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一話

完全に自分の趣味として書き始めた作品です。設定に無理が多く行き当たりばったり感がで始めると思いますが温かい目で見守って下さると嬉しいです。

プルルルルル、プルルルルル。

オフィスに電話の音が鳴り響く。デスクの上にはパソコンが並んでいる。社員なのだろうか皆同じ色のスーツを着、ネクタイを締め、背中に翼を付け鳴り止まない電話の相手をしている。

隣には俺と同じ様な服を着た顔の薄い体も半透明な男が立っている。そんな男と同じ様な奴らが俺の前にも後ろにも立っている。というか見渡す限り同じ様な奴ばかりだ。そしてこんなことを言っている俺も半透明だ。

このようことになってしまった理由を振り返ってみよう。


そう、あれは暑い夏の日のことだった。


俺は高校に向かう通学路もとい地獄のヘルロードを歩いていた。

今日は夏休み明け最初の登校日。正直言って帰りたい。今すぐエアコンの効いた俺の部屋サンクチュアリのベットにダイブしてネットサーフィンをしたい。だがそれをアイツは許してくれないだろう。今俺の隣を歩いている奴だ。幼なじみの女の子。俺の腕を引っ張りながらズンズンと前へ進んでいく女の子だ。

こんな奴らが道に歩いていたら俺だったら直ぐにリア充認定して頭の中でフルボッコにしてやるね。あくまで頭の中だけど。

それに俺達はそんなリア充なんかじゃない。同じ年に同じ日に同じ病院で産まれた家が隣同士の小さい時から知っている一緒にお風呂にも入ったことのある中学生の時に俺が告白した両想いの彼氏彼女なんだからな!……すいません。筋金入りのリア充デシタ。

と、変な独り言を呟いている間に学校に着いたみたいだ。

あーイヤダー。学校なくならないかな。


と、俺の願いを神様に聞かれたのか急に視界が反転した。目も眩む様な激しい光の後に鼓膜が破裂する様な轟音が鳴り響き、


俺の目の前で校舎が消えた。


校舎が消えた。というより校舎が崩れた。周りの家も瓦礫の山になっている。

地面には高層マンションのガラスが割れ落ちてきた破片に刺され血塗れになっている人、飛んできた瓦に押しつぶされている人、グチャグチャスクラップされている人。そんな人《死体》が散乱していた。


俺の思考が混濁する。


え、なんで、どうして、地震が起きたのか?学校はどうなるんだ?

くそ、考えが纏まらない。アイツどうした?良かった。俺の隣にいる。可愛いなー。オレの服の裾ギュッて握ってるよ。可愛いなー。

あ、岩が飛んでくる。うげ。俺の前の奴に当たった。肉片が飛んでくる。生温かい。俺の顔にまで血が飛んできたよ。気持ち悪い。後で拭かないと。

あ、危ない。岩が飛んでくる。さっきのヤツよりすこし大きめだ。俺に当たった。グジュグジュと何かが潰れるような音がした。肉片になった。寒気がする。あーあーアイツの顔が血だらけだ。後で一緒に吹いてやらないとーー


俺は死んだ。


と、ここに来るまでの経緯を振り返ってみたんだがなんとまあ悲惨な死に方だこと。最後の方何喋っているか分かんないよ。支離滅裂だよ。畳の上で死ぬつもりはなかったがバラバラ死体って。俺ミンチになっちゃったよ。クリ〇ンになっちゃったよ。でも女の子を庇って死ねたんだ。悔いはないさ。

あ、庇えてなかった。俺一歩も動いてなかった。むしろアイツがオレの前にいたような気がする。うん、全然庇えてねーわ。悔いめっちゃ残ってんじゃん。ぶっ刺さってんじゃん。

で、ここは何処だ?まさかとは思うがあの世的な?


「で、ここのやつは全部廃棄すんのか?」

「ええ、その予定です」


俺が振り返りの儀式を行っている時に二人の人間が近づいてきた。奥の方でパソコンに向かっている人たちと同じでスーツを着、背中に翼を生やしている。俺達と違う所は透明でないといったところか。そのほかはほとんど人間と変わらない姿形をしている。


「じゃあこっからあそこまでは取り敢えず第四倉庫に運んどけ他は全部廃棄だ」


「はい分かりました。」


そう言って二人は俺の前に立っていた人達を潰したーー


文字通りのスクラップだ。

ざっと五百人はいた。小さい学校の体育館なら埋まってしまう人数が一瞬で消えた。


そして後ろに並んでいた俺達を宙に浮かす。前の奴らと同じ様に潰されてしまうかと思った。叫んだ。心の底から叫んだ。あんな死に方は嫌だ。確実に一回は死んでいるがあんな人を人と思わない殺され方は嫌だ。

だが声は出なかった。出せなかった。口は動く。声を出している感覚はある。喉が震えているからだ。しかし声は出なかった。


「じゃあさっさと運びますか」


そう言って男はポケットに突っ込んでいた右手を出すと指を鳴らした。


瞬間、目が潰れるかのような強烈な光が俺達を捉えて離さない。その光は俺の視界を白く染める。そして飛行機が離陸する時のなんとも言えない感覚が体を優しくそれでも絶対に逃れられない様に包みこむ。

太陽が落ちてきたとも思えるほどの光が大分弱くなる。目も慣れてきた為ゆっくりとしかし怖いもの見たさで着実と一定のスピードで瞼を開いていく。

完全に目を開け、両の目で今の現状を見る。

そこには何も無かったーー

先程迄俺達がいた場所とは違い人もモノも何も無かった。暑くも寒くもなく、音も何も無い。あるとすればただ目の前に広がる〝闇〟それだけだ。共に並んでいた筈の奴らまで見当たらない。絵の具で黒く塗り潰したキャンパスにさらに墨をぶちまけた様な闇に体が侵食されていく。『怖い』徐々に体が闇に溶けだし闇と自分の体の境界線も分からなくなる。『怖い』『怖い』考えも纏まらなくなった。『怖い』『怖い』『怖い』頭の中まで黒に犯されていく。『怖い』『怖い』『怖い』『怖い』『怖い』『怖い』『怖い』『怖い』『怖い』『怖い』

『怖い』『怖い』『怖い』『怖い』『怖い』『怖い』『怖い』『怖い』『怖い』『怖い』

怖い、怖い、怖い、怖い、怖い、怖い、怖い、

怖い、怖い、怖い、怖い、怖い、怖い、怖いーー

俺の頭が全て一つの色に侵された時俺という存在この世から消えた。


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