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水着回

 もぐもぐしてごっくんしたニーナが問う。


 「ここに入る時、鍵のようなものを使っていたけれど、あれでここまで転移してきたの?」


 「転移ではありません。鍵で亜空間への扉を開いただけです」


 隠すことでもない。


 「!?ならここは亜空間だと言うのですか!?」


 「そうですが?」


 アーニャのあまりの驚きっぷりに、アイリスが首を傾げる。俺も傾げる。キモイから今後首を傾げるのは控えようと思いました。


 「ありえないです!!こんな大きさの亜空間ってだけでなく、建造物まで!」


何に驚いているのか未だにわからん。ごめんなぁ。馬鹿で。


 「アレックスならそれくらいできるよ」


 自慢げにいう霊城。お前が俺の何を知っているんだ。


 「お兄様はすごく強いんですよ」


 アイリスがフォロー(?)する。


 「あと夜のアレックスもすごいよ。ねー」


 「ねー」


 霊城に同意するアイリス。なんでお前ら俺の夜の強さ知ってんだよ。この世界ではまだ一度も使ってないぞ。

 ……前の世界でも使わずじまいだったけど!


 「夜の?」


 「ひゃぁぁ」


 ニーナがよくわからない様子で首を傾げ、アーニャが空気の抜けるような悲鳴を零す。


 なんでアーニャみたいなお子様でもわかるのにニーナはわかんないんだろう。猫でもかぶってんのかな。


 猫で思い出した。ペット飼いたいな。ネコ科がいい。ペットにしようとして連れてきたエリルがペット感ないんだよな。今後偶に獣の姿でいてもらおうかな。


 「長期休暇は皆さんどのように過ごされるので?」

 

 「えっ?」


 「僕は勿論アレックスと愛を深め合うよ」


 「私も王子様と愛を深め合うわ」


 「ならば(わたくし)もお兄様と愛を深め合います」


 「えっ?えっ?」


 話はいつの間にか長期休暇の話になっていた。まず霊城が馬鹿なことを言い、それにニーナとアイリスが悪ノリ。ニーナは乗れずにキョロキョロと首を振るばかり。


 「我も主と愛を深め合うのじゃ」


 「我々もご主人様と愛を深め合います」

 

 「えーっ」


 さらにエリル、奴隷達と続いた。十一人で声を合わせるってすごい。


 「わ、私もお兄さんと愛を深め合いますっ」


 耐えきれず言ってしまったアーニャ。すると何故か場の空気が固まる。アイリスから放たれる圧力に、皆動きを止めたのだ。


 「お兄さん?お兄さんと言いましたか?」


 「え、は、はい……」


 「一つ、教えておきましょう。お兄様の妹は私だけですわ!!」


 おーいアイリスー。お嬢様口調になってるよー。


 それに父上達がもし、娘を産んでいたらその子は俺の妹だ。もうずいぶん実家に顔を出していないな。まあ、出したら問題になるのかもしれないんだけどさ。


 

 ーーーーーー


 そんなこんなで夕食は終わった。寝よう。疲れた。精神的に。


 長期休暇は大変だな。もう予定が詰まってしまった。愛を深め合わなきゃな。


 ーーーーーーーーーーーーー



 長期休暇(なつやすみ)三日目だ。一昨日、昨日はずっと屋敷の中で過ごした。

 この先どうやって過ごそうかな。例えば、夏休みの定番、海だ。しかしこの世界で海に行く事は自殺行為に近い。これをみんなに提案してみろ。絶対変な顔されるぜ。前の世界で「丈夫な紐を持って富士の樹海行こうぜ!」って言っているようなもんだ。


 ならばどうするか。プールを作ります。水着も作らせます。完璧。


 屋敷の敷地は広大だ。どこに作ろう。泳ぎはいい筋トレになる。冬でも使えるように室内プールかな。いや、いっそのこと開閉式にしよう。ウォータースライダーもつけちまおう。波を作るプールもつけよう。楽しい。


 ーーーー


 完成。知り合いをすべて呼んでプールに入ろう。全員分の水着は揃っている。サイズ?『鑑定』で測ったよ。


 来たのは、アイリス、エリル、ララス、ミリ、イルミア、マリア、ミリア、クラウ、ラウラ、アミ、イリア、カリナ、サリーの屋敷にいたみんなと、霊城、ラナト、サラシャ、レイナ、ニーナ、アーニャ、エリー、アリスだ。なかなかすごいメンツだろ?だって王女いるし、神いるし。アリスは力を制限して下界に降りてきたらしい。俺はアリスの水着姿を見れて感無量です。


 そう、みんな水着姿なのだ。こんな格好、はしたないッ的なアレで断られるかと思ったが、これが水遊びにおける正装だ、といったら納得してくれた。



 「なあ、アレックス。あの巨乳美人の娘は誰だ」


 「ああ、あれはエリー。巨乳だし、美人なのは認めるが性格が悪いぞ。やめておけ。巨乳は信じちゃダメだ」


 「そうか……」


 そうつぶやいてエリーの元へ行くラナト。忠告したのに。そして言葉を交わしているようだ。何故か時折俺の方を見ながら。エリーが笑った。


 ゾクッ


 背筋に寒気が走る。冷えたかな。


 すたすたエリーが近づいて来る。ラナトなんか言ったんじゃないだろうな。

 

 「アレックスー?誰の性格が悪いって?」


 げ。ラナト告げ口しやがった。


 「この乳の奴隷め!!」


 ラナトに悪態をつく。


 「黙れ、幼女の奴隷が!!」


 くっ。否定出来ない。


 「アレックスって何故かおっぱいのこと好きじゃないわよね」


 特に理由もないし伏線でもないよ。


 「それがどうしたよ」


 「いえ、好きになってもらおうかなーって」


 そう言って俺の腕に抱きつく。当然乳が当たる。なるほど確かにいいものかもしれない。あったかくて柔らかい。しかしそれは出来立てのプリンだって同じこと。俺は惑わされない。


 っていうかエリーの性格ちょっと変わってね?


 腕に引っ付くエリーをプールに投げ込む。勝った。


 「まだよっ」


 ザバァッとプールから出るエリー。何がそこまでお前を掻き立てるんだ。


 「これでどうっ」


 今度は顔に乳を押し付けるエリー。おおう。これはなかなか。しかし俺にもロリコンとしての誇りがある。乳になんて負けない。


 「ふぁんへんだったな。お前のまけだ」


 「あんっ。そのまま話さないでよっ」


 俺は一切欲情しなかった。このM巨乳に灸をすえてやろう。


 エリーの腕を掴みプールに放り投げる。今度は俺もプールサイドへ行く。そして上がってきたエリーを押さえつけ水の中へ入れる。適度に呼吸させながら暫く続けた。


 「はぁ……はぁ……もっとぉ…」


 「よしきた」


 もうちょっとやってあげる。するともう充分楽しんだようで気絶した。生きてるからオーケーだ。満足したよ。

 エリーがアレックスの腕に抱きついた時、エリーは少し屈んでいました。くっ。

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