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荒木探偵事務所  作者: 琉斗六
事件簿2:山麓大学第一学生寮下着盗難事件
17/36

17.それじゃあ俺が悪いみたいじゃないか

 無郎は、二人を置いて先に客室に戻っていた。

 どうにかこうにか階段を登り、霧島が部屋にたどり着いた時には、客室に備え付けられていたバスタブには、たっぷりと湯が張ってある。

 おかげで冷え切った体と強張った関節を、ゆっくりとほぐす事が出来た。

 更に湯から上がった霧島の足は、無郎が用意した救急箱で、適切な処置をして貰えたのである。

 だが、それでほだされる訳にもいかない。

 霧島は、人心地がついたところで、改めて無郎に向かって言った。


「坊っちゃん、色々と手間を掛けて済まなかった。だが、悪いが席を外してくれないか?」

「ちょっとぉ、タキオちゃん。それってあんまり失礼じゃん」


 自分でも、この対応はかなり礼を欠いていると思う。

 だが無郎の態度が演技である可能性を否定出来ない限り、無郎が同席している場で話をするのは危険だと判断するしか無い。


「仕事の話だ。部外者にいられちゃ困る」

「なにそれ。仕事の話なら構わないじゃないの。コネコちゃん、依頼人なんだからさ」

「まだ話す段階じゃない」

「三人寄れば忍者の知恵って言うじゃん」

「それをゆーなら文殊だ」

「そうそう、それそれ。だから、考える頭は多い方が良いに決まってんのよ」

「俺達の商売は秘密厳守だろーが!」


 なんとも緊張感の無い荒木に腹が立って、思わず声を荒げてしまう。

 もっとも、霧島が何かに付けて荒木にキレるのはいつもの事なので、怒鳴られた本人はどこ吹く風と言った(てい)だが。

 二人のやり取りに、無郎は驚いた。


「あの荒木さん。…僕、出てますね…」


 無郎は片付けた救急箱を抱えて、霧島に会釈をするとトボトボと部屋を出て行った。

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