帝都
今日はこれでラストです。
「でかすぎだろ・・・」
無事に城壁にたどり着いたが目の前には巨大で頑丈そうな壁。イツキなら壊すことも可能だが、常人や魔物の群れ程度では揺るぎもしないだろう。
城壁の前にいる兵士に話しかけられる。
「何か身分を証明できるものはあるか」
「ギルドカードでも大丈夫ですか?」
「ああ、問題ない。どれ?Fランクか、登録したばかりか?」
「ええ、先月登録したんですが、一度もクエストを受けていなくて・・・」
適当な嘘をつく。
もしここで今日作ったばかりなどと言ったら中に入れてもらうことはできないだろう。ギルドがある街にはどんなに馬車を忙せても三日はかかる。
「そうか。Fランクだから作り直しでも問題ないだろうが、印象が悪くなるからな、今後ランクを上げる予定なら作り直しになる前に簡単なやつやっといた方がいいぞ」
「親切にありがとうございます!」
「ああ、気にするな。よし、入っていいぞ」
巨大な門を通り歩いていく。
「おお!すっげー!!」
帝都は王都を軽く超える賑わいを見せていた。流石は大陸一の広さと強さを誇る国ということだろう。
「とりあえず宿だな。」
(メーティス、宿まで案内よろしく!)
『かしこまりました』
宿に向かう途中何やらいい匂いが漂ってきた。どうやら"ブラッドベアー"という魔物の肉らし。
試しに食べてみたがこれもかなり美味い!しかも銅貨1枚とかなり安い。
ちなみに、この世界ののお金は鉄貨、銅貨、銀貨、金貨、白金貨の5種類らしい。鉄貨100枚で銅貨に、銅貨は100枚で銀貨に、と100枚で上の貨幣に交換できる。
一般家庭の4人家族が、大体月銀貨20枚あれば暮らせる。
宿は位にもよるが、一般的な宿で一泊銅貨50枚前後くらいになる。
ブラッドベアーはB級のモンスター(Bランク冒険者の4人PTで討伐可能)でギルドに持っていくと状態にもよるが、綺麗だと銀貨10枚〜15枚で売れるらしい。
「明日から本格的に働かないとまずいな・・・もう銀1枚しか残ってない。」
そしてこの銀貨も宿代でほとんど消える。
串焼き屋からしばらく歩き、落ち着いた雰囲気の建物街についた。
宿屋らしき看板を見つけた。
"食事自慢のグリズリー亭"
これが宿の名前らしい。
(食事自慢か・・・楽しみだな!)
ドアを開けるとカランカランと心地よい音が聞こえて来た。
「いらっしゃい!泊まりか?食事か?」
宿主も熊みたいなやつだななどと失礼なことを考えながらも、1泊することを伝える。
「食事はどうする?食事付きで銅貨70枚、無しで50枚だよ!」
「食事付きで頼む」
「あいよ! 夜は今すぐにでも準備できるが、朝は6〜9時の間にきてくれ、すぎると用意できないから気をつけてくれ」
了解の返事をし、鍵を受け取った。
まっすぐ食堂へ向かうと席はほぼ満席。
(流石メーティス、これは期待できそうだな!)
『ありがとうございます』
運ばれてきた料理は熊料理だった。同じブラッドベアーなのだが、味が全然違う。
ラノベの世界では料理が不味く、自分で作るなんてものがよくあるが、この世界はそんなことないらしい。
メーティスが言うには揚げ物やマヨネーズといった定番の革命ものはすでに初代勇者が広めたとのことだった。
元の世界よりも美味しいかもしれない料理を堪能したイツキは気分よく部屋に戻る。
部屋の中にはシングルのベットに小さなテーブル、それとおそらく光を発する魔道具が設置されていた。
そしてこの部屋、なんと驚いたことにお風呂があった。自分の魔力を魔石に注がないと使えないようだが、まさか異世界にお風呂が存在するとは思っていなかった。
過去の勇者が広めたのだろうか? どうやらこの世界は思っていた以上に進んでいるらしい。
よくよく思い出して見ると、街中に悪臭が漂っていなかった。下水道も設置されているのだろう。
やって見たいことが一つ減ったことを確認しながらも、本来の目的を思い出す。
「さて、今後の方針を決めつつスキル作りでもしますか。そういえばメーティス、この世界にエルフとかドワーフ、獣人みたいな亜人種っているの?」
『存在しています。エルフもドワーフも獣人もそれぞれで国を構えています。』
「おお!やっぱりいるんだね〜見たい会いたい!!ちなみに人族との関係は?」
『最悪と言っていいかと。』
「なら普通に会うのは難しいってことか・・・ま、種族変えれば大丈夫でしょ!」
『大丈夫です。』
「ま、順番にゆっくり回ることにしよう。」
「さて、お楽しみのスキル作りの時間だね!何作ろう?メーティスのオススメは何かある?」
『それではいくつか提案があります。まず一つ目はーー」