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僕をさりげなく弱らせる方法  作者: 降井田むさし
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不完全と僕

自分が不完全な人間であるとたまに思うことがある。誰でも一度は思ったことがあることなのかもしれない。自分は半分幽霊で半分しか人間ではないのかもしれないと誰でも一度は思ったことがあるかもしれない。半分だけ幽霊の不完全な人間なのかなと思うときがある。それは衛星中継並の来店音が流れてしまったときなどだ。コンビニに入ってしばらくは静かなままだったのに5秒後くらいに突然、無人の入り口からチャイムの音が鳴り響いてきたことがあった。


存在感というものは、この世に必要不可欠なものであることは間違いない。どんなに努力しても存在感がなければどうしようもない。【存在感のない屈強な男 < 存在感のあるガリガリ男子】となるだろう。存在感も立派な筋肉も何もない僕は一番下の方にいることだろう。


存在感や完全さは水分量で変わるのだろうか。人間に含まれている水分量でその人の濃さが変わるというのなら僕が存在感の薄い人間であることも納得出来る。食べることよりも飲むことが大好き。そして、水分補給はかなりやり過ぎる方。暇さえあればペットボトルをくわえているから。


コンビニやスーパーではドアを普通に通れる。しかし、書店はドアのセンサーにどうしても感知されにくいときがある。ドアが開かないことはたくさんあるが、ドアが閉まろうとする力に存在感が負けてしまったこともあった。【閉まっているドアを開けるために必要な力 < 閉まろうとしているドアを流れに逆らって開けるために必要な力】だろう。


毎回だったら警戒するが、ほどよくドアが開かない。二重の自動ドアになっている書店の入り口で二重ドアの二つともに続けて挟まれたことがあった。僕が不完全な人間であることも原因のひとつだが、僕が二段階で挟まるようなタイミングで先に入るお客さんがいたのが最大の原因かもしれない。


僕をさりげなく弱らせるとしたら、僕をまず飲み物の一切飲めない環境に誘い出し、水分がだいぶ抜けたのを確認したあと、書店に行くように仕向けて、あとは二重の自動ドアに祈りを込めていればいい。水分をとっていないのに二重の自動ドアに挟まれてしまったら、もう弱らないはずがないのだから。

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