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小説は自由だとミステリ好きの彼女が説く

作者: 狐の嫁入り
掲載日:2025/12/01

短編小説『小説は自由だとミステリ好きの彼女が説く』

長編小説を書く合間に練習として書いた小説です。

ミステリ小説は好きだろうか。読書というか、そもそも文章を読むことが好きでない僕にとっては、活字の連続を見続けることが苦であった。だが、世の中にはそれを好む人もいるらしい。

「本を読みなさい。」

と大人によく言われていたが、その言葉を真面目に聞いている子供ではなかった。本の何がいいのか僕にはさっぱり理解できない。学校の国語の文章ですら読んでいるのが嫌になって、テストでは問題で指定された文章の前後だけを読んで解いていた。それでも十分な成績をとれているのだから、やはり本を読まなくても何とかなるだろうと思っていた。


特にミステリ小説は僕にとって、呪文のようなものだった。アニメやドラマのように映像になっていればトリックや解決劇も面白いと感じるが、本ではそれが分からない。

「そこがいいの。」

彼女が言った。僕の彼女は読書が好き。特にミステリ小説が好きだ。それを知る前に旅行客が大きなスーツケースを持っている様子を見て「人が入りそう」と言ったときは驚いた。サイコパスなのか、そういう願望があるのか、と心配になったが、ミステリが好きということを知って納得した。


「小説って絵がないことが多いから、読む人が自由に想像していいの。綴られている言葉に対してどんな絵を想像しようが、物語が終わった後の世界線を作者が思った通りに想像できなくてもいい。自由なんだよ。」


ミステリに自由なんてあるのか、と僕は思った。犯人が事件を起こして、探偵やら警察が事件を鮮やかに解決する。多少の恋愛やコメディ要素が含まれ脱線することはあったとしても、そのセオリーに沿って書かれることにどう自由を見出すのかさっぱり分からなかった。


「探偵とか警察の解決役と犯人以外の登場人物についてはほとんど書かれない。トリックも頭の中で想像すると意外と難しいけど楽しいし、探偵と犯人が事件解決後にどう思うのか、あとは読み返したりすると探偵が違和感に気づく瞬間の台詞に特徴があったりするの。それに…」


「わかったから、ちょっとストップして。」


好きなものの話になると止まらない彼女の熱が入り始めたので焦って止めたが、彼女はそれが不満だったらしい。訴えるような目でこちらを見ている。

想像したことなかった。事件が解決すれば、その事件、その物語は終わりだと思っていた。いつも変わったものの見方をする彼女らしいと思ったのだが、読書好き、ミステリ好きはそうなのか。


「今度、おすすめの本を貸してよ。」

読んでみたら少しはわかるかもと思い彼女に言った。

「本読むの苦手でしょ。」


彼女は止められたことか、自分は好きだが僕が苦手なことに付き合わせることか、どちらなのか定かではないが不満げな声で僕の先を歩く。

「少しずつなら読めるよ。」

と言ってはみるが、、彼女が読んでいる本を読まない僕にとって、辞書のように感じられるミステリ小説を読み終えるまでどのくらいかかるのだろうか。


「それじゃあ意味がないんだよなぁ。」


と彼女は不満を言うが、その声は少し嬉しそうに弾んでいた。


皆様はミステリ小説は好きですか。

ミステリは何気ない日常の中に人間が起こした変化だと思います。

もちろん、非日常に事件が起こることもありますが、どちらにせよ人間が起こすものには変わりないのでしょう。

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