない。乗り心地がいいとよく言われるが、それは運転がすごいからなのか車がすごいからなのか分からない。


ガソリンスタンドでは言葉を発する。「レギュラー満タンで」と。だが毎回「はいっ?」と聞き直される。声が小さいからか、フライドポテトを頼んだらフランクフルトが出てきたくらい滑舌が悪いからか、車の窓を3分の1しか開けていないからか分からないが、1回で伝えられるように努力する。


ガソリンスタンドで、お釣りを貰うときにお釣りを外に落としたことがある。握力が弱いからか、店員との相性が合わないからか、車の窓を3分の1しか開けていないからか分からないが、もうお釣りを落とさないように努力する。


車がたくさん置いてある狭いガソリンスタンドで前の車が長居して狭い場所を通らされることがよくある。車の運転に限っては狭い場所が苦手なので怖い。歩行で狭い場所を通るのが好きなのだけは分かってもらいたい。


僕のガソリンはお茶と甘酒豆乳と沖縄そばのつゆである。ガソリン話はそんなにないからもう尽きた。僕とガソリンの間に、フライドポテトとフランクフルトくらいの関係性はない。


僕をさりげなく弱らせるとしたら、僕が運転する車を交通誘導員に扮して狭い道に誘導するのがいい。運転が苦手なので弱るだろう。ガソリンスタンドで働いて客の僕が「レギュラー満タンで」と言ったときに「ネギたっぷりのワンタンですか?」と聞き返すと弱らせるどころか元気になるので注意して欲しい。

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