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来るはずだった親友(嘘)が死んだ19

 近藤先生の後ろ姿が見えなくなると、私は時計に目を向けた。授業が終わるまでまだ20分ほどあった。とりあえず、自分の机に向かい、理科の教科書をだした。だが、叶翔ととのやり取りを思い出し、気まずく感じた。行きたくないそう呟くと教室の外から足音が聞こえた。最初は小さく途切れながら聞こえてくるが、少しずつ大きくなっているのを感じた。


 先生だったら保健室にいないことがバレてしまうと思い、急いで教科書とノートを手に取り、理科室へ向かおうとした。教室のドアに手をかけ、廊下をみるとそこにいたのは、りんだった。


「りん、どうして⋯⋯」


 私の声が聞こえたのか、りんは誰かを探すように首を動かす。その瞬間、りんと目が合った。りんは目を大きく見開き、私に小走りで近づいてきた。そして、小さく見つけた。と言った。


「私のこと、探してたの?」


「そうだよ。ほのかが保健室に行くことなんてめったにないから私も授業を途中で抜け出して保健室に行ったの。それなのにほのかがいないんだもん!びっくりしちゃった。理科の先生がほのかは今保健室にいるって言っていたのにおかしいじゃん」


 下を向き、呼吸を整えるような喋り方をしていた。

「ごめん」


「もー。ごめんじゃないでしょ」

 りんはそう言い、顔をあげた。


「――ほのか?どうしたの」


「ねえ、なんで泣いてるの?」


 りんが眉毛を寄せて聞いた。

 手を顔に近づけると顔が濡れていた。


「ち、違うのっ」


 りんの顔をみて安心したせいなのか、心が一瞬で弱まったようにいうことを聞かなくなってしまったような感じがした。体に力が入らず、持っていた教科書も手から滑り落ちていた。


「何があったの?」


 りんが優しく私の体をさすった。

「叶翔と別れたの。だけど、叶翔にきついこと言われて⋯⋯先生にも。私、ずっと苦しかったの。悪いことだって分かっていたのにっ。苦しかったの。謝りたかった」


 りんは何も返さず黙って聞いてくれた。


「苦しかったね」


 りんはそう言うと強く私を抱きしめてくれた。こういうときにそんな優しい言葉を言わないでほしい。なんて思いながら、涙が止まることはなかった。

 人は、弱いから、人は、悲しい生き物だから⋯⋯人は強く見せそうとする。人は、楽しいを演じ続ける。だから、本当の気持ちがどこかに隠れてしまう。私がこんな複雑な気持ちを持ってしまうのはそのせい。許してほしい。

 近藤先生、渚、叶翔、りのん、ごめんなさい。


 そして、ありがとう。

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