来るはずだった転校生が死んだ22
ほのかへ
卒業式、本当は出たかったけど、予定があって出れなくなっちゃった。どうしても外せない予定だった。怒らないでね(笑)本当は伝えたいことがあったけど、今、手紙として書かせていただきます。(読まれることはないと思うけど)
ほのかたちが私に声をかけてくれたときのことは忘れられないくらいとても嬉しいことでした。私は人と話すことが苦手で、いつも教室に一人でいたから。だけど、みんなから分かる通り、頭はあまりよくなく、ドチな性格です。そしてあなた達が私をバカにしていたことも知っていました。それに悩み、苦しんでいたことは本当です。二人からもきつく言われたまにはパシリもやらされたこともあります。辛かったなー。笑
それで、先生やお兄ちゃんに相談したこともありました。
(お兄ちゃんが変なことをしていても怒らないであげて)
だけど、ほのかだけは他の二人と違いました。やっていることは似ていたけど、ほのかには他の人とは違う優しさを持っていました。ほのかは優しいからこの先も大丈夫だよ。
私はまた、ほのかに会いってもう一度話をしたい。もう少し頭も良くなって、友達が増えたら、弱いときの私と違って、自信を持ってあなたに会いに行きたいです。だけど、まだいけないと思います。またいつか、ほのかにあってたくさんいろんなことを話したいです。だって、親友(?)だもんね。 渚より
読み終わったあと、悲しみとは違う何かの感情が生まれた。言葉にしても表すことができない。
これは何ていうんだろう。安心?いや、違う。
私が感じたのは「命」の儚さだ。命はとてつもなく儚い。
それでも渚は小さな希望を持っていた。それを実現させるために頑張ろうとしていた。
そして、私に会いに行こうとしていた。だけど、あの日の事故⋯⋯交通事故のせいで渚の小さな希望は跡形もなく消えた。渚のお兄さんも本当の事実を突き詰めていた。
生き延びていたら良かったのに。交通事故だけでは死なない命があったら良かったのに。私は手紙にたくさん水を染み込ませながら声を出して泣いた。
――忘れていた過去ほど素晴らしいものだった。
私は、お礼を言い、手紙をカバンの中に丁寧にしまい、家をあとにした。
「先生。ありがとうございました」
帰り道、私は先生にお礼を言った。きっと全て先生のおかげだと思ったからだ。
「ああ。こちらこそありがとう。そういやあ、いつか話そうと思っていたことがあるんだ」
私とそうすけは耳を傾けた。
「教師をやめようと思う」
「え!?どうして?」
私たちは大きく目を見開いた。
「渚のこともあり私は二人に迷惑をかけた。教師としての自覚がたりなかったな」
そう言って先生は鼻で笑う。
「渚は希望をもっていた。そして、それに近づくために頑張っていた。だから、俺も好きなことをしていきたい。いつ死ぬかわからない命を少しでも大切にするために。すまないが、分かっててくれ」
そう言って先生は笑った。
――――――
儚い命を大事にするために。
いつ死ぬかわからない「命」を大切にするために。
私は、やりたいこと。そして希望を見つけ、輝かしい未来のために、それに突き進んでいきたい。
過去の過ちをおかさないようにしたい。
ずっと渚の思いの理解者でいたい。
この地に立て、呼吸をすることができるなら、
自分が好きなこと、やりたいことをできる未来へ――。 ほのか
先生はその日から3日後に生徒にお別れを言わず、静かに学校から去った。
――そうすけと私だけの小さくて大事な秘密になった。




