「存在」を望んだ少女 2
「彩花ってさあ……」
なんか、存在薄いよね。
そんな風に、何度言われただろうか。
昔からなんだってそれなりに出来る。ルックスも体型もそれなりに良い(友人談)、し、勉強も運動もトップを取る事は出来ないけれども十番以内に入っているし、家事も料理も出来る。
それでも、突出している物は無い。
全てをそれなりにこなす事は出来るけど、逆を言えば全てそこそこでしかない。飛び抜けて得意な分野があるわけでなし、かといって目も当てられないような欠点もない。
言ってしまえば、中途半端。
そして、それはイコールして個性が無いという事になるらしい。
個性が無ければ、誰かに目を向けてもらうような事もない。
それ故に、私は存在感がないのだろう。
むろん、何かにつけてそこから脱するように努力はしている。
見た目に気を配ってみたり、いつも以上に勉強を頑張ってみたり、他にも例を挙げればきりがない。
だが、一度定まったポジションというのは簡単には動かず、私は集団に混ざれないままポツンとしていた。
別に、それで不自由がある訳じゃない。
ただ、楽しそうに話してるみんなを見て、ふと思ってしまう事がある。
……もっと、私の事を見て欲しい。
子供のワガママじみた、自己顕示欲だとは自分でも理解している。でも、その気持ちを捨てきれずに日々を過ごしている内に、その思いは段々強くなっていく。
どうして誰も見てくれないの?
ねえ。ほら、私はここにいるよ。
誰か気付いてよ。誰か、誰でも良いから……!
そんな想いを抱えて日々を過ごしていたある日。
私は、彼に出会った。
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