豚いぢめ
今日は豚を懲らしめる日だ。
アイリスはこれまでの分を取り戻すかのように熟睡している。今のうちに済ませておこう。
エリル達を呼んで地下室へ行く。
地下牢をみると、取り巻きには誰かが食事を与えたようだ。こいつらをどうするかはまだ決めていないのでありがたい。豚は今日死ぬから餌はいらないだろう。
「ここから出せっ。僕を誰だと思っているんだ!」
豚が何か言っている。が、そんなのは無視してとりあえず一回すっきりするために、足をもぐ。
暫く放置し、そろそろ死ぬかなってあたりでエクストラホーリーヒールで全回復させる。
豚が完全体になったところでみんなに手のひら程の大きさの針を手渡す。順番に刺して行こうじゃないか、ということだ。
エリル。右目。
ララスさん。左手。
ミリア。右腿。
マリア。右手。
イルミア。右耳。
アミ。左腕。
イリア。右足。
カリナ。左腿。
サリー。臍。
ミリ。左足の付け根。
クラウ。喉。
ラウラ。股間。
一部位に一本ずつ針を刺していき、全部位が終わったらもう一周する(股間しか刺さない人もいたが)。刺せるところがなくなったあたりでララスさんに話しかけられた。ちなみに俺は魔法で延命させるだけで、針は刺していない。
「ご主人様。最後はどうぞ」
ありがたい。本当に主人思いだ。
他の針より二倍位の長さの針を持ち、残しておいてくれたのだろう左目に刺す。眼球を貫通して脳にまで届くように。
殺したけどこいつをどうしよう。なんか芸術作品みたいだし、王城に持って行ってやろう。豚の死骸を『アイテムボックス』にいれ、『超隠密』を使って王城の、豚の部屋らしきとこに置いていく。
すっきりした。奴隷たちも大丈夫なようだし、アイリスの様子を見に行こう。
「お兄様ぁ。何処ですかぁ」
俺が寝室に入ると、アイリスが寝ぼけながらそんなことを言っていた。
超可愛いので愛でることにする。
「アイリスーお兄様はここだぞー」
「お兄様ぁー」
「アイリスー」
「お兄様ぁー!」
「アイリスー!」
よーしよしよしよしと、撫でまくる。見ろよこいつ超可愛いだろ。俺の妹なんだよ。やらんぞ。
撫でられてふにゃふにゃとしたアイリスを見て和んでいると、頭が回り始めたのかアイリスが今の状況について文句を言う。
「なんで私寝転がっているお兄様の上に横たわって頭を撫でられているんですかッ!」
「なんでって、アイリスが可愛かったから?」
「私に聞かないでくださいっ」
「アイリスが可愛かったから」
「だからと言って断言もしないで下さい!」
アイリスは可愛いなぁ。さらに撫でていたら、ノックの音がした。
「夕食の準備が出来ました」
もうそんな時間か。今日は何も食べていないからお腹が空いた気がする。あくまで気がするだけだが。
アイリスと共に食事を取りに行く。
「明日の夜に、超偉い人に会いに行くから準備しときなさい」
夕食を取りながら、みんなに必要なことを伝える。
「偉いって、どれくらいですか?」
「この世界の神よりも遥かに偉い」
サリーの質問に答える。
「俺が夜外に行っているのは知っているな?」
みんな頷く。やっぱり気づかれるか。ドアの開閉音とかあんまり気にしてなかったからな。
「友達に会いに行ってるんだが、それが凄まじく偉い人でな。神の中でも偉い方なんだ」
ホントは一番上なのだが一応控えめに言っておく。
「アリス様ですね」
「そうだ」
アイリスに答える。ほかのみんなもアイリスが言ってたのを思い出したみたいで納得顔だ。
「明日の夜に会いに行くから心の準備をしとけ」
そう念押しして、他の話をする。今日アリスちゃんに言っておこう。
「明日、みんなとここにくるから」
「わかった。ボクは君のことについてどこまで話していいのかな?」
「聞かれれば嘘をつく必要は無いよ」
「嘘をつくまでではない、ってことだね。わかったよ」
アリスちゃんの言う通り、俺から話すことはしないが、嘘をついてまで隠そうとは思っていない。俺はある程度親しい人に嘘をつきたくないのだ。意味のない嘘ならつくかもしれんが。
明日、楽しみだ。幼女が一同に会するのを見られる。カメラを作っとくかな。




