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02話 悪役令嬢の過去は……

長めで説明回です。

ブックマークありがとうございます。



 私、雪城鈴花は日本屈指の大企業の令嬢として生まれた。

 甘やかされて育った私は我が儘なお嬢様だったと思う。

 私に超能力があったのも我が儘を増幅させた要因かな。


 この世界では超能力者が当たり前に存在している世界。

 人口の1/1000が超能力者だ。

 生まれながらの先天的な超能力者や、ある日突然超能力が目覚めるものもいる。

 血筋に超能力者が生まれやすい家系もあれば、肉親に超能力者がいないのに生まれる場合もある。

 つまりは超能力者がどうして生まれるのかは解明されていないのだ。

 超能力といっても力の強いものや珍しいものはほんの一握り。

 それら逸材はこれからの国を担う宝。そのため手厚く保護されるのだ。


 私は生まれながらの超能力者――テレポーターだったけど、その力は微弱。

 自分の身体を転移させることなんて当然無理で、出来ることと言えば軽い物体を数十センチ転移させることぐらいだった。

 だけど、1/1000のレアな存在には変わりない。

 私は超能力者であることが自慢だったのだ。


 そんな我が儘な私が7歳の時。

 家族で泊まりに行った別荘で乗馬用の厩で馬の世話をしていた。

 つぶらな瞳の馬が可愛くて、私は我が儘を言ってお世話をさせてもらったのだ。

 その際、使用人には決して超能力を使ってはいけないと注意を受けていた。

 しかし私はほんの数十センチ先にあるバケツを取るのに面倒くさがって超能力を使った。

 驚いた馬が私を蹴り上げ、私は4針縫う怪我をした。今もその傷が頭部に残っている。

 病院で手当てを受けた後、私は思いっきりお父様に叩かれた。

 いつも甘やかしてくれたお父様の憤怒の表情はとても怖かった。

 だけど同時に私のことを愛してくれているのも伝わってきたのだ。

 私が今までどれほど愚かだったか、この時思い知った。

 『変わりたい』私はそう願った。

 異変に気付いたのは怪我の回復後。

 あの屋根に上ってみたいな~と思ったら、次の瞬間その屋根の上にいた。

 その場で消えた私にお母様は唖然とし、私はギャン泣き。

 後の検査で私の超能力が以前とは桁違いに強くなっていることが判明。

 超能力は能力が開花してから使い方を学ぶことで能力の幅を広げることは出来るが、資質――つまり出力自体は成長することはないとされていた。つまりは、私は世界初の事例となる。

 テレポーターは超能力者として珍しくないが、私ほどの資質の者は世界でも数人いるかいないからしい。馬に蹴られて私はとんでもないエリート候補になってしまったのだ。


 たとえ大企業の令嬢だろうと、強力な超能力者は国の保護下に置かなければいけないと法律で決められている。

 お父様は法律と断固戦うと言っていたけど、私はそれを止めた。

 変わりたいと思った私は、甘やかしてくれる家族の元を離れることにしたのだ。


 家族と離れた私はまず能力をコントロールするため、国の施設へと入る。

 そこではひたすら能力コントロールの訓練訓練訓練。勉強は施設の職員さんに見てもらった。

 そして2年後、甘えた根性はここで叩きなおされ、超能力者の心構え・思いやり・屈しない心など様々なことを学んだ。能力をコントロール出来るようになった私は高校生以下の有力な超能力者が通う全寮制の学校に転入することに。もちろん、世間には秘匿された学校です。

 ただ予想外だったのは、9歳の時点で私がこの国のテレポーターのトップになってしまっていたこと。 これにより私は1つの選択肢が与えられた。それは国の特殊超能力機関『アメリア』に所属すること。

 所属すれば、あっと言う間に高給取りに。

 私は更なる高みへと上り詰めるため、アメリアに所属することを決意したのだ。

 

 

 アメリアに所属してからは、施設の訓練が可愛く思えるほどの扱きの数々。

 放課後は訓練訓練訓練訓練訓練訓練――あんの鬼畜眼鏡!じゃなかった蓮先輩の指導は、とても有意義なものとなったよ、色々とね?

 超能力の汎用性を高めることは勿論、格闘術、話術、潜入工作、各種武器取扱い、実践語学などなどこれでもかと叩き込まれた。

 もう、高度一万メートルからパラシュートなしで落とされた時は本当に死ぬかと思った……。

 そんなこんなで、1年の研修期間後にアメリアの正隊員になった。

 そこで初めて私は伊織と出会った。


 「お、お前……雪城鈴花か!? 何故ここに!」


 こいつ学校にいたっけ?と疑問に思っていると、初対面で何故か私は名前を呼ばれた。

 適当に挨拶をして伊織から離れようとすると、蓮先輩から爆弾発言が飛び出した。


 「鈴花と伊織はパートナーになりました。これから一緒に生活してもらいます」


 「「はあ!?」」


 「言っておきますが国の決定ですよ?」


 後から知ったけど、私へのしごきの数々はすべて伊織のパートナーになるためになされたものだった。

 伊織の実家――雨宮家は超能力者を多く輩出している家系で、優れた未来予知能力を持つ者が稀に生まれる。

 伊織も未来予知能力かと思いきや、過去追跡能力という世界で1人だけの珍しいの能力で、超能力の名門雨宮家でも対処しきれないほど狙われているのだとか。

 そのため能力者専用の学校にも行けず、アメリアの隊員として匿われていた。

 そこに現れたのが私。世界トップレベルの資質を持ち、しかもテレポーターだから誘拐されてもすぐに帰還できるよね!ということで伊織のパートナーとして選ばれた。

 間違いなく時代を担う逸材と後から隊長にキラキラとした目で言われたが、あの苦しい訓練がコイツのためだったなんて……すごく遣る瀬無かった。

 そこからが私と伊織、そしてお目付け役の蓮先輩の奇妙な幼馴染関係が始まったのである。


 アメリアの寮での生活にも慣れ、国家の威信をかけた仕事(総理大臣のうっかり忘れた書類を届ける仕事)や犯罪組織を壊滅させたり、他国の王族の護衛、伊織誘拐の後始末、蓮先輩の鬼畜指導などなど色々なことがあった。

 私と伊織も15歳となり、アメリア所属ということを隠して聖フローライト学園に通うことになった。

 聖フローライト学園は全国の超能力者を集めた学校だ。

 能力の強弱に限らず一纏め。簡単に言うと、面倒だから一か所に集めましょーということらしい。

 中学までは普通の学校に通っていたものも強制召集である。

 ちなみに自宅通学・寮・一人暮らしなど住む場所は自由。私と伊織は変わらずアメリアの寮から通うこととなった。


 そして入学式の3日前、真剣な顔で伊織が私と蓮先輩に言った。


 「黙っていたけど……俺、この世界が乙女ゲームだって知っているんだ」


 「蓮先輩、今日は医術部隊って誰がいたっけ?」


 「今日は長谷川さんですね。残念、長谷川さんの専門は外科、精神科じゃない」


 「どうする?コレ」


 「どうしましょうね、コレ」


 私と蓮先輩は可哀相なものを見る目で蓮を見た。


 「俺の話を聞けーい!!」


 「はいはい、聞いてあげますよー」


 「くっ、馬鹿にしやがって……。俺だって信じたくないけどな、事実なんだよ! 小さい頃、試しに自分へ過去追跡の能力を使ったら前世が見えて、そしたらこの世界が俺の前世がやっていた乙女ゲームと同じだったんだよ!」


 過去追跡は文字通り過去を見る能力。対象を指定するとより詳しく過去を見ることが出来る。

 伊織はそれを自分に使ったと。


 「つまり伊織の前世は乙女ゲームをやる人種だったと。貴方、前世は女だったんですか?」


 「さすが蓮先輩、着眼点が鬼畜~」


 「煩いドSコンビ!」


 「「あ゛あ゛ん?」」


 「すみません、調子に乗りました!」


 「それで?続きを話しなさい伊織」


 「ちなみに俺は前世は男だった。乙女ゲームは前世の妹が無理やり前世の俺にやらせたものだ。それでその中の『恋と青春と超能力♡』という乙女ゲームの世界に酷似しているんだ」


 「ふーん、それで?」


 「おい他人事じゃないぞ鈴花、それに蓮。俺たちはそのゲームの登場人物なんだから」


 「はあ!?何それ、どういうこと」


 「ふむ、具体的には自分はどういった人物なんでしょう?」


 「俺と蓮は攻略対象で、俺は俺様生徒会長、蓮はホスト系教師として出てくる。そして鈴花は……悪役令嬢だ!」


 「私が悪役令嬢!?」


 「ホスト系って何ですか、ホスト系って……」


 「初めて蓮と鈴花を見た時、俺は驚いた。でも同時にゲームと違うって安心したんだ。蓮は別に女好きじゃなかったし、鈴花も人を苛めるような奴じゃなかった……ふたりともドSだったけど」


 最後の一言には誠に遺憾だが、伊織には話を進めて貰おう。


 「特に鈴花はゲームでは大した能力は無かったはずなのに、10歳でアメリアに入れるほどの力を持っていただろ?だからこの世界はゲームじゃないって……。だけど念のために色々調べたよ。そしたら、まずいことが判ったんだ。俺と鈴花と蓮以外の登場人物はゲームとほぼ同じ生い立ちと境遇だった。そして主人公であるヒロインの周りがきな臭い」


 「きな臭いとは?」


 「元々超能力者の未来は見ることが難しい。だけど、全然見えない訳じゃない……でもヒロインは雨宮の能力者でも見えなかったんだ。彼女は今は能力を持たない一般人のはずなのに。しかも彼女は雨宮伊織を知っていた。俺は高校入学するまで表向きは秘匿される(・・・・・・・・・)存在なのにだ。彼女が俺を含む攻略対象たちの本来表に出るはずのない情報を喋っていたらしい。その情報が厄介な組織に伝わっているのは確実だ」


 「それは……ヒロインとやらは伊織と同じゲームの知識を持っているという訳ですかね」


 伊織は恐らくと言って強く頷いた。


 「ねえ、雨宮でもヒロインって子の未来が見えないってどういうこと?」


 「佳織姉さんが言うには因果律がねじ曲がっているらしい……よくわからんが」


 「ヒロインは別として、私と伊織と鈴花だけが登場人物の中でゲームと違うんですよね?」


 「俺はたぶん、自分に遊びで能力を使うまではゲームと同じだったと思う」


 「私は問題児の伊織と鈴花に掛かりっきりで女性に現を抜かす暇はあまりありませんでしたし……ゲームとは違う伊織と出会うはずの無かった鈴花と一緒にいたから自分もゲームとは違う人物となったということでしょうか。そうなると鈴花が何故ゲームとは大きく違う存在となっているのか」


 「うーん。私も昔は大した超能力も持たない、我が儘なお嬢様だったけど。馬に蹴られて怪我してから能力が大幅に上がって、さらには我が儘な態度を改めるようになったんだよねー」


 「ぷっ馬に蹴られて……」


 「伊織、今すぐヒグマのいる北海道の秘境にテレポートさせようか?」


 「ひぃぃぃ、すみません!」


 「じゃれるのはその辺にして置きなさい。 この際乙女ゲームの世界かというのはどうでもいいです。つまりはヒロインを中心として未来予測できない事態が起きる可能性が高く、さらにヒロインは面倒な組織と繋がりがあると……」


 「そういうことだ。ちなみにヒロインは俺と鈴花と同い年で高2から聖フローライトへ転校してくる。そこからゲーム期間が始まるわけだが」


 「うぇー同い年か……。てか、何で高2からなの?」


 「高1の3学期に超能力に目覚めるんだ、ゲームだと」


 「そんな危険人物を約1年放って置く……という訳にはいきませんよね?」


 「もちろん。つーか佳織姉さん経由で親父にバレた。後で通達があると思うけど、俺たちがヒロインの監視及び組織に個人情報が漏れた登場人物たちを秘密裏に守ってヒロイン対策しろとさ」


 「うわっ、長期任務じゃん! しかも伊織パパ経由ってことは、超能力省直々の任務ってこと?」


 伊織パパは超能力省大臣のエリート中のエリートだ。


 「しかし、ゲームを理解していて高い情報能力をもつ伊織に監視役と運び役に打ってつけ鈴花。そしてお目付け役兼緊急時の戦力の自分ですか……。随分と国は警戒しているようですね」


 「うーん、前に一時期俺の誘拐が頻発したことがあったじゃん? あれヒロインが俺の事を組織に話したかららしい」


 「えー何それ!?私が面倒ながらも毎週のように伊織を迎えに行ったのってヒロインが元凶だったの」


 「アメリアの警護をすり抜ける素晴らしい手腕でしたよね。つまりは国を揺るがすような組織という訳ですか」


 「「面倒だ」」


 「ていうかさ、伊織と蓮先輩が攻略対象ってことはヒロインに狙われるんじゃない? 前世の記憶があるならさ、攻略知識使ってリアル乙女ゲー参戦!って感じなんだし。たぶん組織に都合よく利用されるような頭の弱い子なんでしょ、ヒロインって」


 「鈴花、お前容赦ないな……」


 「だって、一応大事な幼馴染ふたりのことを無自覚だったとしても、危険に晒したんだよ? そんな人を庇うほど私はお人好しじゃないし。まあ、ふたりが簡単にヒロインと組織に負けるなんて考えられないけど」


 「……鈴花」


 やばい、ちょっと恥ずかしいかも。


 「鈴花、貴女はそんなにも自分と一緒に訓練がしたいのですか?高度一万メートルで模擬戦でもします?」


 「ちょっ何それ!? 蓮先輩の愛情表現が鬼畜ぅぅ」


 ということで『ヒロインに乙女ゲームはさせない対策本部』、通称HOS対策本部は結成された。

 もちろんコードネームはその場のノリで決められたものである。




『恋と青春と超能力♡』

ゲーム名は恋チョコを参考に適当に名付けました。

特に覚える必要はないです。

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