五話 最初は普通、ゴブリンじゃないの?
第五話です。
今回、遂に魔物が出てきます!
楽しんでいただけたら幸いです。
※申し訳ありません。梨里の名字は星野です。忘れてました・・・。
――翌朝――
「おい、梨里。起きろ〜」
ぐっすり寝ている梨里を起こす。
「・・・あと五分」
「だめだ。早く起きないとお前の分の朝飯食うぞ。いいのか?」
「それは駄目!」
がばっと梨里が起きる。なかなかこの手は使えるな・・・。
「「ごちそうさまでした」」
俺達は朝飯を食べ終わって、洞窟から出る準備をした。数分後、俺は準備が終わったが、梨里が終わらないようだ。
「何してるんだ?そんなに荷物もないだろ?」
「え?この桶とか大丈夫なの?」
そういえば、梨里には俺が作ったと言ってなかったな。
「それはいつでも作れるから問題ない。置いていく。・・・いや、他のクラスメイトたちがこれを見て近くにいるとか考えられたら面倒くさいな。燃やすか」
俺は桶を火で炙る。土で作ったから燃えるか心配だったが問題なかった。
「・・・透って、なんか非常識だね」
むっ、失敬な。
「なにはともあれ、行くぞ」
森を歩きながら梨里に聞く。
「そういえば、もう梨里は魔物見たのか?」
「うん、一度だけ。ゴブリンだって。私は遠くから見ただけだけど」
なるほど、確かに最初はゴブリンとかからだよな。なんか異世界ってそんなイメージがある。
更に歩いていると、何かが《気配察知》に引っかかった。なになに・・・。
「・・・は?」
「どうしたの、透?」
待て待て、おかし過ぎる。《気配察知》に出てきたのは・・・、
「・・・ドラゴンがいる」
「・・・は?」
「・・・しかも俺達に気づいてる」
俺は《気配察知》とドラゴンを《鑑定》しながら言う。
「・・・あと一分でドラゴンが来る。しかも、《鑑定》したところ、レベル100はある」
「嘘でしょ!?」
俺は心のなかで思った。
(普通、最初はゴブリンじゃないの?)
俺は《結界》を使い、梨里“だけ”守った。
「ちょっ、透!?」
「負けたらすまんな〜」
俺は心配させないように軽いノリで言う。そして、《結界》の魔力を上げ、ドラゴンが来る方向に向いた。
「・・・でっけぇ」
やってきたドラゴンはかなり大きく、多分高さは10mはあるだろう。しかし、
「負けたら梨里も終わりなんだよ。すまないが、・・・殺す」
数分後、簡単に言えば防戦一方だった。なんとかなると思っていたが、素手や蹴りだけじゃ無理があった。今は逃げながら《結界》で攻撃を防いでいる。
「何か良いスキルは・・・!」
ステータスボードを開き、見る。そこで俺は1つ思いつく。
(スキルを合体させられないか?)
俺が注目したのは、《統合》というスキルだ。多分、何かをまとめるスキルだが、スキルの合体は不可能だろう。“普通”なら。しかし、
(《我武者羅》のスキルがある!)
俺は自分を結界で囲み、スキルの合体を実践する。流石《結界》だ。ドラゴンの攻撃を防いでくれる。
「お?」
俺は〈剣術〉の《鬼神》と普通《闘気》スキルを組み合わせることに成功した。
「よっしゃあ!」
〈ユニークスキル〉《武神》
俺は《結界》を解き、《武神》を発動する。
「・・・すげぇ、ドラゴンが遅く見える。というか、このうちに・・・」
俺は《鑑定》を使う。さっきは遠くて見えなかったが、弱点が見える。腹あたりだ。
「みぞおちってか?」
俺は《疾走》を使い、懐に潜る。そして・・・、
「じゃあな、ドラゴン。・・・いや」
渾身の力を込めて、殴る。《武神》で強化された拳で。
「トカゲだな」
――ドラゴンが倒れる音が響き、俺は異世界初の勝利をもぎ取った。
まさか殴って倒すとは・・・。流石女神からの最強認定。羨ましいですね。
さて、今回は初の魔物戦でしたが、ドラゴンになってしまいました。最強なのにゴブリンとかだと悲惨なことになりそうだったので・・・。
もし良かったら次の話を見ていただければと思います。