転移玉
今回短めです。
なんかもう飽きた。ダンジョンとかさっさとクリアして他の場所に行こう。
エリルとイリアのダンジョンデビューの日、そう思った。
ハイスピードで攻略を進めていたある日、ギルドで知り合いに会った。
「久しぶりだなアレク」
「ギリルさん」
ギリルさんとは、ベテラン冒険者のおっさんだ。人類の最高到達階層である、六十二階層まで行ったことあるらしい。
「お前らもうすぐで六十二階層何だってな。あそこは行くだけ無駄だぞ」
「なんでです?」
「あの階層は巨大な湖の階層でな。水中にあるのか転移石が見つからないんだ」
へー。って、転移石が見つからないってことは地上に帰って来れなくね?
「何だお前。結構長く冒険者やってんのに転移玉も知らねえのか。普通は先輩に教えて貰うんだがな」
「なんすか転移玉って」
「使用すると、地上の転移石まで戻って来れる玉だよ」
そんなのあったのかよ。今まで同じ階層をもう一度繰り返していたが、転移玉があればそんな必要なかったのに。
ここで俺がコミュ障なのが仇になった。
ギリルさんと話すようになったのもダンジョンでたまたま助けたからだし。
「教えて下さりありがとうございました」
「おう」
いい情報を手に入れた。ギルドのお姉さんに聞いてみよう。
「ああ、それでしたらギルドで取り扱っております」
とのことなのでいくつか買い取っておく。
これでさらに攻略スピードはアップするだろう。
ふはははは。とうとう人類の最高到達階層についたぞ。ギリルさんの言っていた通りに、大きな湖がある。
こんな時は
「アイリス」
「はい、お兄様。第十階級魔法 水操作」
アイリスが魔法を使用すると、湖の水がひとりでに動き出し底を露出させる。
本来なら魔力量の関係で、使おうとすら思わないであろう方法だ。
するとすぐに転移石は発見できた。中心の方にあったようだ。そして転移石に触り、次の階層に行ってから、転移玉で地上に戻る。
「おう。また会ったな」
ギルドに着くとギリルさんがいた。そこでとうとう追いつきましたよ、なんて話しているとギリルさんにこう問われる。
「ところでなんでダンジョンを攻略しようとしてるんだ?」
「なんでって、なんとなくですけど。ギリルさんはどうなんです?」
「俺らはダンジョンの最深部にあると言われる祭壇を目指してだな。そこに行くと神が一つだけ願いを叶えてくれるんだとよ」
へー。神か。そういえばアリスちゃんはどうしているだろうか。会いたい。
家に帰り、今後の方針を考える。俺的にはダンジョンをさっさとクリアして、世界を回ろうかな。定住はしない。家買っちゃったけど。屋敷については持ち運びできるようにでもしようかな。
「ダンジョンをさっさとクリアして旅に出ます。異論は?」
そう問うと、みんな即答でないです、と言ってくれる。よしさっさと終わらせるか。
二週間後。俺達は七十階層に到達した。
手抜きじゃないよ!!
ダンジョン編はもうそろそろ終わりにします。