夢のこれからと。
とりあえず続きです。
今話で夢ちゃんは暫く現れません。
楽しんでくれたら嬉しいです。
もといた部屋に戻されたリャナです。
とりあえずミリィちゃんは扉を魔法で封印し、外から見えなくしているらしく、私はメリィちゃんと会話中。
「―――と、言うことなの。」
大まかに事情を説明してみた。
なんか本当の事は言っても信じて貰えなさそうだったし、『記憶喪失』になっはたって事にして話す。
すると、それを鵜呑みにしたメリィはいろんな情報をくれた。
……容易い。
と、黒い事を考えながらミリィの話しに耳を傾けた。
どうやら私の祖先は精霊と契約を交わし精霊魔術〔精霊使いの別称(イチ情報)〕の先駆けを担ったらしく、エルフの王様から『ソフィア』という家名を貰ったらしい。
そして私の名前はリャナ・ソフィア
兄二人、姉一人の末っ子。
ミリィとメリィは私の侍女兼護衛だそうだ
私が狙われる理由としては精霊と代償無しに契約出来る血を持ってるから
他のエルフ達は精霊との契約に対価が必要らしく、その最上級の対価が私の家、ソフィア家のエルフの血らしい。
と、いろんな情報を全てイチに記憶させる。
因みに何故かイチは二人には認識できてないらしい。
「イチ…ジツハ、エラインダヨ。」
そんな事を呟いたイチをほおっておき、メリィと昔の事だとか、些細なことを聞き出した。
「アッ、クルヨ?」
ふと、イチが呟くとミリィが扉に施していた魔法が切り裂かれた。
扉もろともというかぼろぼろに崩れ去った扉の先に黒鎧。
魔法ごと扉を切り裂くということは―
「―マケンダネ。」
……そう。魔剣。
イチに言われてしまったが魔剣には魔法を脆くするタイプの剣があり、黒鎧が持っている剣もそれだろう。
私が呑気に剣に見とれているとミリィとメリィが私を守るように前に立った。
「お嬢様は下がってください!あいつの相手は私達が致します!」
ナイフを両手数本持つミリィが叫ぶ。
メリィは分厚い本を取り出し魔法を放つ。
「『アイシクル・プリズン』」
黒鎧の足元から幾つもの氷柱が突き上がり、回りを囲む。
完全に身動きがとれなくなった黒鎧にミリィがナイフを投擲する
それは鎧の弱点の継ぎ目部分に刺さったのだが………
「…………」
痛みがないのか黒鎧は身動ぎ1つ起こさない。
……二人は知らないのだろうか。
今二人の相手の黒鎧は、『死霊魔剣士』という3次職だ。
上級職の『魔剣士』で一定量自殺を繰り返すことでなる死霊魔剣士
死霊騎士の弱点の光系一撃死が無くなりF・O内戦闘ではかなりチートな仕上がりになっていた。
しかし、首より上がないので見た目的に好まれずその数は少ない。
「ドウスル?」
「とりあえず援護しよっか。」
「ワカッタ。」
杖がないので右腕を媒体に魔法を構築しはじめる。
私がこれから撃つのは光属性の射撃魔法
あまり威力もないので多分威嚇射撃にしかならないだろう。
丁度二人も射線上にはいない。
「……ジュンビカンリョウ。」
魔力の貯まった右腕にイチが同化する。
すると右手には光の弓が握られる
「!!」
黒鎧が私のすることに気がついたのか剣を盾に防御の体制をとる。
あちゃぁ……
「防御されたらきかないんじゃない?」
「ドウダロ?ヤッテミヨ。」
頭に響くイチの声
(効かないでしよ?)
そんな事を思いながら弓を引く。
「ってぃっ!」
―パシュンッ
と綺麗な音がし光の矢が1本黒鎧に向かう筈だった。
しかし…現実は違った。
音は綺麗だったものの弓から放たれたのは矢ではなく極太の光のレーザー。
それは黒鎧を意図も簡単に呑み込むと、それではあきたらず部屋の壁を撃ち抜き、水平線上を無に返した。
「「「…………」」」
射線上から外れていた二人は予想外の一撃に言葉も出ず
またそれを放った私ですら呆気にとられてしまった。
目の前に現れた青い空。かけた雲。
「ソウカイダネ~。」
ただイチだけは嬉しそうに私の中で喜んでいた。
「お嬢様っ?!ま、待ってください!」
あの一件の後、いろんな事があった。
メリィから連絡を受けていた家族が私のいた館……あれが私専用の家だったんだって。
そこに到着すると大きな風穴。
それをやったのが娘と認めない厳格な父。
制御練習と私のせいだと認めさせるために山に風穴を開けてしまった私。
そのせいで父は様々な方からお叱りを受けたらしく、私は父に、家族の縁を切られた。
「お前みたいな化け物家族でも何でもない。」
そう言われ家から追い出された私。
お姉ちゃんを探しに行くには好都合だったので私は抗いもせず家を出た。
すると、そんな私についてきてくれたのがミリィ。
メリィも来ようとしたらしいのだが母に、「リャナが心配だから連絡がとれる貴女は残って」と言われたらしく残ったみたい。
それをミリィから聞き、私は何故だか涙で一杯になった。
母親の事は一切知らない。
それでもすごく嬉しかった気がした。
「ふぅ……やっと追い付きましたよお嬢様っ!」
はぁはぁと息を切らしながらミリィが私に話しかける。
家から出たのにメイド服のままのミリィ。
ずっとそのまま?
「……ねえ。そのお嬢様ってのやめない?私はもうお嬢様じゃないし。……元からお嬢様じゃないけどね。まぁ、リャナって呼んでよ。」
「あっ、えぅ……」
照れて顔を真っ赤にするミリィ。
……ちょ、可愛い!
「………り、リャ…ナ?」
こくんと首をかしげながら聞くように私の名前を呼ぶミリィ
「イチ!保存!」
「ドウガデトッテルヨ!」
「さすがっ」
この可愛い生物は私のペットにしよう。
そう決意した。
「それで…り、リャナ?どこに向かいます?」
「どこって言われても特にない。」
「ヒトマズ、シュウニュウがヒツヨウ。ガシスルヨ」
「それもそうだね……近くの街にいってみましょうか?」
「はいっ!」
「マッスグイケバ、マチガアル」
「よしっ!出発!」
「「おー(オー)」」
こうして2人+1の旅が始まった。
チート妹誕生っ!!
お姉ちゃんと出会うまでにどれだけ強くなってしまうのでしょうか?
次話からお姉ちゃんのターン。
変化しかできないお姉ちゃんに発展はあるのか…
お楽しみに!
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