来るはずだった転校生が死んだ6
先生との話が終わり、ほのかは教室へ向かった。
――殺人。
殺人なんて自分とは距離が遠い、届かない存在だと思っていた。
背中がゾクゾクと震え、その「殺人」という言葉の響きは、悪いものとは感じなかった。
人はいつだって正義を求める。誰かを助けるヒーロー。この世界を助けるスーパーマン。きっと人生に一度は憧れたことがあるはずだ。人って不思議だ。「正義」という言葉の意味を間違えれば事態は180度傾くこれをコペルニクス的転換という。
例えばクラスの中で誰かが一人いじめていたとする。その子は頭の切れた天才少女Aちゃん。
クラスのほぼみんなが彼女を嫌っていた。そしてある一人の子Bちゃんはそれは「正義」だと言ってCちゃんたちはAちゃんにいじめを始める。
Bちゃんの友達もBちゃんを助ける、「正義」だと思いBちゃんを味方につけてAちゃんをいじめる。そしてAちゃんがいじめられているのをしり、そのいじめをなくすことがことが「正義」だと考えたDちゃんはAちゃんの味方をする。
さあ、あなただったらA、B、C、D、どの立場になりたい?多くの人がいじめを止めるDちゃんになりたいと思うだろう。だが、コペルニクス的転換が起きたら人はどう考えるか、それは、いじめの首謀人、Bちゃんになりたいと考えてしまうのだ。
――殺人。
強い誰かへの殺意をもって、本来の自然な死期よりも早く他人の生命を奪う。恐ろしいことに決まっている。だが、それに関わりたいと思った。殺人を行った誰かを知りたいと強くほのかは思った。




