表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
27/48

骨折り

 名残惜しい。名残惜しいが、アリスちゃんに会うためベッドから出る。そしてアリスちゃんにゲームやら諸々を貰って帰る。


 エリルもアイリスもかわいいな。普段から可愛いが、寝顔ともなるとさらにだ。


 二人の頭をそれぞれ起こさないように撫ぜて俺もベッドに入る。幸せ。



 「ご主人様。お食事の時間です」


 アミが寝室のドアをノックする。それに返事をして食堂へ行く。



 

 さて、アリスちゃんから貰ったゲームやらを先日用意した部屋におき、早速プレイをする。できればエリーやドナートに、テレビ等を見せたくないのだが、この部屋は結構端の方にある為、あんまりエリー達は来ない。


 ゲームをやるのは十五年ぶりだが、結構体は覚えているもんだ。ちなみに俺はFPSが好きだ。お世辞にも上手ではないのだが、楽しい。音ゲーも好きだ。一切リズムが合わないが。

 

 そんなこんなで、昼食の時間までゲームをした。探しにきたミリアに「こんなところにいたんですかっ」と軽く叱られたが、ただただ可愛かった。


 「そろそろ申し込みにでも行ってこようと思う。もう始まってるよな?」


 エリーに問う。


 「ええ、一ヶ月前から。この時期だと結構ギリギリよ」


 もう二週間前位だからなぁ。


 

 食事を終え、軽く身だしなみをチェックし、屋敷から出る。お供にサリーだ。やけに機嫌よさそうだ。


 「どうした?」


 「何がですか?」

 

 「いや、機嫌がいいな、と」


 「ああ、ご主人様と一緒にお出かけするの久しぶりですから」


 かわいい。しっぽブンブン振ってるし。


 「えっ?はふ」


 あまりの可愛さに頭を撫でてしまう。思わず、といった形で出たサリーの声がかわいい。


 獣人の国の王城に着く。申し込みはここでするのだ。


 「申し込みはここでいいか」


 受付的なところに行き、確認する。


 「え、ええ。国王選定戦のお申し込みでよろしいですか?」


 「ああ」


 流石に人間がエントリーするとは思わなかったようで、面食らっていた。

 差し出された紙に、名前などを書く。


 「後援者の方などはいますか?」


 「エラフォット」


 「お、王女様ですか?」


 「元王女だ」


 「かしこまりました。一つだけ注意があります。参加者同士の私闘は失格ですので、お気をつけください」


 「はーい」


 「もう少しで終わりますので、そこでお待ちください」


 そう言って、手元の紙を後ろにいる人に渡す。サリーと話しながら時間を潰していると、不意に大きな声が聞こえた。


 「おいおい、なんで人間なんかがここにいるんだ!まさか参加するつもりか?」


 虎の獣人だ。

 

 「ああ」


 「こいつは傑作だ。ガキはさっさと家に帰んな!」


 馬鹿にされたままって言うのは、いい気分ではない。周りの獣人達も無謀だと思っているようで、軽い侮蔑の視線を向けてきている。


 「ならば試すか?」


 「ああ?私闘は禁止だろ」


 「いや、俺の申し込みはまだ終わっていない。ねぇ、受付さん」


 「え、ええ」


 「ならば問題ないな!どうせすぐ終わるしな」


 そう言ってフハハハハと笑い出す虎さん。


 「条件は国王選定戦と同じでいいな」


 「ああ。グチャグチャにしてやるよ」


 言葉と共に拳がとんでくる。それを余裕を持って避けると、そのまま腕を掴み肘を反対側に折る。結構丈夫な骨だったのだろう。いい音がなった。


 「ガアアアアアッ!」


 あまりの痛みに、咄嗟に俺を無事な方の手で殴ろうとする。それをしっかりと手で受け止め、そのまま握りつぶす。ゴリゴリという気持ちのいい音と、肉の潰れる音が混ざり合い、なかなかいい感じだ。しかしこいつの叫びは汚いな。声を出させないために喉を潰そう。


 「グッ、ガッ……」


 勢い余って首の骨ごと潰してしまった。終了。


 なかなか楽しかった。骨を砕く感触は好きだ。


 「ああああの」


 「はい」


 受付さんに声をかけられたので、笑顔で返事をする。


 「ひっ。え、エントリー完了しました」


 「そうですか。では」


 そう言って畏怖の視線を受けながらその場を後にする。


 「ふんふーん」


 またサリーが機嫌いい。かわいい。


 「今度はどうした」


 「私だけご主人様のかっこいいところを見られて嬉しいの。屋敷のみんなに自慢できちゃう」


 かわいい。あまりの可愛さに抱きしめてしまう。


 「あ、ああのご主人様?」


 「気にするな」


 「は、はい。あの」

 

 「なんだ」


 「わ、私でしたらいつでもこうして頂いて結構ですからっ」


 「かわいい」


 かわいい。サリーまじかわいい。

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ