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01話 コードネームは……

悪役令嬢ものを書いていたら幼馴染の絆物語になりました。

どうしてこうなった。

小説自体は書き終わっているので、毎日投稿したいと思います。




 <こちら悪役令嬢、監視対象ヒロインを視認。食パンを咥えて疾走中。あっ食パンにはブルーベリージャムが塗ってあると思われます。どうぞー>


 <こちら俺様生徒会長。いいからヒロインの場所と俺との距離を教えてくれ!頼むから。どうぞ>


 <こちらホスト系教師。遊んでいないで早く学校へ来なさい、遅刻しても特別扱いはしないよ?どうぞ>


 <こちら悪役令嬢。私はテレポートで一瞬だから大丈夫、どうぞー>


 <こちら俺様生徒会長。俺も一緒に連れてけよー(涙)。どうぞ>


 <こちらホスト系教師。登校に超能力を使うのは校則違反だと思いますが。どうぞ>


 <こちら悪役令嬢。仕事中なので問題なし、どうぞー>


 <こちらホスト系教師。仕方ないですね、今回だけですよ悪役令嬢。どうぞ>


 <こちら悪役令嬢。判っています、ホスト系教師。私、仕事とプライベートは分けるたちなので。あっ俺様生徒会長とヒロインがあと10秒ほどで接触。どうぞー>


 <早く言え、あほーー!!>


 ブツッと通信が切れた。

 ちっ仕方ない助けてやるか、仕事だし。


 ヒロインが曲がり角を曲がる寸前、

 私は朝ごはんの残骸――バナナの皮を持ち、対象の足元へとテレポートさせた。




######


 


 あたしの名前は日向梓ひなた あずさ、どこにでもいる普通の女の子……だったんだけど。

 突然超能力が目覚めちゃったの!

 あれよあれよといううちに全国の超能力者を集めた学校、『聖フローライト学園』に転校することになったの。

 そして今日は転校初日。それなのに寝坊しちゃったの!大変~。

 初日から遅刻何てありえない!

 あたしはパンを咥えて家を飛び出したの、そしたらなんと運命の出会いが――――





 うわっ、痛い!何かぐにゅぐにゅしたもの踏んだんだけど!

 はあ?何でバナナの皮なんて落ちているのよ。

 ベタすぎてありえないでしょ!!


 って、あれ俺様生徒会長の雨宮様がいない!?ここでぶつかる出会いイベントでしょ!

 もうあんな遠くにいる!


 追いかけなきゃって、んぎゃー新品の制服にブルベリージャムがぁぁぁああああ。

 何でよ!ヒロイン力溢れるスーパー美少女のあたしがこんな目に遭わなきゃいけないのよ!


 この乙女ゲームの世界は、すべてあたしの為にあるのに!


 

 ふんっ、これはシナリオを萌えさせるスパイスと言ったところかしら?

 

 最終的に逆ハーレムを作り上げ、世界に君臨するのはこのあたしよ!




########




 <こちら悪役令嬢。ヒロインがバナナの皮を踏み転倒、その後ブルーベリージャムのついた制服を見て奇声を上げるところまで確認しました。それと、優秀な私をアホ呼ばわりした俺様生徒会長は後で〆ます。どうぞー>


 <こちら俺様生徒会長。すみません、俺が悪かったです。ごめんなさい。どうぞ>


 <こちら悪役令嬢。今日の学食奢れ、どうぞー>


 <こちら俺様生徒会長。判りました!喜んで奢らせてもらいますっ。どうぞ>


 <こちらホスト系教師。いいから早く登校しなさい。あと10分ですよ。どうぞ>


 <<はーい>>  


 双眼鏡から目を離し、通信を切る。


 まったく、早朝からの仕事なんて面倒以外の何物でもない。 

 気分を変えるために背伸びをして深呼吸。


 「んー、風が気持ちいいー」


 眼下に広がるのは、川。

 私は橋の上のさらに上に浮かんでいた。

 実際は0.1秒ごとに同じ場所に自分をテレポートさせているんだけど。

 さて、遅刻するのは嫌なので【テレポート】と。



 降り立ったのは聖フローライト学園正門近くの路地裏。

 軽く身だしなみを整えて、正門へと向かう。

 すると見知った顔が現れた。


 「伊織どうしたの?息切らして」


 「鈴花! いや、あの後ヒロインがものすごい形相で追いかけてきて……撒くのに時間が掛かった」


 「ふーん、お疲れさん」


 「いや、助けろよ! 一緒に登校させてくれよ……」


 「アホな私の助太刀なんていらないと思って~」


 「すみませんでしたー!」


 このアホの名前は雨宮伊織(あまみや いおり)

 聖フローライト学園の生徒会長――だが俺様ではない。

 ちょっと珍しい超能力を持っているからと言う理由で生徒会長になった可哀相な奴。

 まあ、それなりに慕われているから素質はあると思う。

 私を無理やり副会長に任命したのは、たとえ幼馴染だろうと一生許さないけど。


 

 正門に行くと、白衣を着た無駄に色気を放つ教師がいた。

 彼の名は霧島蓮(きりしま れん)

 科学教師で生徒会顧問。女子生徒に大人気で男子生徒の怨敵だ。

 あと眼鏡キャラね、ここ重要。


 「おはようございます、雨宮くん、雪城さん。遅刻ギリギリですよ。生徒会役員なのですから、もう少し早めに登校して下さい」


 「すみません、霧島先生」


 「明日からは早めに登校します」


 普通に挨拶をして、私と伊織は教室へと向かった。

 皆さんお気づきだろう。

 先程の通信の『俺様生徒会長』は伊織で『ホスト系教師』は蓮先輩、そして『悪役令嬢』は私だ。

 教師を先輩呼びで、しかもこの茶番は何かって?

 それは大分前に遡る。


 それは、雪城鈴花(ゆきしろ すずか)が馬に蹴られたところから始まる――――



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