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僕をさりげなく弱らせる方法  作者: 降井田むさし
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一人称と僕

一人称が定まりきらない。文字の場合は「僕」や「私」や「自分」を使う。それも全く知らない人に向けて書く場合だけで一人称は極力使いたくない。自分に合う一人称がひとつも見当たらないからだ。どの一人称を使っても違和感がしゃしゃり出てしまう。周りは意外と一人称に敏感で頭の中で「あなたがこの一人称?」と思っているに違いない。


一人称が使えなくなったのは小学生の頃。自分のことを「名前+ちゃん」で呼んでいて周りの反応で変だと気付いた。でも、そのときに他の一人称に乗り換え損ねたのだ。初一人称が「僕」だったら一人称という言葉を意識せずに生きていたかもしれない。そして少しは充実した一人称ライフを歩んでいたかもしれない。


一人称界は「僕」と「私」で成り立っていると言っても過言ではない。なので使わなくてはならない時は、その2つを使用させていただいている。喋るときに「自分」は複数回使ったのを覚えているのだが、書く以外で「僕」や「私」はほとんど使ってない気がする。


「僕」という一人称は子供っぽくて頼りなさそうなイメージであまりカッコよくない。「私」という一人称は女性が使うというイメージであまり男らしくない。「俺」という一人称はワガママなイメージを相手に与えてしまい自分に合っていない。「ワシ」はおじいさんぽいし、「ウチ」は普通の男が扱える一人称ではない。「自分」は使いやすさはあるが、軍隊感が邪魔をする。「こっち」というのもあるが、たぶん相手に一人称として認識されないのでダメ。


一人称を使いたくないのに、使わずに話していていたら「誰の話?」みたいに聞かれたり、誰のものか分からないものを「これ誰のか分かる?」と聞いてくるという状況になったことがある。そんな場合は三つの方法で対処してきた。

①顔の前で小さく手を挙げる

②自分の胸を右手で優しく触る

③右手の親指で自分をそっと指す

一人称を使うよりも、そうした方が断然恥ずかしくない。


新しい一人称を作るという案もある。だが作った一人称が国民に馴染んでくれないと違和感は他のものより多くなる。なので僕はこれからも最低限の一人称だけを喋るだけだ。


僕をさりげなく弱らせるとしたら、一人称にフルネームを使って僕に話しかけて、段々「フルネーム一人称」の使用頻度を高くしていってほしい。そうすれば僕の頭は混乱し続けて、おかしくなり弱ることだろう。そして、一人称を使うのがもっと嫌になり、さらに弱ることだろう。スラスラとフルネームを言えば、違和感は生まれず、さりげなく映るので大丈夫だ。

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― 新着の感想 ―
[一言] 一人称について悩まれる方がいることに感動しました。また、少し嬉しくなりました(少し質が悪いのでしょうか?)。私も、よく悩んでは時間を消費してしまいます。 最後まで読みます。
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