来るはずだった転校生が死んだ3
そこは学校の会議室だった。
先生だけが中に入り、私は外で待たされた。ピリピリとする緊張感。耳がキーンとした。会議室の前に立たされるだけで、これだけでも足が震えるんだと改めて感じる。
静かな廊下だな。そう思った。少し経つと近ちゃんが出てきて中にどうぞ、と手招きした。中には偉そうな人が数人座って何かの資料を見ていた。「緊張しなくていい。大丈夫だ」近ちゃんが耳元でささやいた。それでも緊張しながら会議室に足を踏み入れた。
後にこの人たちは警察官だと知った。転入生が事故でなくなったことを捜査しているらしい。そして私は取り調べ人として授業中にも関わらず呼ばれたということだった。
「この学校に転校してくるはずだった子が死んだというのは聞いたかい?」
真ん中に座っていた中年男性の警察が質問してきた。授業の時間までを使って近ちゃんが私を呼んだ理由が少し分かった気がした。
「はい」
「実はその時とっさに警察側が事故だと判断したんだ」
「はい」こちらに目を合わせることなく淡々と喋る。
「死体が発見されたのはここなんだ」
警察が一枚の写真を出した。
死体という言葉に変な緊張感をもちながらその写真を見た。
「ここ……私……知ってる」
私がいつも通っている学校の通学路だった。
偶然過ぎて理解が遅くなる。転校生が私と同じ通学路で事故に遭った。
そう考えると恐ろしかった。
「ここ、私がいつも通る通学路です」
警察官が隣に座っている人に目で合図をした。
「この事故は見たか?」
「……見てません」
そんな前の話なんて知るか。そう心の中で突っ込んだ。
その後は登校時間、家の場所、怪しい車を見たことはあるかなど、事件とは関係性のない話もされた。
「あの、もうすぐ時間……」
隣で近ちゃんが時計を見ながら言った。
「じゃあ、我々はここまでで」
「なぎさちゃんには関係なさそうだな」
席を立った瞬間、端に座っていた人の発言に唖然とした。「え?」とその人に顔を向ける。
「時間を使ってすまなかったな。もう戻っていいですよ」
またまた目を合わせずに資料に話した情報を書き込んでいた。
近ちゃんが礼をし、ドアを開けた。
「待ってください。転校生の名前ってなんていうんですか?」
今まで転校生に対して思っていたことが全て吹き飛ぶよう私の考えが変わった気がした。
近ちゃんの足が止まった。
「あれ、先生。まだみんなに言っていなかったのですか。彼女の名前は、近藤渚です」
唾を飲んだ。なぜだろう。
私、知ってる。
この子の名前を……私は知っていた。
死んだ転校生が知っていたほのかがとった行動とは?




