結婚
ドワーフの国。そこは装飾品や武器、防具の宝庫。誰もが『親方』の作った作品を求めてやまない。
そんなところに俺達はいた。
「お兄様。こちらにいきましょう」
「お兄さん。きっとこっちの方がいいのです」
右腕にアイリス、左腕にアーニャというまさに天国という状態なのだが、アイリスはともかくアーニャがいるのはおかしいと思わないか?
語らせていただこう。約三日前のことだ。
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「皆の衆ー。学園生活には満足致しましたかー?」
「「はーい」」
「いい返事でーす。幼女組は友達できましたかー?」
「あんな雑魚どもと友達になる気はないのじゃ」
「はーい。本来の目的全否定されましたー。ならばもう、この国から出て行きまーす」
「「異議なーし」」
要約するとこんな会議があり、出発したのだ。
正直、もう旅に飽きた俺は、目の届くところまで『転移』を繰り返し、短い期間で移動を終える。もう外界に永住でもしようかな。あっちの方が退屈しなさそう。
外に出るのは俺一人。みんなは中で待ってもらっていた。こんなのは俺一人で充分。寂しかったけど。
不眠不休でドワーフの国に着いたあと。屋敷の中に霊城、ニーナ、アーニャがいたのだ。驚いた俺は「学校はどうした!?」と聞いた。すると奴ら平然と「やめた」なんて言い放ちやがった。「どうやって生活するんだよ」と聞くと、みんな俺に養って貰うつもりなんだと。アイリスが許可したらしい。一言相談があってもいいんじゃないですかねぇ。
まあ、アーニャちゃんは可愛いしいいかな。って思ってたらなんかアイリスと仲悪いし。
「お兄様は私のお兄様です!」
「お兄さんはお兄さんなのです!」
「証明して見せます!」
「望むところです!」
そんな会話があり、俺をより楽しませた方の勝ちというルールで対決することになったのだ。
以上。説明終わり。
「お兄様はどっちがいいですか!?」
「お兄さんは私の方がいいですよね!?」
さっきからずっと言い合っている二人が俺に判断を任す。なんでこんなに仲悪いのかわからんな。
「なぁ、なんでいっつも喧嘩してんの?」
「お兄様の妹振るからです!」
「私はお兄さんの妾の一人になるので、妹ではないと言っているのです!」
わーい。またハーレムが増えた。
「ーーーッ。ずるいですっ。私だってお兄様のお嫁さんにッ」
「落ち着けアイリス。なんかとんでもないこと言いかけてるぞー」
顔を赤く染め、
「何でもありませんッ」
さぁて。どうしたもんかな。あんまりこういうの得意じゃないんだよなー。なんせ修羅場の経験なんてないから。でもすべて俺の身から出た錆だしな。
どうせ俺は頭が良くない。あまり考えたりせずに本心を言おう。本心でダメならどうしようもないしな。
「アイリス。お前が正妻だ」
「お、お兄様……それって……」
「そうだ。プロポーズだ」
こんな時もあろうかとつくっておいた指輪を取り出す。嘘。今作った。
「受け取ってくれるか?」
この世界で結婚する時に、指輪を与える文化はないが、アイリスはよく俺の持ってるアニメなどを見ているようだし、意味はわかるはずだ。
「で、でも私達兄妹だし……」
「そんなの今更だろ?」
「そ、そうですね……。なんの問題もないですね」
「ああ」
「なら、不束ものですが、よろしくお願いします」
「幸せにしよう」
イイハナシダナ-
結婚しちまったよ。異世界で。妹と。悔いはない。
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ある日の学園。
「き、今日は新しい生徒が来ました……。皆さん失礼の無いように……」
「失礼します!」
「うっわ美人」
「きょにゅうだ!」
「エラフォット・ビーストです。獣人の国の王女やってます」
「おおおおおまじかよ!」
「王女様はなんでこの国の学園に来たんですか?」
「留学と人探しね」
「誰を探してるんです?」
「アレックスっていうんだけど……。このクラスのはずよね。休み?」
「いや、アレックスは学校やめました」
「え?」
「一昨日に……」
「嘘でしょう?先生?」
「い、いえ。事実です」
「そ……んな。ちょっと前までいたのに……」
「あ、あのエラフォット様?」
「先生……。学校やめます……」
「え?ちょっと待ってくださいっ。エラフォット様ー」
「なあ、ラナト」
「なんだ?」
「アレックスって何もんなんだ?」
「あいつは……俺の同志さ」
「えぇ……」
もう無理だ……。妄想は心の中に留めて置くべきだったんだ……。
というわけで、不定期更新になります。大変申し訳ありません。ネタがないんです。思いつき次第書いたりしてみようと思います。




