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第7話 130センチの皇帝と、魔王討伐!~日本一の神の秘宝と、世界を救う聖なる唾液(?)~

いつも作品をお読みいただき、誠にありがとうございます!

いよいよ中央チョコレート工場編のクライマックス(第7話)です!

【ゴブリン・エンペラー(身長130cm・赤いミニマント付き)】へと進化を遂げたゴブと、相棒ハルトによる宿敵『魔王(?)』との決着をぜひ最後までお楽しみください!


 最終進化の黄金の稲妻が巻き起こした熱風が、俺の背中に新しく生えた長さ三十センチの『真紅の皇帝マント』をパタパタと誇らしげにはためかせ、頭の小さな黄金の王冠の真ん中に宿った赤い魔石がギラリと光を放った。



 俺は『百三十センチ』へとさらに巨大化したこの堂々たる皇帝の巨体で荷馬車の鼻先に仁王立ちし、二十歩先に立つ宿敵――身長二メートル十センチの『魔王(ゴウザブロウ・レベル15)』を傲然と見下ろしてやった(気持ちの上では)。



『あ、あれだけド派手な黄金の雷光を放っておいて、伸びたのはたったの5センチで、背中に赤ちゃんの前掛けみたいな赤い布が生えただけだとォ!?』



 魔王はハルトに撃ち抜かれた右膝の痛みに顔を歪めながら、黒い鉄仮面の奥で狂ったように怒鳴り散らした。



『ふざけるなよ、この緑の奇形チビ助がァッ! おい、後ろの増援の装甲車、突っ込め! 40ミリ自動擲弾銃(グレネードランチャー)で運転席のメガネのガキごとトラックを木っ端微塵に吹き飛ばせえええっ!!』



 ――ドォン! ドォン! ドォン! ドォン!!



 魔王の後ろの黒い鉄の戦車の屋根についた大筒と、さらに横の道から新たに現れた二台目の鉄の戦車に乗った『十人の黒鎧の精鋭部隊(レベル6)』、そして音に引き寄せられた『二百体のアンデッドの群れ』が一斉に殺到した!



 空を切り裂いて飛んでくるのは、六発の『巨大な緑色の爆裂魔石』だった。


 しかもその狙いは俺ではなく、すべて俺の後ろの席から顔を出している俺様の鞄持ち――ハルトの頭へとまっすぐに向けられていた!



「ハルトォッ!!」



 人間であるハルトには、避ける時間すらなかった。


 だが――ゴブリン族の神話の頂点【ゴブリン・エンペラー(レベル50)】へと登り詰め、『敏捷370』を手に入れた今の俺の黄色い目には、空を飛んでくる六発の爆裂魔石など、泥の上を這うナメクジのように遅く見えた!



(俺様の大切な『生きた地図』に指一本触れさせてたまるかァァァッ!!)



 ――ドォォォンッ!!



 俺の百三十センチの体が、緑と赤の残像を残して荷馬車の鼻先から消えた。


 六発の爆裂魔石がハルトの鼻先すぐ近くの窓へと突き刺さるコンマ一秒前――俺は空中に躍り出て、飛来する六発の爆裂魔石を、なんと『素手の両手』で熟れた木の実でも摘むかのように空中で全部まとめて掴み取ったのだ!



「ゴブゥッ!!」



 俺は空中で体をひねり、『筋力360』の覇王の剛力を込めて、掴み取った六発の爆裂魔石をそのまま二台目の黒い鉄の戦車と二百体のアンデッドの群れのど真ん中へとまとめて投げ返してやった!



 ――ドゴォォォォォォォンッ!! グシャアアアアッ!!



 天地を揺るがす大爆発が連鎖し、増援の鉄の戦車は一撃でひっくり返り、十人の黒鎧の精鋭たちは鎧ごと空高く吹き飛ばされて道の木々の枝に引っかかり、周囲の二百体のアンデッドは一瞬にして塵へと還った!



 だが、敵の攻撃はそれだけでは終わらなかった。


 爆煙の隙を突いて、一台目の戦車の上に乗っていた手下が『肩に担ぐ巨大な黒鉄の筒』を構え、窓から身を乗り出していたハルトの胸板へ向けて、炎を噴く特大の魔導槍を至近距離から放ったのだ!



「くたばれメガネ野郎ォッ!!」



(しつけえぞ雑魚どもが! 俺様の地図係に手を出すんじゃねえ!!)



 俺は地面に着地することすらなく空中で空気を蹴り、ハルトの窓のすぐ前に割り込むと、右手の愛用の『鉤爪付きの鉄の棍棒』を横薙ぎに一閃させた!



 ――ガキィィィンッ!! ドゴォォォン!!



 俺の鉄の棍棒に真横から殴り飛ばされた炎の魔導槍は、明後日の方向の空高くへと弾き飛ばされて空中爆発を起こし、俺は背中の小さな赤い皇帝マントを広げて、爆風と熱波からハルトの顔を完璧に守り抜いた!



 すぐ後ろの席で、ハルトは自分の目の前に立つ俺の小さな背中を見つめ、感動のあまり全身を震わせて涙を流していた。



(ま、まただ……! ゴブはたった一秒の間に、素手でグレネードを掴み取り、対戦車ロケット弾をバールで叩き落として、二回も僕の命を救ってくれた!!)


 ハルトの胸の中で、熱い確信が燃え上がった。


(僕を守るためなら、どんな爆発すらも恐れない……。これこそが僕とゴブの『心の絆と友情の力』なんだ! 僕たち二人がこうして信じ合い、力を合わせれば、どんな悪党の軍勢にも負けないし、きっとこの崩壊した世界だって一緒に救うことができる!!)



「ありがとう、ゴブ!!」


 ハルトは涙を拭い、レベル10の怪力で再びあの『漆黒の超巨大魔導長杖』を窓から構えて叫んだ。


「僕たちの『友情の力』で、あの大ボスを倒そう! 僕が奴の武器を止めるから、ゴブが決めるんだ!!」



(おう、二回も命を助けてやったんだからな、きっちり働けよ俺様の黒魔導師兼鞄持ち!!)



 広場の真ん中に一人取り残された魔王(ゴウザブロウ)は、怒りと恐怖で血走った目を剥き、手にした『六連回転杖』を再び俺たちへと向けた。



 ――ブォォォォォンッ!!



 だが、六本の黒鉄の杖から再び三千発の黒弾が吐き出されるより一瞬早く――ハルトの構えた超巨大長杖が火を噴いた!



 ――ドゴォォォォォォォンッ!!



 ハルトが放った渾身の【特大の黒弾】は、魔王の分厚い胸の鎧ではなく――魔王の背中の巨大な鉄箱と六連回転杖を繋いでいる『太い魔力供給の鉄管』を、寸分の狂いもなく撃ち抜いて引きちぎったのだ!



 ――バチバチバチィッ!! ガシャンッ!!



 青い火花が散り、魔王の手の中で唸りを上げていた六本の回転杖が、完全に沈黙して止まった!



『な、なんだと!? ガトリング砲の給弾ベルトと電源ケーブルを撃ち抜きやがっただと!?』



 それが、この世界で『魔王』が発した最後の言葉となった。



 次の瞬間。


 『敏捷370』の脚力を解き放った俺の姿は人間の視界から完全に消え去り――コンマ一秒後には、身長二メートル十センチの魔王の分厚い胸板のど真ん中に、両足でドォン!と着地していた!



 黒い鉄仮面の奥の魔王の目が、驚愕に見開かれる。


 奴の目のすぐ前には、黄金の王冠と赤い魔石を輝かせた、俺の百三十センチの緑色の顔があった。



 俺の黄色い瞳に宿っていたのは、慈悲などではなかった。


 それは前世のエルドリアの冷たい泥の味と、あの日、下働きになるのを誇り高く断った俺様が、三日間何も食えず腹ペコで動けない隙を突いて卑怯にも胸を撃ち抜かせた魔王に対する、どす黒い復讐の炎だった。



(ついに詰みだぜ、宿敵『魔王』よォォォ!!)



 俺は左手に持った『鉤爪付きの鉄の棍棒』の曲がった先端を、奴が抱えていた自慢の『六連回転杖』の隙間に引っ掛けると、『筋力360』の怪力でグシャアッ!と飴細工のようにひん曲げて地面へむしり捨てた!



『ひ、ひぃぃっ……ま、待て化け物! 金ならいくらでもやる、武器も食料も全部やるから命だけは――!!』



「ゴブ……グガアアアアアアアアアアアッ!!」


(前世では下働きを断った腹ペコの俺様を手下に命じて黒弾で撃たせやがって、俺様を呪いで飛ばしたのか殺したのかは知らねえが、この世界にまで追いかけてきて俺様の『生きた地図』と『神の秘宝の大釜』まで奪おうとした罪、てめえの命以外で償えると思うなよ魔王ォォォ!! 腹いっぱいの俺様は無敵なんだよ、これで前世の借りは完済だ、地獄の底で泥でもすすってろおおおおおっ!!)



 俺は愛用の『鉤爪付きの鉄の棍棒』を両手で頭上高く振りかぶり、ゴブリン・エンペラーのすべての神話級パワーを一点に凝縮して、魔王の黒い鉄兜の脳天から胸板へかけて真っ直ぐに振り下ろした!



 ――【暴食の痛撃・極】!!



 ――バキィィィンッ!! ドゴォォォォォォォォンッ!!



 雷が落ちたかのような轟音とともに、分厚い黒鉄の兜と全身鎧がガラス細工のように粉々に砕け散った!


 俺の鉄の棍棒の衝撃波は魔王の巨体を突き抜けて真下の黒い石の道をすり鉢状に深く陥没させ、宿敵『魔王(ゴウザブロウ)』は声すら上げることなく白目を剥いて地面に沈み、完全に絶命した。



 《敵総首領『ゴウザブロウ(Lv.15)』、精鋭部隊10名(Lv.6)、およびアンデッド200体を完全討伐しました!》


 《契約ボーナス(獲得経験値4倍)が適用されます!》


 《レベルアップ! Lv.50 ➔ Lv.53 ➔ Lv.56 ➔ 『レベル58』に上昇しました!!(全ステータスが420を突破!)》


 《共同戦闘により、契約主『ハルト』がレベル10から『レベル12』に上昇しました!》



 静まり返った要塞前の広場で、俺は動かなくなった魔王の巨体の上に小さな片足を乗せ、赤いミニマントを風になびかせながら、右手の『鉤爪付きの鉄の棍棒』を天へ向かって高々と突き上げて勝利の咆哮を上げた!



「ゴブゥゥゥゥゥーーーーーッ!!」


(ふはははははははっ!! 見たか天地の神々よ! 前世では腹ペコだったせいで負けたレベル7の俺様が、神の秘宝を腹いっぱい食って、ついに因縁の宿敵『魔王』をこの手で討ち取ってやったぞ!! 前世の恨みは完全に晴らした、今日からこの世界のすべての神の秘宝は、この【ゴブリン・エンペラー】様のものだあああっ!!)



「やったああああっ!! ゴブ、ついに悪の組織の大ボスを倒したね!!」



 荷馬車から飛び降りてきたハルトが、涙ぐみながら俺に駆け寄って、俺の小さな緑色の手と自分の手をパチン!と打ち合わせた。


 するとその時、要塞の正門の奥から、救出された職人たちと一緒に、二人の人物が息を切らして走ってきた。



 一人は、高級そうな黒い服を着た白髪の気品ある老人――この巨大要塞の主らしき男だった。


 そしてもう一人は、白い長い衣を着て、光る薄い石板を抱えた目のガラスをかけた女学者だった。



 白髪の老人は、両腕に抱えていた美しい木の箱を俺とハルトの前に差し出し、地面に額がつくほど深く頭を下げた!



「若き英雄様、そしてそこの気高き『小さな皇帝の精霊様』! あなた方は私たちの命の恩人です!」


 老人は涙声で言った。


「私はこの製菓会社の社長を務めております。凶悪なクロカワとゴウザブロウから工場と社員を救ってくださったお礼に、私の社長室の地下金庫に眠っていた『我が社最高の秘宝』を、どうかあなた方に受け取っていただきたいのです!」



 社長がうやうやしく木の箱の蓋を開けた。


 その瞬間――箱の中から、キラキラ光る金色の薄い皮に包まれた、琥珀色に輝く百本の美しい茶色い塊が現れ、これまでのものとは次元が違う神々しいまでの甘い香りが広場全体に広がった!



「これは、十年間熟成させた幻のクリオロ種カカオと、最高峰の高原ミルクだけを使って年に一度だけ皇室献上品として作られる、『日本一の最高級ロイヤル・ミルクチョコレート』です! どうか全部、小さな英雄様で召し上がってください!」



 俺の緑色の長い耳が、ピクリと跳ね上がった。


 俺は魔王の死体の上から飛び降りると、金色の薄い皮に包まれたその秘宝を二本掴み取り、そのまま口の中に放り込んだ。



 ――トロリ……。



 舌の上に乗せた瞬間、噛む前に溶けてなくなった。


 まるで天上の女神が絞ったかのような濃厚で芳醇な乳の甘みと、気品あふれる神の豆の香り、そして魂が震えるほど滑らかな『甘い神の脂』が口いっぱいに広がり、俺の黄色い目からポロポロと歓喜の涙がこぼれ落ちた!



 《神話級供物【日本一の極上ロイヤル・ミルクチョコレート(URランク)】を摂取しました!》


 《あまりの美味しさに魔力炉が限界突破! 全ステータスが永続的に『+20』上昇します!》



「ゴブゥゥゥ……♡♡(な、なんだこの反則級の美味さはァァァ!? これまで食ってた秘宝が泥団子に思えるほど美味えぞ!! おい白髪のじいさん、てめえを今すぐ俺様の帝国の『筆頭公爵』に任命してやる、もっと持ってこい!!)」



 俺がよだれを垂らして木の箱に頬ずりしていると、隣にいた白い衣の女所長が、興奮で震える声でハルトの両肩を掴んだ。



「少年……いえ、英雄くん! よく聞いて、これは人類の歴史を変える世紀の大発見よ!!」


 女所長は目のガラスを光らせ、幸せそうに秘宝を舐めている俺を指差した。


「私たち、地下の研究室の監視モニターで一部始終を見ていたの! あなたのその小さな相棒(ゴブちゃん)、地下1階で高濃度のゾンビウイルスと融合したレベル18の変異ゾンビのチョコレート装甲を『そのまま口でバリボリ食べて』傷を治していたわよね!?」



「え? あ、はい! ゴブは聖なる結界の力でゾンビの毒が効かないんです!」とハルトが答える。



「結界どころの話じゃないわ、それは『完璧な生物学的免疫』よ!!」


 女所長は感極まって叫んだ。


「あの変異種の体液が一ミリでも口に入れば、どんな生物でも三秒でゾンビ化するはずなの! それなのに、彼がその汚染されたチョコを消化してピンピンしているということは……この小さなゴブちゃんの『DNA』と『血液・唾液』の中には、ゾンビウイルスを瞬時に完全消滅させる【究極の抗体】が存在しているということなのよ!!」



 社長も興奮して頷いた。


「そうだとも! もしその小さな皇帝様から『ほんの一滴の唾液(だえき)』を分けていただき、ここから南にある『横浜港の国立バイオ研究所』の設備まで運ぶことができれば……彼のDNAから抗体を培養して、日本中、いや『世界中の人類をゾンビから救う特効薬(ワクチン)』を作ることができるのです!!」



 ハルトは目を見開き、箱の中のロイヤル・ミルクチョコレートを夢中で頬張っている俺を見つめた。



(ゴブのDNAと抗体があれば……本当にこの世界のパンデミックを完全に終わらせることができる!?)


 ハルトは胸がいっぱいになり、拳を握りしめた。


(やっぱり僕の思った通りだ! ゴブはただの食いしん坊なペットなんかじゃない、僕との『友情の絆』で人類を救うために天から遣わされた救世主だったんだ!!)



 すると白い衣の女所長が、俺の前に恐る恐るしゃがみ込み、左手に『新しい極上ロイヤル・ミルクチョコレートの箱』を、右手に『先端に白い綿のついた小さな木の棒』を持って頭を下げた。



「あ、あの、小さな皇帝様……? もしよろしければ、この白い棒をペロッと一舐めしていただけないでしょうか? お礼に、地下金庫に残っているもう九十箱の『極上ロイヤル・ミルクチョコレート』をすべて献上いたします!」



 俺は女所長が差し出した白い小さな棒と、後ろで職人たちが荷馬車に積み込んでいる九十箱の最高級秘宝を交互に見た。



(ふははははははっ!! 俺様が魔王を討ち取ったことで、ついにこの世界の人間どもも【ゴブリン・エンペラー】様の偉大さを理解しやがったな! 俺様の『聖なる皇帝のヨダレ』を一滴分けてもらうための供物として、あの気絶するほど美味い最高級秘宝を九十箱も捧げるだと!? いいだろう、俺様のヨダレくらいバケツ一杯でもくれてやるぜ!!)



「ゴブッ! グガ!(ほらよ、ありがたく受け取れ人間ども!)」



 俺が緑色の舌を出して白い綿の棒をペロリと舐めてやると、女所長と社長は「おおおっ、人類の希望のDNAが採れたぞーっ!!」と涙を流して万歳三唱し、約束通り九十箱のロイヤル・ミルクチョコレートを俺の前に積み上げた!



「ですが英雄くん、横浜港へ向かうには一つだけ大きな問題があります」


 社長が真剣な表情に戻り、ハルトに新しい地図を手渡した。


「横浜港には国立研究所だけでなく、我が社が海外から輸入した『一万トンの最高級カカオとチョコレートを積んだ巨大貨物船』も停泊しています。しかし現在、横浜港エリアは暴走した反乱軍の重武装大隊に占拠されており……連中はゴウザブロウのミニガンよりも遥かに巨大な、『120ミリ主砲を積んだ本物の戦車(タンク)』を何台も配備しているのです!」



 その瞬間。


 荷馬車の屋根の上で最高級秘宝を舐めていた俺の顎が、ピタリと止まった。


 黄金の王冠の下で、俺の長い緑の耳がピンッと垂直に立ち上がる。



「聞いたかい、ゴブ!?」


 荷馬車の舵の席に乗り込んだハルトが、友情の炎に目を輝かせて屋根の上の俺を見上げた。


「横浜の港に行けば、君の抗体で世界を救う薬が作れる上に、君へのご褒美として『一万トンのチョコレートの船』が待っているんだって! でも、そこにはさっきの大ボスが持っていた武器より『十倍も太くて巨大な大砲(杖)』を持った鉄の怪物が待ち構えているらしい! 僕たちの友情の力で、一緒に世界を救いに行こう!!」



 俺は荷馬車の屋根の上で、南の空を睨みつけたまま三秒間固まった。



(さ、さっきの六連回転杖よりも……『十倍も太くて巨大な黒鉄の杖』を持った軍勢が港にいるだと……!?)



 俺のゴブリン・エンペラーの頭脳の中で、戦慄の真実(大誤解)が閃いた。



(な、なんてこった……! つまり、俺様が今ここで叩き潰したレベル15の巨人は『本物の魔王』じゃなかったのか!! あいつは魔王軍の中でも一番弱い先鋒――【魔王軍・四天王(してんのう)の最弱】に過ぎなかったんだ!!)


(そして『本物の魔王』の野郎は、残る三人の四天王と十倍デカい黒魔法の大杖を従えて、一万トンの神の秘宝が眠る『海の浮遊要塞』の上で、この俺様を待ち構えてやがるんだな!!)



 俺の緑色の顔に、これまでで最も凶悪で、最も楽しげな覇王の笑みが広がった。


 レベル58に達した俺の肉体は、まだ見ぬ『一万トンの秘宝』と『四天王・真の魔王』との戦いを求めて熱く滾(たぎ)っていた。



 俺は銀の十輪荷馬車の屋根の上にすっくと立ち上がり、夕風の中に三十センチの小さな赤いマントを勇ましくなびかせると、愛用の『鉤爪付きの鉄の棍棒』を南の海へ向かってビシッと突きつけた!



「ゴブゥゥゥーーッ!! グガ、ゴブゴブゥゥゥーーッ!!」


(今すぐ荷馬車を出せ、俺様の最強の黒魔導師兼鞄持ちよ!! 相手が四天王だろうが本物の魔王だろうが関係ねえ! 港に眠る一万トンの神の秘宝は、すべてこの【ゴブリン・エンペラー】様が食い尽くしてやるぜええええっ!!)



「うん、行こうゴブ! 僕たちの友情で、今度こそ世界を救うんだ!!」



 重苦しい獣の唸りを上げて十輪の銀の荷馬車が走り出し、夕日に染まる黒い石の道を、南の港へ向かってまっすぐに突き進んでいく。


 人間どもの救世主となった百三十センチの小さな緑の皇帝と、すべてを友情だと信じ込むレベル12の鞄持ちの、全く噛み合わない世界救済の旅は――ついに一万トンの秘宝が眠る最終決戦の地『横浜港』へと突入するのだった!



これにて『チョコ中毒のゴブリン・エンペラー(身長130cm・Lv.58)』と『友情を信じる黒魔導師(?)ハルト(Lv.12)』の中央チョコレート工場での死闘は決着となります!

ゴブの【腐肉食】による免疫が「人類を救う究極の抗体(DNA)」と判明し、日本一のロイヤル・ミルクチョコレートを手に入れた二人ですが、ゴブは横浜港の戦車部隊を「魔王軍・四天王と真の魔王」だと勘違いしてさらなる闘志を燃やしています!

そして物語はいよいよ最終クライマックスとなる『横浜港決戦編&魔王城討伐編』へ突入します!

クライマックスとなる【残り6話(第8話〜最終第13話)】は明日より毎日連続で公開し、【11月5日(木)20時20分】公開の最終第13話にて物語は完全完結となります!

最終話のラストには「前世の因縁とペット契約に隠されたまさかの大決着」が待っていますので、ぜひページ下の【ブックマーク登録】をして、11月5日の最終話までお見逃しなく!

もし本作を気に入っていただけましたら、SNS等でお友達にシェア・拡散していただけますと、執筆の大きな励みになります。それでは、明日の【第8話】もどうぞお楽しみください!

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