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ダンジョンデビュー

 最後の方にカニバリズム的なのがあります。苦手な人は注意して下さい。

 「起床ッッッ!!!!」


 「なんですかっ。なにが起こったんですかっ」



 おはようございます。アレックスです。今日はエリルとイリアのダンジョンデビューの日です。そのため、起きるなり叫んでしまいました。アイリスを驚かせてしまったようです。反省します。



 テンションが迷子だが朝食をとることにしよう。





 「アイリス、エリル、イリア、用意できた?」


 「はいお兄様。」


 「できたのじゃ」


 「できた」


 朝食を食べ終えてしばらくたったので、そろそろ行こうと思う。



 転移石に触れ、ダンジョンの中に入る。

 ちなみに、ダンジョンは行ったことのある階層までしか行けないが、一緒に行く人がより深い階層まで行ったことがあれば、その人の最高到達階層まで行くことができる。


 さあ、着いたのは忌々しき五十階層だ。相変わらず一面の砂と強い日差しだ。どうしてもげんなりしてしまう。


 いやいやながらも進んで行く。すると、魚の背鰭のようなものが複数迫って来る。これはデザートシャークと呼ばれる魔物で、砂の中を泳ぎ、砂に伝わる振動から獲物の位置を特定する。それを魔力の弾を打ち込み、始末する。


 そんなことを何回か繰り返している内に、本格的にうんざりしてきた。なにが嫌って砂のせいで歩きにくい。もう怒った。まずは魔力を薄く地面の一センチ上に展開する。この階層の隅々にまで広がった所で、魔力の上に乗る。アイリス達も『魔眼』で魔力が足元にあることがわかるので、同じようにする。これで砂の干渉も受けないし、地中に振動がいかないため魔物も出てこない。


 でもこのまま歩き続けるのも飽きそうだ。


 「よし。競争するか」


 「えー、嫌なのじゃ。主は速すぎるのじゃ」


 「いや、俺以外の皆で。一位には御褒美だ」


 「それならイリアのステータスも上げるべきではないですか?」


 「ステータス?」


 「あれ、確認してなかったんですか?すごいことになってますよ」


 「!?ご主人様これどういうこと」


 「どういうことも何も見たとおりだよ。まあ、イリアも他の奴隷よりは高くしたけど、ダンジョンに入ってくれるんだからアイリス達と同じにするか」



名前:イリア


称号:なし


職業:奴隷


攻撃力:9999999


守備力:9999999


素早さ:9999999


器用さ:9999999


スキル:『超隠密』『魔眼』『体術』『暗器術の極み』『感覚強化』『身体強化』



 ついでにスキルも強化しておいた。


 「これで、ステータス的にはみんな同じだな」


 「主よ、元の姿に戻っても良いかの?」


 「『小型化』でならいいぞ」


 「ふふふ、これで我が勝ったも同然じゃな」


 「ちなみにお兄様。御褒美ってなんですか?」


 「おそらく世界で一番美味しいであろう肉」


 「楽しみ」


 みんなに、地面に魔力を展開した結果わかった、転移石の方向を教える。

 さて準備は整ったかな。前に走り抜けるのは無粋だ、的なことを言った気がするが、飽きてしまったからにはどうしようもない。俺は先行しながら実況でもしてようか。


 「よし。よーいスタート!」


 一番前に出たのは人間モードから素早く『小型化』魔物モードになったエリルだ。アイリスとイリアが驚いている。確かアイリスが、エリルの魔物形態を見るのは初めてだし、イリア含め奴隷達にはエリルが魔物だってこと言い忘れてたかも。


 このままエリルが勝つのかと思われたが、アイリスが風魔法を使いその噴射力を利用してエリルに追いすがる。


 イリアはと言うとスキルの『身体強化』を使い走っていた。しかしそれだけでは二人に追いつけない。そこでイリアは俺が巨大蛇の牙で作ったハンマーで地面を引っ掻く。ハンマーの重さを利用して加速。三人ともほとんど横並びになった。

 さあ結果がわからなくなってきたぞ。




 優勝したのはエリル。四足歩行だもん。しかたないね。


 「おめでとうエリル。御褒美はララスさんに渡して調理してもらうな」


 「楽しみなのじゃ」


 「エリル様魔物だったんだ」


 「その、なんて言いますか……」


 「かわいい」


 「我の本来の姿はもっと威厳があるじゃぞ!」


 「本当の姿は大きいからな」


 「見てみたい」


 「屋敷に帰ってから、中庭でならいいぞ。走り回れなくても元に戻ることくらい出来るだろ」


 「楽しみです」



 さあ、次の階層に行こうか。




 そこはジャングルだった。別に珍しくもないので特に動揺もせず進んでいく。


 降ってくる蛇を屠りながら、まだまだ進んでいくと段々と暗くなってきた。ここらで野営するか。


 俺は初野営に内心ウキウキしながら『アイテムボックス』からテントや食材を取り出す。ちなみにダンジョンに入っている日は昼食を食べないことが多い。


 適当に肉を焼いた物を食べながら、夜警戒をする順番を決める。


 二時間交代でイリア、アイリス、俺、エリルの順番に決まった。なんというか、修学旅行みたいで眠れないかもしれないな。


 その後は何もなく朝になり、朝食を食べた後に探索を再開したらすぐに転移石を発見した。


 地上に戻った俺達はギルドに向かった。


 「おい、見ろよ。悪魔の兄妹だぜ」


 「は?あんなガキどもが?ヒョロっちい」


 「ちょっとあいつ女に囲まれてて羨ましいから殴ってくる」


 「やめとけ!あいつら絡んでくる相手には容赦ないぞ。今までも何人か冒険者生命を絶たれたらしいぞ」


 ギルドに入るなり、そんな会話が聞こえてくる。自己顕示欲の塊である俺からすると、フフーンってな気分だが、妹達の手前何でもない顔して、受付に行く。それにしても悪魔の兄妹ってもう少し格好いいの思いつかなかったのかよ。


 冒険者登録をしてくれたお姉さんが対応してくれる。あの時から見た目が全然変わっていない。魔力が多い人は寿命が長くなることが多いと言われている。そのため老化も遅い。彼女もそうなのだろう。


 「買取をお願いします」


 「買取ですね。台の上に出してください」


 言われるまま台の上に今日の成果を出す。それを別の職員が持っていく。別室で査定しているのだ。そのあいだお姉さんと話す。


 「アレックスさんはパーティメンバー増やしたんですか?」


 「ええ、どうしても二人じゃどうにもならなくなったので。ついでに家も買ったんですよ。今度良かったら遊びに来てください」


 そんなことを言ってたら査定が終わったようだ。お金を受け取り帰ることにしよう。



 家に帰ったらまず風呂に入って、中庭に行く。ここに来たのはエリルに渡す御褒美を準備しようと思ったからだ。まずは俺の防御力を低くする。そのままだとなんか固くて食べられなさそうだし。そして左腕の付け根を右腕で掴み引きちぎる。すかさずエクストラホーリーヒールを自分にかけ腕を生やす。防御力も元に戻して、腕肉の処理をする。

 エリルに渡そうとしていた世界一美味しいだろう肉とは俺の肉だ。味見して見てまずかったら、外界の中でも美味しい魔物を狩りに行こう。


 「ララスさんこの肉を料理して」


 「かしこまりました」


 人肉を食べるというのは、地球ではおぞましい行為だとされている。が、この世界には亜人と呼ばれるオークやらゴブリンがいる。これらの肉は普通に食べられている。なら人間の肉も大丈夫だろう。エリルなんて魔物だし、さらに忌避感は少ないだろう。

 ちなみに獣人やエルフ、ドワーフのことを亜人と言うことがあるが、これは差別用語で人間至上主義者が使う。



 「ご主人様。出来上がりました」


 一口味見してみよう。


 「これは旨いな」


 「はい。私も味見で食べましたが、とても美味しかったです。何の肉なのですか?」


 「秘密ー」


 これならエリルに御褒美として渡せるだろう。


 「エリルー」


 エリルを呼びに行く。


 「夕食前だけど御褒美の肉」


 渡すと早速一口食べる。

 すると、動きが止まりしみじみと言う。


 「これは……うまいのう……」


 「気に言ってもらって何よりだ」


 「のう、主よ。この肉が何の肉か教えてはくれぬか」


 「秘密ー」


 「そこをなんとか!」


 しつこく食い下がってくるエリルを見て興味が湧いたのかアイリスが聞いてくる。


 「そんなに美味しいのですか。一口貰ってもよろしいですか?」


 「もちろんじゃ」


 アイリスもエリルと同じ状態になった。そこまで喜んでくれるなら、今度みんなに食べてもらおうか。


 今までは怪我することがないからつけなかったスキル、『高速再生』を付けよう。そうすれば無限に食べさせてあげられるだろう。しかし自分の体の一部を食べさせるのなんて、ヤンデレになった気分だ。

 主人公含め屋敷の住人はみんな、程度の差はあれど歪んでいます。


 きっとみんなアレックスの肉を食べたと知っても、気持ち悪がるのではなく喜ぶことでしょう。


 「お兄様(主)(ご主人様)の体の一部が私(我)の体に入るなんて嬉しすぎる」

 的な。

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