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テンプレ

 前話にて、アレックスが勝手に長男になってたので修正しました。


 報告ありがとうございました。

 七歳になった。


 最近、もういいかなって思い始めている。何がって?そろそろ家出しようかなってことだよ。

 もう書庫の本はすべて読んだし、貴族としての教育でマナーも身につけた。ある程度の常識もわかったし、最悪わかんないことがあれば、早くも影が薄いAIさんに聞けばいいし。


 まあ、とりあえずは父上に家から出て、冒険者になってもいいか聞いてみよう。駄目だって言われたらこっそり抜け出せばいいし。



 実は貴族の家の三男が冒険者になるのはそう珍しいことではない。長男が跡継ぎ、次男が長男に何かあった時の保険。となると三男はお家騒動を起こしかねないただの火種、という感じになる。

 だから厄介払いとして他家の婿として送ったり、冒険者にすることが多いのだ。

 まあ、珍しくない、と言ってもどんだけ早くても十歳くらいで、七歳というのは少しおかしいのだが。



 「いいぞ」


 父上の一言。いくら何でも軽すぎやしませんかねぇ。


 「いや、だってお前高魔力体質だろ。ただの七歳ならダメだが、もう大人とあんま変わらんしな」


 高魔力体質とは、魔力の量が多いがために、知能面が早熟になる体質である。俺も、アイリスもそうだ。

 もともと父上もいつかは、俺を冒険者にするつもりだったのだろう。あれよあれよという間に出発の準備が出来た。

 ここで問題になるのが、マイラブリーリトルシスターアイリスのことだ。俺はアイリスが大好きだが、さらっていくわけにも行かない。『何でもできる力』は、何でもできるが、妹を無理やり連れ出したいとも思わない。せめて、妹を政略結婚の為の道具とされないように、『何でもできる力』で父上の頭を操作しておこう。


 これが、妹に対して出来る最後のことだ。


 父上に用意してもらった、冒険者セットを屋敷の外に出る。冒険者セットには、携帯食料、水、簡易地図、路銀、剣、ナイフ、あとは武器のお手入れセットだ。

 父上と母上とアルフレッド兄様と何人かの使用人に見送られながら、馬車に乗り込む。近くの街までは馬車で行くのだ。

 次男がいないのは、全寮制の学園に行っているからで、妹がいないのは、妹を見ると決心が鈍りそうだから、みんなに内緒にしてもらったのだ。


 馬車に揺られながら、思い出すのはもう会うことはないだろう妹のこと。いつも一緒だったからかとても寂しい。


 「冒険、楽しみだな」


 口からこぼれたのは寂しさを紛らわす言葉。


 「そうですねっ。(わたくし)も楽しみです」


 「確か最初に行くのはダンジョン都市だったね。どんな魔物がいるのかな」


 「例えどんな魔物が出ても、お兄様なら大丈夫です!」


 「はは、ありがとね」


 さて問題さっきから俺と話しているのは誰でしょう。ヒント 可愛い。 

 正解は、妹のアイリスでしたー。最初幻覚かな、って思ったけどある程度精神も強くしてるし、幻術とかは全部レジストするはずだからおかしいと思ったんだよ。でもさまさか妹がほんとにいると思わないじゃん。え?マジでなんでいんの?


 「お父様に、私もお兄様と共に冒険者になりたいと言ったら、許してくださいましたの。それともお兄様はお嫌でしたか?」


 「いやいや、そんなことはないけどさ。俺、確かにみんなに口止めしたよ?」


 「お兄様。人の口に戸は立てられませんよ」


 そう言われたら反論のしようもない。俺自身、妹と共にいるのは喜ばしいことだし。でもなぁ。


 これが、妹に対して出来る最後のことだ(キリッ


とかやっといてこれは無くない?嬉しいんだけどさ、恥ずかしい。まあもう忘れよう。


 しばらくは、妹との会話を楽しむことにしよう。



 ダンジョン都市についた。本来なら、門の所で身分証提示、などがあるのだが、シャイン家の家紋が入った馬車を止められるような者はいなかった。場合によっては不敬罪になるからね。


 都市の中でここまで運んで来てくれた御者さんにありがとうを言い、妹と共に冒険者ギルドへ行くことにした。冒険者ギルドとは全国各地にある施設で、依頼の斡旋や素材の買取をしている。ここ、ダンジョン都市ではダンジョンに出る魔物の素材買取もしている。


 ダンジョンとは、いつからあるのか、何のためにあるのかわからない遺跡で、大体は地下に広がっている。ダンジョン内では様々な魔物がおり、基本的にはそれらがダンジョンの外に出ることは無い。ダンジョンは階層事に様々な特色が見られる。洞窟だったり、砂漠だったり、湖なんてのもある。ダンジョンのそれぞれの階層は独立しており、階層ごとの移動はそれぞれどこかにある、転移石で行われる。転移石を使用すると、次階層のどこかに転移させられる。また転移石は必ずしも同じ場所にあるとは限らない。

 転移石に「リバース」というと、地上にある、転移石のところまで運んでくれる。また、ダンジョンの中に入りたい時は、地上部の転移石に手を当て、行きたい階層を思い浮かべると行くことが出来る。この時行ったことのない階層を思い浮かべても意味が無いので注意。


 砂漠等の階層には、地下にも限らず太陽が見える。さらには夜に行くと砂漠も夜になっている。

 夜には、一部の魔物が凶暴化するので、冒険者が夜にダンジョンに行くことはあまりない。


 

 と、妹と話しながらダンジョンについて思い出していると、冒険者ギルドが見えた。


 早速開けて入る。どうやら酒場が中にあるらしい。テンプレ。


 するとものすごく見られているようだ。無理もない。俺もアイリスも明らかに子供だしこんなところに来るような年齢じゃないのだろう。子供でも冒険者登録はできるが、あまり勧められてはいない。冒険者にとって自分の怪我も死もすべて自己責任だ。ただの子供がやるには少し過酷だろう。まあ、俺もアイリスもただの子供ではないのだが。


 

 受付のお姉さんに話しかける。


 「すいません。登録をお願いしたいのですが」


 「登録ですね。この紙に必要事項を書いてください。代筆はいりますか?」


 「いえ、大丈夫です」


 紙を見るとこんなことが書いてあった。



 名前:


 得意魔法:


 得意属性:


 よく使う武器:


 こんだけでいいのか。さっさと記入しよう。



 名前:アレックス


 得意魔法:攻撃魔法


 得意属性:光


 よく使う武器:剣






 名前:アイリス


 得意魔法:治癒魔法


 得意属性:光


 よく使う武器:槍



 こんなところか。ちなみに光属性は治癒魔法が多いです。なので光が得意なアイリスは治癒が上手です。


 「書き終わりました」


 「はい、確かに。冒険者の死はすべて自己責任ですがいいですか?」


 「はい」


 「では、冒険者カードを作りますしばらくお待ちください」



 そう言うとお姉さんは奥の方へ行った。

 待っている間にアイリスと話していると、酒場の方から、俺らの後ろに柄の悪そうな男が数人来て、俺らの周りに立つ。


 「おい糞ガキ。ここはてめぇら見たいのが来るとこじゃねぇんだよ。痛い目見たくなけりゃ、さっさと有り金全部置いて帰りな」


 うわーギルドのなかでよく堂々とカツアゲなんかできるな。

 でも一回は体験して見たかったテンプレだ。存分に楽しもう。


 「うるさいだまれ」


 俺がそういうと男達の動きが一瞬止まり、言われた言葉を理解すると、次第に顔を真っ赤にして、声を荒らげた。


 「このガキッ!調子に乗りやがって!」


 そういうと正面にいた男が俺の顔めがけて拳を振るう。それを見もせずに掴み、つかんだ手に力を込めていく。


 「なっ!放しやがれ!くそっ、くそっ。ぐっ!ぐぅぅぅぁあぁあ!!」


 最初はつかまれた手を離そうと暴れていたが、段々と込められる力が強くなるにしたがって叫びはじめた。

 あ、今ボキッっていった。あー、折れちゃったー。そんなつもりなかったのになー。


 気づけばアイリスが俺の服の袖を握っている。いくら高魔力体質だとは言っても、この状況は怖いのだろう。妹をこれ以上怖がらせるわけには行かない。ならばさっさと終らせよう。


 男達は最初五人で俺達兄妹を中点とした半円上に立っていた。正面の男はもう使い物にならないだろうから置いといて、残りは四人。正面にいた男がリーダーだったのか、四人は何もせずにオロオロしている。アイリスの前だ。殺すのはやめておこう。そう決めるとすぐに行動を起こす。まずは右側のふたりを、腹を突き抜けないように絶妙な力加減のボディーブローを放つ。右手に一人、左手にも一人だ。同じように左のふたりも殴る。四人とも気絶したようだ。


 まだ少し怯えているアイリスをなでながら、お姉さんを待つ。


 「カードができました。ギルドについて詳しいことはその都度、私共に聞くか、そこにある冊子を読んでください」


 「はい、わかりました。これからよろしくお願いします」


 「よろしくお願いします」


 「はい。よろしくお願いします」


 俺とアイリスがこれからよろしく、というと微笑と共に返してくれた。


 無表情系お姉さんの笑顔が見れたのでテンション高めにギルドを出ていった。周りの得体の知れないものを見る目は気にせずに。

 幼気な子供が怖いおっさんに襲われているのを無視するような奴らにどう思われてもしらん。


 さて、もう今日のところは宿に行って寝るかな。

 路銀はたっぷりあるのでちょっと高めの宿に泊まりぐっすりと寝た。


 お姉さんは、受付の台が邪魔で、気絶した四人は見えてません。主人公が死角になるところに蹴りこみました。

 腕の折れたおっさんは主人公がお姉さんの死角になるように四人を移動させている間に逃げました。

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