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僕をさりげなく弱らせる方法  作者: 降井田むさし
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ヴァイオリンと僕

『ヴ』という文字は普段は全く使わない。そもそも日本語にそういう文字は存在しないみたいだし。平仮名の『う』に点々はないし。『ヴ』という文字を見ると『有為転変』という四字熟語を思い出す。「『う』に点々だなぁ」と思っていると『うに点々』から『有為転変』へと脳が変換する。


有為転変がどういう意味かは分からない。意味は分からないが言葉の響きとか、漢字のカタチとかが好きだからそれでいい。この世の中は常に変化しているから有為転変の意味なんて知らなくてもいいのだ。


バイオリンは僕の人生に少なからず絡み、少なからず影響を与えた。バイオリンバンドみたいな人たちを好きになったりした。ロックな音楽にバイオリンの美しい音色がマッチしていて何とも言えない麗しさを感じた。毒舌バイオリニストのファンになったりもした。ズバズバ言う人と天然な人が好きなのでハマった時期があった。


色々とバイオリンは僕の人生に関わっているが、正直バイオリンをよく知らない。よくある砂時計みたいな形で、四つの弦があって、何かの動物の毛で出来た棒で擦って高い音を出す楽器ということは知っている。串におでんの大根を二本刺しましたみたいな形であることも知っている。しかし、歴史とか弾き方とかは全く分からない。僕の中の弦楽器などの印象はとてもとても薄い。


オーケストラでいうとバイオリンよりもチェロの方がよく知っている。頭を占める面積が広いのは断然チェロである。たぶん、かなり昔に見たチェロのドラマのせいだろう。なんか物凄く激しい感じで赤い服を着た女性がチェロを弾いていた気がする。二十年くらい前だと思うが未だに強烈に頭に残っている。


僕がもしバイオリンを弾き始めたとしても、最初の頃はたぶん不協和音しか出ないと思うので、音に敏感な僕には習うことさえ出来ないだろう。【ヴァイオリンと僕】というテーマで書いていたにも関わらず、文中に【ヴァイオリン】ではなく【バイオリン】という言葉を連発したことは反省したい。


僕をさりげなく弱らせるとしたら、路上で毒舌と天然を垂れ流しながら赤いドレスのようなものを着てチェロを思う存分掻き鳴らせばいい。ドラマを思い出して何となく弱る。僕がそこを通ったときに10個入り98円の特売のたまごを持っていた場合は驚いて落としてたまごが割れてしまうと思うのでさらに弱る。

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