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僕をさりげなく弱らせる方法  作者: 降井田むさし
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漬けマグロと僕

マグロは間違いない。お寿司屋さんに行って必ず一皿は取ってしまう。誰しもが必ず一皿は取ってしまうのがマグロ。ネギトロもある。とろけるような大トロもある。ほどよい口当たりの中トロもある。炙ってもよし。煮てもよし。焼いてもよし。頭も美味しい。目玉も美味しい。そして漬けにするともっと間違いない。


ネギトロ丼も好きだけど、漬けマグロ丼の方が好きだ。漬けマグロというものは今世紀最大の発明ではないかと僕は思う。醤油に漬けただけであんなふうになるなんて誰も思わない。マグロを醤油などのタレに漬ける想像をしてもあの味や見た目には辿り着かない。醤油とみりんと酒の魔法にかかったマグロは最強なのである。


漬けマグロとご飯の相性は抜群。漬けマグロとご飯だけで十分満足できる。だがシソとワサビもあれば文句なし。シソとワサビが加わることによってさらに美味しくなってゆく。醤油とみりんと酒とワサビとシソとご飯の魔法にかかったマグロは最強なのである。


つけマグロと普通だったら読む。でも一般的な読み方は『づけまぐろ』。頭から濁るなんてあまりない。今までに頭から濁った言葉なんて存在しただろうか。正式名称はたぶん『醤油漬けマグロ』だと思うが、『漬けマグロ』というネーミングが定着したことは驚きである。この読み方を他のもので例えるなら、溜まり醤油を『だまりじょうゆ』と読むようなものだろう。


僕をさりげなく弱らせるとしたら、僕とそれなりに仲良くなった後に、僕を夜中に自分の家に招いて、暗闇の中、懐中電灯だけで庭に誘導して、膨らますタイプの丸いビニールプールの前まで歩かせて、そのままビニールプールに入った漬けマグロ用のタレに突き落とせばいい。イタズラだと思えば何の違和感もない。服が醤油まみれになって少し弱り、大好きな漬けマグロを身をもって体験したことにより漬けマグロの大変さが分かり、さらに弱ることだろう。

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