三話 かっこいいこと言ったけどどうしよ?
第三話です。
ここからヒロインが出てきます!
楽しんでいただけたら幸いです。
さて、迎撃の準備を始めるとといっても、何をやればいいのやら。敵さん(クラスメイト)はもう70mのとこまで来ている。なら――直殴りだな。
といっても、喧嘩自体初めてだし、そんなうまくいくとは思えない。だけど、やる価値はある。
俺は《疾走》を使い、敵の近くまで行き、あえてゆっくりとした歩幅で前に出る。
「あ。やべっ」
さも突然気づいたように振る舞う。
「お、パシリ君、み〜け」
「俺達のサンドバッグになってよー」
俺は怯える演技をする。その時、隼人の顔を見つけ、その顔は笑っている。
他の女子たちも俺を罵っている。その中の一人の女の子を一瞬だけ一瞥して
「は、隼人、なんで裏切ったんだ?」
「ふん、別に裏切ってねぇよ?ただそっちが一方的に勘違いしただけだ」
その言葉を聞いて、俺は演技をやめた。
「・・・はぁ、めんどくさ」
「お、パシリ君が諦めたな。よし、サンドバッグになれ!」
俺は華麗に避け、パンチする。見事顔面に直撃。不良は伸びた。
「・・・さてと、次は誰だ?」
・・・かっこいいこと言ったけどどうしよ?流石に人が多すぎる。しかも、さっきのはまぐれだしな。
そう思っていると、
「や、やべ!づらかろう!」
不良たちは逃げていった。そして残ったのは、
「・・・さて、と」
一人の女の子だけだ。俺は眼の前にいる女の子――いや、幼馴染の梨里に一つ言う。
「お疲れ様、梨里」
「ん、お疲れ様。透」
――真相は30分前に遡る。俺がスキルを見終えたあと、ポケットに紙があることに気づいた。
「何だこれ?」
中を見ると、梨里からだった。内容は、
『ごめん、不良たちが透を狙っているから演技をする。私のユニークスキルは《道化師》。それで欺けたんだ。多分、殺気を向けているように思うかもしれないけど、不良に抱いてるやつをただ透に向けただけだ。多分喧嘩慣れしてない不良は脅せばすぐ帰るだろうけど、多分追うことになる。そん時に合流しよう』
「・・・何だこれ?意味はわかるが、いつも通り語彙力ねぇなあいつ」
しかし、逃げるときに感じた隼人の違和感はこれだったか。と気付く。
そして約3分前、《鑑定》で梨里のスキルを見たところ、確かに《道化師》というスキルを持っていた。そして、俺を罵っているときに《鑑定》で心の中見れないかと念じていると、新たに《心情視》というスキルを覚えた。そのスキルで見ると、梨里は心で謝っていた。
さてと、とにかく、
「いや〜、演技とはいえ梨里に罵られて悲しかったな〜」
「ごめんって!」
現在、女子たちとともに罵っている時を掘り返していじっている。
「演技だってば!」
実は、梨里とは幼馴染で、高校に入ってからはあまり話していなかったが、それ以前までは仲が良かった。話さなくなった理由?俺がパシリやらなんやらされているせいで梨里に被害がいかないためだ。
「ま、信じてやろう。俺は寛大だからな」
「どこがよ。小さい頃はプリン取っただけで切れてたのに」
「知ってるか?食べ物の恨みは怖いんだぞ?」
「はいはい」
――閑話休題。
「というか、これからどうするんだ?」
「ん?なにが?」
「いや、何がって、お前・・・、あいつらのところに帰って何するんだ?」
今は《道化師》で欺いているが、いつまで持つか・・・。
「戻らないよ?あんなとこ」
「は?」
何だろう、疲れで幻聴が聞こえた気がする。
「な、なんだって?」
「簡単に言えば、あんたと行動するってこと。おわかり?」
「なんでだよ!」
――理由はわからないが、何となく忙しくなりそうだなと思った。
まさかの顔面を殴るとは・・・、流石ですね、透。
さて、いきなり現れたヒロインは透にどう影響するのか、見ものですね・・・。
良ければこれからも見ていただければ幸いです。