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第22話 マッチョドラゴン

 テルとエリによる激闘の後、リングでは休む間もなく二回戦第二仕合が始まろうとしていた。


『紅禽のゲートから入場するのは亥の干支乱勢・ウィン選手!一回戦で卯の干支乱勢・ピエレ選手とバチバチの打撃合戦の末、跳び膝蹴りを頭突きで砕くという荒技で見事に勝利を掴みました!二回戦ではどんな破天荒ファイトを見せてくれるのでしょうかッ!?」


 猪と豚の獣人─亥国の首相チャーシューと官房長官ミミガーの2人を帯同し、ウィンはリングに上がる。中央で合掌し、祈祷の舞「ヤイダンス」獣人達とともに踊る姿は、先の仕合で見せた荒々しさとは打って変わったコミカルさを感じさせる。


『続いて黒鼈のゲートより、辰の干支乱勢・マイ選手の入場です……おや?マイ選手とともに入場してくる辰国の女王陛下と大臣は浮かない顔をしていますね?」


 晴れやかな笑顔で意気揚々と入場する、黄色地に黒いラインが入った半袖のツナギを着た少女・マイ。しかし、それに帯同する二人の獣人…というより人魚と半魚人の様な生き物達は、マイとは対照的に曇った表情である。


「とほほ。干支乱勢ほ召喚で、こんなイロモノを引いてしまうとは……」

 と、二足歩行で歩く魚は辰国大臣スズキ。


「前回の覇者である我らの連覇が懸かっていますのに……ああ悔しや」


 ウナギの様な下半身に人間の乙女の様な上半身が生えた人魚は辰国女王・アンフィー。


『マイ……生前の名をマイケル・リー。ルーツは辛亥革命前のアジア大陸からアメリカへ渡った清王朝の武術家。以降、白人・黒人・ネイティブアメリカン等あらゆる人種の血とカン フー、マーシャルアーツ、ボクシング、レスリング、空手、そして忍術等々あらゆる武術を代々受け継ぎ、彼の代で全てをミックスさせた全く新しい武術「孤漫道 (コマンドー)」を設立!しかし門下生は増えず、マイケル本人は持ち前の運動神経を生かし主にスタントマンとして俳優業で生計を立てる日々。ある日、超大物俳優の大作アクション映画で炎上するバイクに乗り海へと飛び込むシーンのスタントにおいて死亡するも、マイケルの死は隠されたままそのシーンは使われ公開し大ヒットとなるが、彼の名前はクレジットされず……こりゃ無念だねえ』


『孤漫道……うさんくさい武術ですねぇ』


『ま、忍術とか言ってる時点でイロモノでしょ。知ってる?あれって水の上を歩く忍法ですら本当は存在しなかったらしいよ?』


 ツジナリとヒナコの会話には反応せず、リングへと登ったマイは、その場で跳躍し足を180度開脚した状態でロープへ触れることなく飛び超えてリングイン。観客達は歓声を送り、リング上のウィンは無言だが興味深そうにマイの姿を見る。

 セコンドの獣人達は驚きのあまり、両国ともに呆然としていた。


 辰の干支乱勢に与えられた能力は実にシンプルなもので、筋力や反射神経、持久力といった基本的な身体機能が全体的に且つ均一に強化されている。それは魚人達の国である辰国において、初代国王が滝を登り魚から竜へと変化した登龍門ドラガォン・ゲートという逸話に基づくものである。

 突出した能力ではなく地味だが、汎用性の高い能力は使い手次第でそれこそ魚が竜に化けるかの如し変化をもたらす。


「みんな、ワタシをハズレだのイロモノだのと言っているが、思い知る事になるヨ。世界一のアクションスター、マイケル・リーと最強の武術、孤慢道を!!」


 マイは仰々しいポーズを取る。孤漫道・迎撃の型 「飛竜ワイバーンの構え」である。


「俺は君を侮ってなどいないさ、ミスター・リー。戦士の強さとは、闘って初めて決まるのだ。勝った者が強者であり、負けた者が弱者である。それ以上でもそれ以下でもあるまい」


 そう言うとウィンは両腕を構え、左足を半歩踏み出しファイティングポーズを取る。


「それでは二回戦第二仕合、開始はじめ!!」



 審判ゴーレム、ジャガー・ハトリは仕合開始のゴングを鳴らした。

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