決着。
ほんとにバトル物は難しいです……
何が起きたのだろう。
カササギは見てることしかできなかった。
魔法によって撃ち抜かれていくテナの体。
飛び散る血と肉片。
「テナさぁぁああん!」
その光景にただ叫ぶしかなかった。
魔法が止み、カササギは直ぐにテナのもとに駆け寄る。
そこには魔法の残した痕と、赤く真っ赤な血溜まりだけが残っていた。
「うっ…ぁ……」
「お姉さまっ!?っ、それは……」
涙を流しながらカササギが顔を上げると、クゥが一人でいた。
「クゥ……ねぇ?なんで?なんでなの?これはゲームなんじゃないの?」
「お姉さ――っあ!?」
しかし、その答えを聞く間にクゥは吹き飛ばされてしまった。
「ったく……邪魔がまた増えた。」
魔剣士の男が剣を突きつけてカササギを見下ろす。
「どうして……どうしてこんなことっ!」
怒りを込め、武器もないカササギは全力で魔剣士の胸を拳で叩く。
何度も何度も……
しかし所詮は子供の体
たいした威力もなく魔剣士はその攻撃を無視し、クゥが飛ばされた方に剣を向ける。
「『バインド』……『アイス・ランス』」
「っあぅ?!」
最初の魔法はカササギにかけられ、クゥの頭上には3本の氷で出来た槍が浮かぶ。
「っ!お姉さま…」
「落ちろ。」
「だめぇぇええっ!」
3本の槍が男の声と共にクゥに向かい落ちる。
しかしそれはクゥに当たる前に全て弾かれた。
「っと……マスター?大丈夫ですか?」
服の至るところが焦げているフユがクゥの前に立ち塞がった。
「ちっ、また増えやがって……って事は殺られたか」
それほど気にしてないのか男は頭をぼりぼり掻いてため息をつく。
「まとめて片すか……全てを飲み込む黒。何者にも染まらないその力――」
魔剣士の男は剣を掲げ詠唱を始める。
その剣に集まる黒い何か。
それは球状にどんどんと大きくなっていく。
「――のみ込―」
―ザクンッ。
「っぇ……?」
魔剣士の体から延びる何本もの剣や槍
それらは地面から突き出て男の身体を貫いていた。
「ふぅ……間に合いました。」
男の真後ろから無傷のテナが現れ、バインドで動けないカササギを小脇に抱える。
そんな状況をのみ込めていないカササギ
「あれ?テナさん?……な、なんで?」
「いやぁ……変わり身使ったんだけど……なんかでるに出られなくて…暫く隠れてたんだよ……」
ごめんごめん。と、いいながらクゥとフユの所へ向かう。
「お怪我はありませんかお姉さま?」
クゥは、心配そうにカササギを見ている。
でもカササギにはそれ以上に気になることが…
「フユ……腕が……」
「?……ああ。忘れていました。」
炎の巨人との戦いで自分で引きちぎった右腕
「なくて大丈夫なの?」
「日常生活には不便が出そうですね。」
案外楽観視しているフユ
そんなフユにクゥが一言
「後でお仕置きですね」
「………カササギさん。助けてくださぃ」
いきなりガタガタ震えだしたフユ
((そんな怖いの?))
黒い笑顔のクゥにテナとカササギも恐怖を覚えた。
「お、おぃ……お前ら……」
串刺しにされた魔剣士が談笑していた4人に話しかける。
「……何ですか?」
カササギをクゥに預け、テナは男に歩み寄る。
「…俺は……あいつにそそのかされて……」
「そんな嘘いいです。もう、楽にして差し上げましょうか?」
テナは右手に剣を握る。
その剣はテナが造り上げた一本
断頭台の刃のようなその剣を首に当てる。
「っひぃっ!?……し、死にたくない!俺はこんなところで死にたくないっ!」
カタガタと身体を震わせる魔剣士
槍に貫かれているせいでその場から逃げれず、助けてくれと哀願する。
「死にたくないなら答えなさい。…目的は何ですか?」
「それは……あの妖孤からとれる【金丹】…だよ。あれは不老不死の薬だと知って………俺は依頼されただけなんだ!」
「……依頼主は?」
「………言えない」
「………そうですか。さよなら」
テナは躊躇うこと無く魔剣士の首を切り落とした。
「さて……あんまり情報が手に入りませんでしたね~……って、どうしたんですか?」
「いや、何か躊躇いも無いんだなぁ……って」
「そんなの……あっても生き残れませんよ?時には無情にならねば駄目なんですよ。」
何処か悲しそう…
テナの事をカササギはそんな風に思った。
こうなるかも知れない次回予告っ
「そ、そんなにいれちゃ駄目ですっ!?あ、溢れますぅっ!」
「これはお仕置きなのですよ?それなのに喜んで……そんなに私のがいいんですか?」
「クゥネルさんが怖いんだけどカササギさん…」
「大丈夫です。私も怖いですから……」
「あっ、お姉さまもしますか?やみつきになりますよ?」
「いや、私はやりたくない……。」
「そうですか……では私が一人で楽しみますね~」
「「………」」
「っあ?!ま、マスターぁ……私はもぅ……」
「うふふふ……まだまだお仕置きは終わりませんよ~」
「マスターぁ!」
「フユっ!」
果たして二人がしてるお仕置きとは?
次回【台詞で妄想は∞。】
お楽しみに!
……次回タイトルは変更になる可能性があります。