転生
玄関の扉が閉まる音で目を覚ました。昨日早く寝たからかいつもよりもすっきりしている。
我が家は今どき珍しくもない母子家庭で、母、姉、俺の三人家族だ。姉は大学、母は仕事にいった。俺はというと家でゴロゴロ立派なニート生活を送っている。もし高校を続けていたら今頃は二年生だ。悠々自適なヒキニート生活だがそろそろ飽きて来た。
バイトをやるのも面倒だし、家にある小説や漫画も全部読んだ。かと言って新しい本を買う金銭的な余裕もない。スマホもがたが来始めているようですぐに充電がなくなる。
あまりに暇なもんで何で学校をやめたのか思い返してみる。
一番大きな理由は学校に期待し過ぎていたんだろう。漫画のような劇的なことは起こらず似たようなことの繰り返し。そんな状況に飽き飽きしていたころ学校で進路について考える授業があった。
あまり裕福ではない我が家は、姉を大学に送り出した事により俺まで進学をさせるということは難しかった。そもそも然程頭の良くなかった俺は特に気落ちもせず、高校を卒業したら就職するつもりだった。
どんなとこに就職しようかな、などと考えていると、そもそも就職する意味とはなんだろう、といった具合に考えが逸れていく。
働くのはお金を稼ぐためだ。お金を稼ぐのは生活をしていくためだ。
「働く、ねぇ」
呟いて気付いた。どうやら俺は働くということに忌避感を感じていたのだと。端的にいうと働きたくないでゴザル!というやつだ。
三年ある高校生活の一年目で繰り返すような日々に飽きているというのに、就職したらもっと長い期間、繰り返す日々を過ごさねばならないことがとてつもなく嫌だった。
多くの人は繰り返す日々に意味を見つけ過ごすのだろうが、どうやら俺には無理らしい。
もういいか。などと思ってしまえば学校を一日サボった。サボったおかげで学校に行きづらくなり、またサボった。
そうして進級に必要な出席日数が足りなくなり、留年するくらいならと学校をやめた。
そうして現在に至る。大した理由もなく、いや強いて言うなら飽きたから学校をやめヒキニート生活を送っている。その生活も飽きてきた。
あーあ、暇すぎる暇すぎるからフラグでも建てようかなー
この現実世界にフラグなんてものは存在しないのはわかっているがそれでも、もしかしたらという気持ちとありえないという気持ちを込めた一言を発した。
「あーあ、何か面白いこと起」
まだ言い切る前に俺の意識は途絶えた。
※この小説は作者の妄想を文にしたものです。そのためいくつかの矛盾点が出る恐れがあります。
完全に自己満ですが、できるだけみなさんにも楽しんでもらうように努力したいと思いますのでよろしくお願いします。