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僕をさりげなく弱らせる方法  作者: 降井田むさし
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歯医者と僕

歯医者さんはたまにお世話になる。虫歯など歯石など色々な理由でお世話になっている。金属の凶器みたいな器具で削ったりしていくときに、「痛かったら左手を挙げてください」みたいなことをよく言われる。そう言われたときに僕は一度も手を挙げたことがない。挙げないことと挙げることの境界線が分からないからだ。


どのくらいの痛みから手を挙げていいのか分からない。少しは痛いけど歯医者さんの手を止めるほどの痛みでもないとき。痛いは痛いけど歯医者さんの作業の流れを止める方がツラいときなどがある。少ししか痛くなくて我慢は出来るけど痛いは痛いから歯医者さんの言うことをしっかりと守って手を挙げるべきかとか色々考えてしまう。


その他にも治療中には色々と考えてしまう。左手を挙げてと言われなかった時にものすごく痛かったらどうすればいいのかとか。治療が小休憩に入ったけど、うがいしてくださいと言われなかったときにうがいをした方がいいのか、しなくてもいいのかとか色々考えてしまう。


うがいをしてくださいと言われなかったのでしなかったら、だいぶ経ってからうがいをしていない僕に気付いたのか慌てて、うがいをしてくださいと言われたこともあった。歯医者さんが何か言っていたが「はいすいません」なのか「うがいしてください」なのか分からなかったときもあった。そのちょうど間くらいでどっちにも取れる発音だったからかなり悩んでしまった。


歯医者さんに行くのに遅くても早くても迷惑がかかると思ってしまう。理想は1分前くらいで歯医者さんに入りたい。妥協するとしても予約時刻の前3分では入りたい。隣のリサイクルショップで暇を潰したりしていつも時間を調整している。


マスクをした若い女性に覗かれると少しは興奮する。みんな元々キレイだとは思うがみんながキレイに見えてくる。歯医者さんにいる人はみんなキレイに見える。たぶんキレイに見えるだけではなく歯医者さんはキレイな人が多いに決まっているのだが。


僕をさりげなく弱らせるとしたら、歯科助手になって僕がいつも行っている歯医者さんで働いて、耳元で「痛かったら左手を挙げてください」と言って去ったあと、器具をわざとぶちまけて僕のカラダに当ててきたり、間違えて足を踏んできたり、色々痛がることをすればいい。その歯科助手が女装した男性でも、顔にあまり自信がない人でも、少し歳が上の人でも、ヤバイくらい可愛く見えてキュンキュンして弱る。

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