Xtra3❲アストと仲間たち❳
また前置きが長くなります。
だれないで読んでくれたら嬉しいです。
アールド王国の城下町の情景は、木造家屋やコンクリートのビルや建物、商店街や路面電車があり、アールド王国の国民が忙しく、またはのんびりと暮らしている。
クラスメイトの一人の女の子が、母なる地球とこの龍地球を行き来出きる能力者であり、このアールド王国の町並みと母なる地球の日本?って所の町並みが似ているって言ってて、なんて言ってたかな?そうそう「古き善き昭和みたいだね」って言ってた。
行った事はないけど、わたしもその日本?って場所に行ったらそう思うのかもしれない。
夕陽が沈む時刻、わたし達六人は、明日出発する身支度の為に商店街で買い物をしていた。
「遠足じゃねぇんだから、そんなにお菓子を買うんじゃねぇ!」
駄菓子店で、女子力高い男子、ピットが山のように駄菓子を抱えるアストに怒鳴ると、アストは負って腐れた表情を見せた。
「なんでだよ?ボクの自由だろ?遠足じゃないけど、明日からの旅は一応、課外授業って扱いじゃんか?お菓子くらいいいじゃんか?」
アストの言い訳にピットが顔を赤くし、アストの頭を殴った。その反動で手にしたお菓子が地面に落ちる。
「痛い!もうピット、お前なんか嫌いだ!」
お菓子を拾う幼稚なアストにわたしはため息を吐きながらお菓子拾いを手伝う。
アストの言った通り、サーカッシュの大洞窟ヘの探索は、わたしの学校の授業の一貫として扱われる。
わたし達の通う学校は特殊であり、現段階、わたし達は高校二年生になったばかりなんだけど、学校の生徒は僅か三十人。
三十人とも同い年であり、小学一年からずっと一緒に勉学に励んできた仲なんだ。それでわたし達六人を除く二十四人の友達は、母なる地球の日本?って所から転移して来た子達なんだ。
そう、その子達はアースストライダーなんだよね。
えっ?わたし達はアースストライダーじゃないって?確かにわたし達六人はアースストライダーじゃないんだけど、わたし達六人にはストライダーに匹敵する物を産まれた時から持っているんだ。
アースストライダーの条件は、個々が何らかの能力を持っている事。わたし達六人もストライダーのような特別な能力を持っているから、普通の学校ではなく、今の学校にいるんだ。
今の学校の名は、アースストライダー育成学校、第四六学校。通称、ヨンロク。ヨンロクの場所はこのアールド王国より東にあるバルキル都市にある。
今はまだ春休みだから、バルキルに行ってないけど、四月の後半から授業再開。で、それまでの宿題として一人に一つの課外授業が課せられているんだ。
あるグループはこのアランミューア大陸を離れ、またある子は天空大陸スヴァーリへと冒険に行っている子もいる。
だからわたし達のグループもサーカッシュの大洞窟には課外授業として旅立つんだ。
「ありがとう、キャル。えへへ、やっぱりキャルが好き」
「はいはい」
座ってお菓子を拾うわたしに、アストが照れ笑いしながら礼を言うと、それを見ていたパラガス達四人の殺意のようなオーラをアストに向けている。
アストも懲りないね。事あることにわたしに告白し、おじいちゃまやエリアやミレア達に半殺しにされるのに、それでも懲りずに告白してくる。
幼稚でおバカで思った事をすぐに言っちゃって、後で痛い目にあうんだよね。まあ、其処がアストの良いとこでもあるんだよね。残念過ぎるけど……
「あんまり荷物を持つと、おいらの相棒が嫌がるしな……」
「確かに、アンタの相棒は飛行タイプだし、アタイらはバイクタイプだしね」
ピットのぼやきに、姉のエリアが、わたしとミレアにパラガスを親指で差しながら、すでに半殺しされて倒れているアストを見る。
「おい、アスト、お前のWEGSに荷物を乗せろ、なっ、いいだろ?」
パラガスが倒れるアストの胸ぐらを掴みながら、超上から目線で言う。
「嫌だ……、ボクのフリーブレイバーはキミ達の荷物持ちじゃない。キャルの荷物なら喜んでだけど」
また、アストは四人に無謀に挑むの?バカなの?学習能力がないの?
ハラハラさせるアストの一言にパラガス達四人が沈黙する。
一触即発……、ピットとパラガスとミレアがアストに詰め寄ろうとすると、エリアが何故か三人を静止させる。
「まあまあ、アスト。アンタはいつもいつも、キャル意外のアタイ等が嫌いって言ってんだけど、アタイらはアンタが好きなんだよ。そう邪見にされるとアタイら、傷つくじゃない?アスト、アタイらの事、本当は嫌いじゃないよね?」
「嫌いだ……、すぐに暴力ふるし、脅すし……」
俯くアストの態度に四人の額に青筋が浮かぶ。エリアは深呼吸をし、更にアストに詰め寄る。
「それは愛情の裏返しだから、アンタ、ここまでアタイに言われないと解らないわけ?みんな、アンタの事、親友だと思っていたのに!」
何故か、エリアはアストの額をひっぱたき、顔を手で隠し、泣きだす。あー、嘘泣きって解るんだけど……
パラガスとピットを見ると同じように泣く演技を見せている。
ミレアには演技は無理だから、ボーとしているけど、それでも誰かさんだけは、そのダイコン芝居に騙されてくれる。
「本当にボクの事、し、親友って……、思って、くれるの?」
四人は無言で頷くと、急にアストが泣き出した。
「ありがとう!キミ達がボクの事、そんなふうに思ってくれたなんて!それなのに、ボクは、キミ達の事を嫌いだなんて、失礼な事を!ごめん!ごめん~!」
駄菓子屋の店内で大泣きするアストに、エリア達がお互いに嫌な笑みを浮かべた。
「当たり前じゃない!アタイ達は親友だよ!」
「そうだぜ!気にするな!これでおいら達は仲直りだぜ!」
「仲直りついでになんだ。ミー達の荷物、お前の相棒に任せてもいいよな?」
パラガスがアストの両肩を掴む。
「ついでにミレアにもお菓子大量に買って……」
ミレアだけ無表情にアストにタカる。
「うん、いいよ!ボク達は親友だからね!」
チョロい……、アストくん、キミは、天然超チョロいよ。良いように利用されたんだよ。四人の勝ち誇った顔が見えないのかな?
わたしはそんなアストが気の毒に思って、なんだか、わたしも涙が出てきた。
アストくん、キミは好い人で終わるタイプだよ。完全に……
でもね、誤解しないでね?パラガスもミレアもピットもエリアも、あなたの事、親友に思っているのは、本当だからね。
次の日、わたし達六人はそれぞれのWEGSに搭乗し、アールド王国を後にした。