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まさかの展開

 アイリス含めた女性陣を相手にカレン先生はなかなかの好評価を得た。

 しかし

 

 「先生はいい人ですが、(わたくし)達のような人ではございません。きっと馴染めないでしょう」


 アイリスの言葉だ。正直、先生には厳しいかもしれんね。多分先生は人の肉を食べられない人だろう。そういう意味では、屋敷の生活は辛いかもしれない。


 やっぱり記憶を消すか。なかなか悪だな。俺は。




 ーーーーーーーーー




 そんなわけで今日も先生は何事もなかったかのように授業をしている。可愛らしい。

 しかし俺はアイリスを眺めるので忙しいのだ。授業など二の次どころか十の次くらいだ。自分でも何言っているのかわかんない。



 「アレックスくん!聞いていますか!」


 「はいはい。聞いていますよ」


 もー、とプンスカするカレン先生。しゃあない。アイリスが可愛いのがいけない。




 しばらくは何事もなくすごす。そろそろ長期休暇が近づいてきたかな、という頃だ。夏休みみたいな感じです。


 アイリスに相談をされた。

 相変わらず俺は実技をサボっている。「二人組つくってー」が怖いからだ。その実技の時間。つまりは俺のいない時間を狙って霊城がアイリスに話しかけるのだそうだ。話題はもっぱら俺。アイリス曰く、共通の話題がそれしかないのだと。アイリスはもしかしたら霊城が俺のことが好きなのかもしれない、とか馬鹿みたいなことを言っていたが、俺にはわかる。あいつはアイリスに惚れた。許さん。


 みなさんはもしかしたら知らなかったかもしれないが、俺は妹が大好きなのだ。それこそ目に入れても快感なくらいに。


 そんな大切な妹に悪い虫が付こうとしているのに、どうして放っておけるだろうか。


 霊城と話をつける。場合によっては決闘をする。決闘という制度がこの国にあるのか知らないが、決闘って言ったら決闘なんだ。



 「霊城」


 「な、なに。アレックス」


 「こっち来い」


 「顔怖いよ……。どうしたの?」


 「いいから来い」


 「わ、わかったよ」

 


 屋上に連れ出す。



 まずは当たり障りのない感じで。


 「お前って好きな人いんの?」


 「いきなり何……」


 「いいから」


 「い、いるよ。全く何怒ってんのかな」


 ブツブツと文句を言う霊城。


 「それは誰だ」


 「えっ、なんでそんな事言わなきゃ……」


 「いいから」


 「わかったよ。驚かない?」


 「ああ」


 お前がアイリスのことが好きだってのはわかっているからな。




 「僕はアレックスが好きです」




 整理しよう。霊城が俺に告白した。以上。



 俺は内心パニックなのを押し殺して質問をする。


 「俺が好きなの?アイリスじゃなくて」


 「なんでアイリスの名前が出てくるの?僕にそんな趣味ないよ」


 「俺にも男色の気はねぇよッ!」


 「男色ってなんだよ。僕はれっきとしたお……はぁ、もしかして僕のこと男だと思ってる?」


 「は?お前は男だろ?」


 「いやいや!僕は女の子だよ!」


 この子はあれか?性同一性障害の方かな?ならば否定するのは良くない。


 「そうだな。お前は女だ」


 優しく言う。


 「な、なんか勘違いしていないかい?」


 「いや、俺はお前を尊重するよ。さ、教室へ戻ろう」


 「やっぱり勘違いしてるよね!?僕は身も心も女の子だよ。逆にどこが男っていうの」


 「顔、身長、制服、名前だよ」


 「制服は家の方針で男のように育てられたんだよ。だから男物の方が落ちつくから……。名前も家の方針。顔と身長は遺伝というかなんというか、父上似なんだ」


 えー。しんじらんなぁい。だって考えても見ろよ。ついさっきまで男だと思っていた奴が、僕は女だと言っても全く信じられないって。


 どうしよっかな。


 俺がこの場をどうしようかと悩んでいると、屋上の扉が開き、アイリスとララスが入ってくる。


 「あ、お兄様ここにいた」


 「ご主人様そろそろ教室にお戻りになられた方が……」


 「いや、だってこいつが」


 「お兄様。女の子をこいつ呼ばわりしてはいけませんよ」


 「失礼ですよ」


 え、なに


 「お前らまで霊城が女だって言うの?」


 「なんせ事実ですから」


 「私も最初は男性だと思いましたが、一回面と向かって話したらわかったのです。これは恋する乙女の目だ、と」


 俺の妹がいかれちまった。


 これは霊城が女だって認めなきゃならんの?

 まあ、妹のいうことを疑うようでは兄失格かな。納得はしないが、アイリスを信じよう。


 「霊城、悪かった。お前は女の子だったようだ」


 「いや、いいよ。そんなに気にしていないし」


 しかし、もし俺が女に間違われたら死ぬほど屈辱だ。これはしっかりと謝罪すべきだろう。


 「何か俺にして欲しい事はないか?できるだけやって見せよう」


 「うーん。そこまで言うなら、一つだけお願い、いいかな?」


 「ああ、もちろん」


 「じゃあ、唾液ちょうだい」


 はい?


 こいつちょいちょいわけわかんないこと言うな。

 

 「唾液?」


 「そう。この瓶一杯になるくらい」


 そう言って牛乳瓶くらいのサイズの瓶を出す。いや、その量は無理だろ。


 「すまない、他にして欲しい事はないか」


 「うーん。じゃあパンツちょうだい。使用済み」


 何なのこの子。変態?


 「わかった」


 応じる俺も変態かもしれん。まあ、これで許されるのなら儲けもんだ。




 こいつと初めてあった時。危険だと感じた。それはこの変態性のことだったようだ。あの時気づいていれば。

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