表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕をさりげなく弱らせる方法  作者: 降井田むさし
49/72

文庫本と僕

単行本だと一気に読めるけど、文庫本だと小分けにしないと気が済まない。なぜだか分からないが、とにかく一回本を閉じて数秒心を落ち着かせたくなる。単行本と文庫本では読むときのモチベーションにかなりの違いが出てくる。本の大きさや重さなどで違いが出てきてしまうのだ。


鞄に文庫本を入れたまま東京に遊びに行ったとき、雨に降られて文庫本がしわしわになってしまった。そして文庫本は二度と開くことの出来ないカラダになってしまった。その時からもう鞄に大切なものは入れないようにしようと誓った。その後から鞄には何も入れないようにしようと誓った。その後から鞄はもう持たないようにしようと決めた。その後からジーパンのポッケがパンパンに膨れ上がった。


少し前まで使っていた財布は黒くて少しだけザラザラしていたのだが、それと同じような素材の黒いブックカバーを今は使っている。文庫本を読んでいるのに『手帳?』とか『スケジュール帳?』とかよく聞かれる。確かに手帳っぽいと言われれば手帳っぽい。でもそのブックカバーをした文庫本を、手帳を見るような感じで目を通していたわけではないので不思議だ。


賞を受賞した作品は読んでいてあまり心を揺さぶってくれない。面白いとは思うがあまり受け付けないものが多い。そういう作品には難しい言葉や心情が溢れており、理解力が乏しい僕には向いていないのかもしれない。2、3日あれば読めてしまうものもあるが、そういった本は読むスピードがなかなか進まない。


最近は中古の文庫本の中の100円のものしか買わないし読まない。100円でかなり長い時間楽しませてくれるのはありがたい。100円ショップでお菓子を買うよりも、UFOキャッチャーで珍しいお菓子を1プレイ100円で狙うよりも楽しめる。お菓子は10噛みもあればすぐに体内に飲み込まれて消えてしまう。UFOキャッチャーなんて失敗すればただの100円飲み込みマシーンで、一瞬の楽しさしか残らない。100円の文庫本の方が断然楽しめる。


僕をさりげなく弱らせるとしたら、僕がたまに行くショッピングモール内にあるゲームセンターに文庫本のUFOキャッチャーを作ればいい。そしてそこに人気がありすぎて古本屋では200円以上する恋愛ものの小説を入れればいい。300円くらいは使うが、UFOキャッチャーはあまり得意ではないので結局何も取れずに終わって弱ることだろう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ