グラタンと僕
グラタンは好き。だがグラタン食べたいなと頭に浮かぶ程でもない。絶対これが食べたい!みたいなものはグラタンに限らずない。グラタンはメニューに載っているのを見て、そういえばグラタンっていう食べ物あったな、そういえばグラタン好きだったなみたいになる。ハンバーグを食べにレストランに行って、メニューからグラタンを見つけても決心がグラグラすることもなく、淡々とハンバーグを楽しむ。グラグラせず、淡々と。
グラタンではないが、あるファミレスの安いあるドリアが好きだった。その店ではドリンクバーとそのドリアしか頼んだことないくらい安かった。つまり『ドリ』から始まるものしか頼んだことがないということだ。ドリアンのアイスがメニューにあったとしても頼まないと思うが。
グラタンは焼き色が一番大事である。焼き色が食欲の九割を司る。グラタンはチーズも一番大事である。チーズは旨味の九割を司る。グラタンはマカロニも同率一位である。いつも食べるグラタンのマカロニは体積の九割を司る。あとホワイトソースも大事。
グラタンに使われているホワイトソースは小麦粉で出来ている。グラタンに使われているマカロニも小麦粉で出来ている。グラタンはほとんど小麦粉だ。グラタン=小麦粉。マカロニをパンに変えても小麦粉だし、マカロニをうどんに変えても小麦粉である。金属のフォークをビスケットのフォークに変えても小麦粉が増えるだけだ。
僕をさりげなく弱らせるとしたら、食器も箸もスプーンもフォークも全部小麦粉製に変えてしまうことより、グラタンコロッケバーガーにどれくらいの小麦粉が含まれているのかやグラタンコロッケバーガーの具材で小麦粉が含まれていない具材はあるのかについて力説することだ。グラタンコロッケバーガー=小麦粉ということは知っているものの、改めて力説されると突き刺さるというかいい具合に弱ると思う。




