炎龍と武器
キャラが迷子です。。
転移した先、龍の住処には炎龍が後ろにある何かを守る様にこちらを睨みつけながら佇んでいた。
卵・・・おそらく炎龍の子供だろう。卵があるということはこの龍は番のはずだが近くに他の気配がある様には感じられない。
「GGYAAAAAAAAAAAAA!!!!」
人語を話すことができない龍は普通の人間なら吹き飛びそうな勢いで咆哮をあげた。
その咆哮に対して無効系のスキルが発動したのを感じた。威力がありすぎる咆哮は攻撃とみなされたのだろうか?
俺はしっかりと炎龍を観察する。何せ楽しみにしていた龍だ、地球ではカッコいいと憧れはすれど、絶対に出会うことが出来ないーーできなかったはずの龍だ。
これを機にしっかりと目に焼き付ける。
炎龍とはいえ、常に火を纏っているという様なことはなかった。だが、まるで燃えているかの様に見える真っ赤な鱗がフェンリル同様、10mを超えるであろう巨体にびっしり張り付いている。
それに、足の爪や口の牙はなどは、まるで引き裂き、噛みちぎれないものなど存在しないだろうと感じさせる程鋭い。
炎龍は咆哮によるダメージが一切なかった様に見える人間に驚いた。
「GGYAAAAAAAAAAAAA」ともう一度咆哮をあげ、今度はそのままブレスを放ってくる。
目の前の人間が普通の人間とは違い自分の敵になり得る存在だと認識したのだ。
俺は神言を使わずに攻撃を受け続けた。
この世界で最強の一角を担う龍がどの様な攻撃をしてくるのかに興味を持ったからだ。だが・・・
「こんなものか・・・」
確かに龍は最強だ。でもそれはあくまでも、普通の人間にとっては・・・だ。
<hr>
炎龍 (オス) レベル192
種族ー龍
体力ー78000
魔力ー63000
筋力ー82100
魔攻ー71000
敏捷ー70000
器用ー65000
魔耐ー98000
物耐ー100000
<スキル>
炎属性魔法(超)・飛行(超)・全耐性(極)・威圧(極)・咆哮(極)
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メーティスに聞いた話では、この世界での俺を抜いた最強のステータスは平均で30000前後なのだそうだ。そう考えるとやはり強い。
だがそんなステータスに恐怖も感じず、焦りもない。
"動くな"
たった一言、これだけで決着がつく。
いくら最強の一角とはいえ、神狼ですら逆らえないスキル<神言>に刃向かう事などできはしない。
龍は、昨日のゴブリンキングと同様に戸惑い、そして動かなくなる。
下等生物である人間の"動くな"という言葉聞いただけで自分の体の制御が持っていかれた。
その事実に龍は焦りを見せた。だが、もう遅い。
今朝作った剣を異空庫から取り出し龍の首を落とす。
ドスンッと大きな音を立てて龍の体が倒れる。
<hr>
<成長する剣> レベル68
筋力上昇ー860
器用上昇ー680
<スキル>
炎纏・
<概要>
イツキによって作られた剣。
倒した魔物の能力に応じて経験値を獲得し成長する。
倒した敵のスキルを一つ獲得することができる。
剣の所有者が変わるとレベルやスキル、能力値は初期の値まで戻る。
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「主のスキルは相変わらず強すぎであるな・・・」
小さくなったフェンが話しかけて来た。
フェンの実力を見るいい機会だったかも、と一瞬頭をよぎったが、初の龍討伐はやはり自分がしたかったのでよしとする。
「俺もそう思うよ。安全だし強いけど・・・そのうち飽きそうだな、これは」
俺は呆れ気味にそう言う。
飽きない様に剣を作ったはずだったのだが・・・
「とりあえず帰って報告しよう。これで6人目のSランクに上げてくれるはずだから」
戦闘に時間はかかっていないため、まだ昼前、あまり早く帰っても怪しまれそうだ。
そもそもこの場所まで来るのに本来なら1日はかかるだろう。そんな所に日帰りで、しかも龍討伐を成功させて帰ったら目立ちすぎる・・・・・と思ったが目立つのが目的なのだから別にいいではないだろうか?とすぐに考え直す。
「転移は使わずにフェンに乗って行こうか。一人が乗れるくらいのサイズになれる?」
「可能だ」
「そっか。じゃあよろしくね。道中で剣を育てたいから魔物は狩りながら行こう」
「さて、卵はどうしようかな?これって育てたら孵化するのかな?」
『します。そして生まれた子供は最初に見た者を親だと認識するので、マスターが孵化させれば敵対されることもなくなります』
昨日までは呼ばないと返事がなかったメーティスだが、一日で俺が何か疑問に思ったことがあれば自ら話しかけて来る様になった。これも嬉しい成長だ。
「うーん、じゃあ売ろうかと考えていたけど育てる事にしようか。そのうち背中に乗せて飛んでもらいたいな」
そんなことを思いながら炎龍と卵を異空間にしまい、フェンにまたがった。