二話
「ーーい」「ーーことだ」「ーーない」
何も感じなくなった頭にいくつもの色のついた音が飛び込んで来る。
「ーー損傷が酷すぎるぞ!」
「もう廃棄でいいんじゃないか?」
沢山の音が合わさり一つ意味を持った声として聴こえ始める。
「ダメだ。均衡が取れなくなる」
「しかしだなーー」
だんだんと頭が冴え始め目の前にいる人物に目の焦点を合わせる。
俺の目の前にいるのはいつか見たスーツを着た翼の生えている人間達だ。何を話しているかまでは分からないが俺のことで話し合いが行われているのは確かだ。
「糞ーー誰だよ!こんなになるまで気づかなかった奴はよ!!」
語気の強い奴に言われ一斉に首を横に振り出す翼人間(めんどくさいからそう呼ぶことにした)
「ジーフリル様!こちらをお使いになられたらどうでしょう!」
そう言って1人の翼人間が色違いのスーツを着たジーフリルと呼ばれた語気の強い翼人間の下に走っていき、何かを手渡した。
「これはーー」
そいつが渡したのはビー玉のような大きさの丸いボールだ。しかし色はどす黒くこの世の負と闇をいっしょくたにした見つめていると吸い込まれそうな色をしている。
ジーフリルはこれを俺の胸元まで近づける。黒い玉を見ていると何か不安な感じがして落ち着かなくなってくる。が、すぐに根拠のない安心感が身体中を襲う。
「よし。耐性はあるみたいだな」
「それではーー」
「ああ、転生させるぞ。準備をしろ!」
そう言ってジーフリルは指パッチンをした。すると徐々に俺の体が青白い光に包まれていく。それは俺の魂を具現化したようで淡く揺らめきながら光り続けている。いつまでも見ていられるほど綺麗だったがそれは時間が許さなかった。
「準備できました!」
翼人間の誰かが叫んだかと思うと一瞬にしてさっきまでの光が目に染みるほどの強烈な明るさになる。しばらくの間眩しくて目を開けられなかった光にようやく慣れ恐る恐る目を開くとそこにはさっきまで居たはずの翼人間がいなくなっていた。
その代わりに黒髪の一人の青年と栗色の髪をした女性が俺の顔をのぞき込むようにして立っていた。
「起きたかベルーー」