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僕をさりげなく弱らせる方法  作者: 降井田むさし
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ヘリウムガスと僕

ヘリウムガス、それは、風船と人間をふわふわさせるヤツ。ヘリウムガス、それは、風船と人間の声を高くさせるヤツ。ヘリウムガス、それは、風船と人間の頬を膨らませるヤツ。ヘリウムガスにはそんなイメージしかない。ヘリウムガスとはそんなに接点がない。


生きていてヘリウムガスを口にする機会なんてほとんどない。ファンシーグッズとして接するくらいかもしれない。一度だけ僕もファンシーグッズとして購入したことがある。ファンシーな人が行き交う東京のファンシーグッズ店でファンシーグッズとして買った。


ヘリウムガスを吸うと声が高くなる。ヘリウムガスを吸うと声だけでなくテンションも高くなる。それが普通だと思っていた。もともと低い声だからどうなるのかすごく期待していた。でも声は全然高くならなかった。僕にしては高い方だけど人より少し低かったヘリウム前のテンションは、ヘリウム後にさらに低くなった。高い声が出なくてガッカリしたせいで、声もさらに低くなった。


肺の空気を抜くとか難しくて出来ない。浮き輪とかチャック付きの薄力粉の袋などの空気さえも上手に抜くことが出来ないのだから当たり前だ。空気を抜くことは全てのジャンルにおいて難しいものであるということだ。テレビ番組などで普通にヘリウムガスで高い声を出してる人を見るとすごいなって思う。


ヘリウムガスで声を高くすれば盛り上がる。友達との仲は自然とよくなる。その一方で何らかの壁や縁のようなものも生まれてしまうのは事実である。ヘリウムガスはプラスも与えてくれるが、減りも少なからず与えてくるということだ。ヘリウムガスは【縁生むガス】であり、【減り生むガス】でもあるということだ。


僕をさりげなく弱らせるとしたら、何かしらのホームパーティーがあると知人に僕を誘わせて、僕がそのホームパーティーに行くと喋る前に缶のヘリウムガスを吸っている人ばかり、みたいな状況にすればいい。その後もみんなで何回かヘリウムガスを吸って僕の前で高い声で会話をすれば、ファンシーグッズを買ったのに一度も声が変わることなく終わった、あの日の僕の苦い思い出が蘇り、弱ることだろう。

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